日銀緩和を意識したトレードの再燃?ドル円の焦点と注目のチャートポイント
植田日銀総裁の発言を受け、外為市場では再び円安のムードが高まっている。日米の株式市場が上昇基調を維持していることも考えるならば、今のドル円の焦点は戻り高値の水準を見極めることにある。目先、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・植田日銀総裁の発言を受け政策修正の観測が後退
・日銀緩和を意識したトレード(日本株高・円安)が再燃する可能性あり
・現在のドル円の焦点は、戻り高値の水準を見極めることにある
・ドル円の反落局面では、139.40レベルの攻防に注目したい
再び円安の圧力が高まる状況に
植田和男日銀総裁は18日、インドで行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後の記者会見で、持続的・安定的な2%のインフレの達成というところにはまだ距離があるというこれまでの認識に変化がなければ、粘り強く金融緩和政策を維持する姿勢を示した。
植田総裁の発言を受け19日の外為市場は、英ポンド以外の主要な通貨で円安優勢の展開となった。ドル円(USD/JPY)は、節目の140.00レベルを試す展開が見られた(高値139.995:IGレート)。
円相場の動向:7月19日
ドル円は戻り高値の水準を探る状況に
「日銀緩和のトレード」が再燃する可能性
19日は、円安だけでなく日本株も大幅に上昇した。円相場と日本株の相関性の高さ(順相関の関係を)考えるならば、植田日銀の緩和政策維持を意識した「日本株高・円安」のトレンドが再燃する可能性がある(下のラインチャートを参照)。
しかし、このトレンドが再燃しても、今年6月まで続いた「米ドル高・円安のトレンド」が再び発生するかどうかについては、不透明な状況にあることを意識しておきたい。
そう考える理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げサイクルが最終局面に差し掛かっているからだ。
ドル円が145円台まで反発した最大の要因は、日米中銀の政策スタンスの差(緩和政策を維持する日銀と想定外に利上げ政策が長期化したFRBという構図)と、それに伴う日米利回り格差の拡大にあった。
しかし、FRBの利上げサイクルが最終局面に差し掛かっている今、これまでのような「米金利の上昇→日米利回り格差の拡大」というトレンドが進行する可能性は低下するだろう。
ゆえに、目先は「日銀緩和のトレード」を意識したドル円(USD/JPY)の上昇を想定しながらも、中長期のスパンではドル円が下落トレンドを形成する可能性を考えておきたい。
日本株とドル円の動向
140円台で注目しておきたいチャートポイント
上で述べたとおり、ドル円(USD/JPY)は昨日、140.00レベルをトライする局面が見られた。
140円台の上昇には失敗したが、日銀緩和を意識したトレードが再燃するムードにある以上、今のドル円の焦点は戻り高値の水準を見極めることにあろう。
19日のIG為替レポートで取り上げたドル円の10日EMA(10日線)は、昨日ドル円の上昇を止めた。今日現在、その10日EMAは139.92レベルで推移している。ゆえに今日もドル円の上昇局面では10日EMAの上方ブレイクに成功するかどうか?この点が焦点となろう。
これ(10日EMAの上方ブレイク)を達成する場合、ドル円が140円台の攻防へシフトする展開を想定しておきたい。
下の1時間チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメント(137.24-143.00)38.2%の水準139.40レベルはレジスタンスとして意識されただけでなく、上方ブレイク後の反落局面ではサポートポイントとしても意識された。これらの動向を考えるならば、このテクニカルの説明力はそれなりにあると考えられる。
ゆえにドル円が140円台の攻防となる場合、まずは半値戻しの水準140.12レベルの攻防に注目したい。
ドル円がこの水準(140.12レベル)をも難なく突破する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.80レベルを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。
反落局面では139.40の攻防が焦点に
一方、ドル円の上昇が10日EMAで止められる状況が続く場合は、ドル円(USD/JPY)の反落を警戒したい。
このケースで注目したいのが、”サポート転換” の兆しが見られる139.40レベルの攻防である。
昨日の海外時間の反落局面と同じく139.40レベルがサポートポイントとして意識される場合は、地合いの強さ(日銀緩和トレードの再燃)を市場参加者に印象付けるだろう。
一方、ドル円が139.40レベルを下方ブレイクする場合は、139円台の維持が焦点となろう。
ドル円が139円台を下抜けても、底固めのムードが漂う138円台を維持する限りは、戻り高値の水準を見極める状況が続く展開を想定したい。
ドル円の1時間足
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