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【ドル円の週間見通し】162円のトライが焦点に、アメリカ雇用統計と欧米中銀高官の発言に注目

今週のドル円(USD/JPY)は、先週に続き新たな上値の水準を見極める展開が予想される。6月の雇用統計をはじめとしたアメリカの重要な経済指標、そしてECBフォーラムでのラガルド総裁とパウエルFRB議長の発言が市場を大きく動かす可能性がある。ドル円が上昇トレンドを維持する場合、次に注目したい上値の水準は?反落局面でのチャート水準は?

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この記事のポイント

・6月の外為市場では、円安と米ドル高が同時に進行した
・ドル円は新たな上値の水準を見極める展開が続くだろう、162円のトライが焦点に
・円買い介入以外での反落ならば、ドル円の下値は限定的となろう
・今週はアメリカの経済指標、特に6月の雇用統計が材料視されるだろう
・ECBフォーラムではパウエル議長とラガルド総裁の発言が変動要因となろう


ドル円、今週の見通しとチャート分析

崩れる利回り格差との相関

下で述べるとおり、現在の外為市場では円安と米ドル高が同時に発生している。この状況を考えるならば、今週のドル円(USD/JPY)は、引き続き新たな上値の水準を見極める展開になると予想する。

また、ドル円が強気地合いを維持する理由として注目したいのが、日米利回り格差との関係である。

5月以降、米債市場では利回りの上昇が抑制される状況にある。一方、国内の債券市場では植田日銀の政策転換が意識され利回りが上昇基調にある。10年債利回り(長期金利)は、節目の1.0%を超える水準で推移する局面が多く見られる状況にある。これら利回りの動向を受け、日米の利回り格差は縮小の傾向にある。

しかしドル円は先週、1986年12月以来およそ37年半ぶりに161円台へ上昇する局面が見られた。本来であれば、日米の利回り格差の縮小はドル円の下落要因である。

しかし、その相関性が完全に崩れている今の状況は、ドル円のトレンドに影響を与えているのが金利差ではなく別の可能性、例えば新NISAで多くの日本人が海外資産の買いを進めていることによる機械的かつ持続的な「ドル買い・円売り」や、国内の実質金利が今後もマイナスで推移するとの予想(今後日本ではインフレが根付く一方で、日銀の利上げペースは緩慢になるとの予想)が、ドル円の上昇トレンドの土台となっている可能性に着目する必要があろう。

日米利回り格差とドル円のチャート:日足 23年6月以降

日米利回り格差とドル円のチャート:日足 23年6月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

TradingView提供のチャートで作成

上昇の局面では162円のトライが焦点に

今週もドル円(USD/JPY)が上昇トレンドを維持する場合、焦点は162円台への上昇となろう。この点を見極めるため、3つのレジスタンスの攻防に注目したい。

まずは、6月28日の高値水準「161.28」レベルである。この水準を上方ブレイクする場合、次の焦点はフィボナッチ・エクステンション61.8%の水準「161.53」レベルのトライとなろう。

ドル円が61.8%の水準を完全に突破する場合、次の焦点は76.4%の水準「161.84」レベルのトライとなろう。ドル円が161.84レベルをも難なく突破する場合は、162円台への上昇を意識したい。

ドル円が162円台の攻防へシフトする場合、最初の焦点はフィボナッチ・エクステンション100%の水準162.33レベルとなろう。この水準はN計算値でもある。ゆえに162円台の攻防では、162.30前後を最初のレジスタンスポイントとして意識しておきたい。

ドル円のチャート:45分足 6月25日以降

ドル円のチャート:45分足 6月25日以降

TradingView提供のチャートで作成

反落の局面では160円と158円の攻防に注目

一方、下で述べる今週の注目材料が米ドル安の要因となる場合、ドル円(USD/JPY)は反落するだろう。しかし、根強い円安のトレンドを考えるならば、政府・日銀による円買い介入以外で下値をトライする場合、その幅は限定的となろう。

ドル円の反落局面で注目したいのが、IG為替レポートで何度も取り上げている160円レベルの「サポート転換」である。

ドル円が160円を下方ブレイクしても、現時点では158円台を維持する展開を想定しておきたい。158.00レベルも「サポート転換」を意識する水準である。また、158.00レベルはテクニカルの面で直近高安の半値戻しの水準にあたり、今日現在21日線(158.04レベル)が上昇している(下の日足チャートを参照)。

ドル円が158円を目指すシグナルとして、まずは10日線とフィボナッチ・リトレースメント23.6%の攻防に注目したい。

10日線は今日現在159.68レベルまで上昇しており、23.6%水準「159.69」レベルと交錯する。

ドル円が23.6%水準を下方ブレイクする場合、次の焦点は6月21日と24日に相場をサポートした経緯のある38.2%水準「158.71」レベルの攻防となろう。

ドル円が38.2%水準をも下方ブレイクする場合は、158.00をトライするシグナルとして警戒したい。

ドル円のチャート:日足 24年4月以降

TradingView提供のチャートで作成

ドル円のチャート:日足 24年4月

6月の外為市場:止まらない円安

6月の外為市場を振り返ると、円安が進行した1か月となった。ドル円(USD/JPY)は、1986年12月以来およそ37年半ぶりの米ドル高・円安の水準まで上昇した。

一方、対メキシコペソとブラジルレアルでは円高となった。しかし、この動きは円買いというよりも、財政悪化の懸念が意識されたメキシコペソとブラジルレアルに対する下落の圧力が高まったことが主因である。

他のクロス円の動向も考えるならば円安の圧力は根強い。ゆえに、7月も円安の進行を警戒したい。

円相場 6月の動向

円相場 6月の動向 ブルームバーグの為替データで筆者が作成

6月の外為市場:米ドル高優勢の展開に

6月は円安が進行した1か月となった。もう一つ注目すべきは、米ドル高優勢の展開となったことである。

主要通貨のなかで明確にドル安へ振れた通貨は南アランドのみだった。それ以外の主要通貨に対して米ドルは上昇するか、下落してもその幅は限定的となった。

米ドル相場 6月の動向

米ドル相場 6月の動向 ブルームバーグの為替データで筆者が作成

根強い米ドル買いの需要

5月の物価指数はいずれも、インフレが鈍化または抑制の傾向にあることを示した。短期金融市場では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが意識される状況にある。

これらの動向を受け、米債市場では利回りの上昇が抑制されている。それでも6月が米ドル高優勢の1か月となったことは、それだけ米ドルの需要が強いことを示唆している(下のチャート、赤ゾーンを参照)。

そして今週は、下で述べる重要なアメリカの経済指標、特に6月の雇用統計が労働市場の底堅さを示唆する場合は、米ドル買いの需要を高める要因になり得る。

米金利とドル指数のチャート:日足 24年以降

米金利とドル指数のチャート:日足 24年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

今週の3つの注目材料

注目材料1:6月のアメリカ雇用統計

今週も外為市場で米ドル高優勢の状況が続くかどうか?その鍵を握るのが、6月の経済指標となろう。1日にISM製造業景気指数、3日にISM非製造業景気指数そして5日に雇用統計が発表される。特に市場参加者は、6月の雇用統計に注目するだろう。

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降

アメリカ雇用統計 各項目の動向:23年6月以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:6月の市場予想


5月の雇用統計は数字こそ強かった。しかし詳細を確認すると、パートタイム労働者の採用は増加したが、正社員の採用は抑制された。

また、コロナパンデミックとそれに伴いインフレが急速に進行して以降、複数の雇用先で働く労働者の数が高止まりしていることが確認された(下のチャートを参照)。

表向きの数字が示すほど、労働市場は堅調ではないとの見方がある。しかし、重要なのは市場の反応である。予想を上回った5月の雇用統計を受け、先月7日の外為市場では米ドル高優勢の展開となった。

また、5月の物価指数でインフレの鈍化傾向が確認されても米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ再燃に対する警戒レベルは依然として高い。ゆえに6月の雇用統計が市場予想を上回る場合は、米ドル高の要因になると予想する。

雇用先が複数ある労働者の合計:2019年以降

雇用先が複数ある労働者の合計:2019年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

ドル指数は重要水準の突破が焦点に

米雇用統計の強い内容が外為市場に与える影響の大きさは、他の経済指標の内容に左右されるだろう。雇用統計以外の指標で市場予想を上回る内容が続く場合、外為市場では米ドルを選好するムードが高まろう。

この状況で6月の雇用統計が市場の予想を上回る場合、米ドル相場の大まかなトレンドを示すドル指数(DXY)は、重要なレジスタンスの水準「106.50」レベルをトライそして上方ブレイクする展開が予想される。

ドル指数が106.50レベルを完全に上方ブレイクした後、この水準がサポートラインへ転換する場合は、チャート分析の観点からも米ドル高の根強さを市場参加者に意識させよう。

一方、今週の経済指標が米ドル安の要因となる場合は、10日線(105.67レベル)の下方ブレイクと21日線(105.20レベル)のトライを想定しておきたい。

ドル指数のチャート:日足 24年3月以降

ドル指数のチャート:日足 24年3月以降

TradingView提供のチャートで作成

今週の注目材料2:パウエル議長とラガルド総裁の発言

今週1日から3日の日程で、欧州中央銀行(ECB)主催の年次フォーラムが開催される。今年のテーマは、「Monetary policy in an era of transformation-変革の時代における金融政策」である。

ラガルド総裁らECBの高官やパウエルFRB議長らが討論会や講演に参加する。注目は2日に行われる討論会となろう(日本時間22時30分)。ラガルド総裁とパウエルFRB議長によるインフレの見通しと金融政策に関する発言は、ユーロ相場と米ドル相場の変動要因となろう。

特に注目されるのはパウエルFRB議長の言動である。5月の個人消費支出(PCE)価格指数(PCEデフレーター)では、インフレの抑制傾向が確認された。しかし、パウエルFRB議長が早期の利下げについて慎重な姿勢をあらためて示す場合は、9月利下げの期待を後退させる要因となろう。外為市場では米ドル高の要因となろう。逆に、利下げに前向きな発言が聞かれる場合は、米ドル安の要因となろう。

米政策金利 9月FOMCの予想確率

アメリカの政策金利 9月FOMCの予想確率 出所:CMEのFedWatch ツール / 6月29日時点の予想確率

今週の注目材料3:FOMC議事要旨

7月3日にFOMC議事要旨(6月11日~12日開催分)が公表される。

多くの参加者からインフレリスクについての懸念が示され、早期の利下げについて慎重な意見が相次いでいたことが判明する場合は、やはり9月利下げの期待を後退させる要因となろう。タカ派のFOMC議事要旨も米ドル高の要因となろう。


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