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米ドル高の進行でドル円は重要ポイントをブレイク 今日の展望は?

経済指標とFRBの要人発言を受け米金利が反発基調を維持している。この動きを受け、外為市場では米ドル高が進行しドルインデックスはレジスタンスの103.00をあっさりとブレイクアウトした。米ドル高にサポートされ、ドル円も新たな局面へシフトするムードにある。目先の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

サマリー

・経済指標と利上げ長期化の思惑で米金利は反発基調を維持
・外為市場では米ドル高が進行し、ドルインデックスは103ポイントをブレイクアウト
・6月FOMCの利上げ確率が一時40%台へ上昇、FEDスピーカー達の言動に注目
・今日のドル円の見通しと上下のテクニカルポイントについて


進行する米ドル高

18日の外為市場では、米ドル高がさらに進行する展開となった。

この日発表された新規失業保険申請件数は24.2万件と、前週の26.4万件から減少した。失業保険継続受給者数も179.9万人と、前週の180.7万人から減少した。一方、5月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は-10.4と、前月の-31.3から改善の傾向を示した。これら経済指標の発表後、米金利の上昇幅が拡大した。

米ドル高の進行を受け米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は昨日、レジスタンスの103.00ポイントのみならず、半値戻しの水準103.33レベルをも大陽線で一気に上方ブレイクし、高値103.62レベルまで急伸する局面が見られた。

ドルインデックスのチャート

ドルインデックスのチャート TradingViewの日足:23年2月以降

6月FOMCの利上げ確率が上昇

4月の雇用統計は賃金の上昇を伴うタイトな労働市場の状況を示唆した。5月のミシガン大学期待インフレ率では、長期(5-10年)のインフレ率が2011年以来の水準まで上昇した。そして上で述べた経済指標はいずれも良好な内容となった。

一連の経済指標の内容を受け、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げの長期化観測がにわかに高まりつつある。

この点をFEDウォッチツールで確認すると、次回の連邦公開市場委員会(FOMC, 6月13日-14日開催)で市場が織り込む利上げの確率は、本日早朝に41%まで上昇する局面が見られた。そして9時過ぎ時点では36%付近まで低下している。

FRBの要人発言も米金利の上昇と利上げ長期化の観測を高める一因となっている。今年のFOMC会合で投票権を持つダラス連銀のローガン総裁は18日、3.4%と1969年以来の低水準で推移している失業率の動向と高インフレの状況を踏まえ、現時点では6月会合での利上げの見送りが適切である状況に達していないとの見解を示した。

今日はパウエル議長がFRB主催のイベントに参加する。また、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が金融政策研究会議に出席する他、ボウマンFRB理事の講演も予定されている。インフレの動向や今後の金融政策に言及する場合は、それら発言の内容次第で6月会合に対する市場の思惑が揺れ動くだろう。FRBによる利上げ政策の長期化の観測が米債市場と外為市場でさらに高まる場合は、米ドル高のトレンドをサポートしよう。

6月FOMCの利上げ確率

6月FOMCの利上げ確率 FEDウォッチのデータをもとに作成 / 23年5月19日9時10分時点

ドル円の見通しとテクニカル分析

拡大傾向にある日米の利回り格差

米ドル高の進行に連動し、ドル円(USDJPY)は今年3月8日の高値137.91レベルを大陽線であっけなく突破した。そして138円台へ上昇すると、高値138.74レベルを付ける局面が見られた。

米ドル高の進行を促しているのは、米金利の反発基調である。ドル円と日米利回り格差のトレンドを確認すると、5月以降利回り格差が再び拡大傾向へ転じ、それに伴いドル円の上昇幅が拡大していることがわかる。

上で述べたとおり、今日はFEDスピーカー達の講演などが予定されている。彼らの発言内容が利上げの長期化観測につながれば、日米の利回り格差はさらに拡大することが予想される。

ドル円と日米利回り格差のチャート

ドル円と日米利回り格差のチャート 日足:23年4月以降


上昇トライアングルの形成

ドル円(USDJPY)の週足チャートを確認すると、サポートとしてもレジスタンスとしても意識される局面が見られた重要ポイントの138.00レベルを大陽線で一気に突破していることがわかる。

138.00レベルはレジスタンスとして相場の上昇を止める可能性があった。しかし、日米利回り格差の拡大傾向を受け、重要ポイントの突破にあっさりと成功した。

さらなる上値トライのシグナルとなり得るアセンディング(上昇)・トライアングルのパターン形成となった状況も考えるならば、現在のドル円の焦点は「どこまで上昇するのか?」、この点にある。

あらためて週足チャートを確認すると、22年の最高値151.94レベルと23年1月の安値127.22レベルの半値戻しが139.58レベルにあたる。昨年の11月下旬に相場の上昇を止めた経緯のあるこの水準(半値戻しの水準)をトライするかどうか?目先はこの点に注目したい。

ドル円の139.00突破は、半値戻し(139.60レベル)を目指すシグナルと想定しておきたい。

ドル円が139.60レベルをもブレイクアウトする場合は、節目の140.00トライが焦点として浮上しよう。

ドル円のチャート①

ドル円のチャート:週足 TradingViewの週足:22年8月以降


反落局面でのチャートポイントは?

今日は金曜日(週末)であり、かつ短期間でドル円(USDJPY)の上昇幅が拡大していることも考えるならば、上値トライをトレンドの軸と想定しながらもドル円の反落も警戒しておきたい。

ドル円が反落する場合、目先の焦点は138円台の維持となろう。フィボナッチ・リトレースメントの23.6%の水準がこの水準(138.00レベル)にあたる下の15分足チャートを参照)。短期サポートラインの下方ブレイクは、138.00レベル(23.6%戻し)をトライするシグナルと想定しておきたい。

ドル円が137円台へ反落する場合、まずは137.90レベルがサポートへ転換するかどうか?を確認したい。ドル円がこの水準(137.90レベル)を下方ブレイクする場合は、レジスタンスからサポートへの転換が確認されている137.70レベルの攻防に注目したい(下の15分足チャートを参照)。

ドル円が137.70レベルをも下抜ける場合は、半値戻しの水準137.21レベルおよび200日MAが推移している137.10レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。

上で述べたサポートの水準をドル円がトライする局面で、RSIが売られ過ぎの水準「30」前後まで低下している場合は、相場の反発を想定したい。

ドル円のチャート②

ドル円のチャート② TradingViewの15分足:5月16日以降

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