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株安は一服するも先行きリスクを意識する状況が続く

米株安はひとまず一服するも長期金利は低下基調を維持している。外為市場で米ドルやスイスフランを買う動きが見られたことも考えるならば、景気の先行きリスクを意識する状況は続くだろう。目先の注目材料は3月米雇用統計。注目すべきことは?そして外為市場の展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※ドル円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください。
※ユーロドルの見通しについてはこちらのレポートをご覧ください。


サマリー

・米株安は一服するも長期金利は低下基調を維持
・外為市場では米ドルやスイスフランを買う動きが見られた
・現在のマーケット動向を考えるならば景気リスクを意識する状況は続くだろう
・3月の米雇用統計と外為市場の展望について


景気の先行きリスクを意識する状況が続く

6日の欧米株式市場は上昇して終えた。株安がひとまず一服したことを受け、昨日の外為市場では対主要通貨で円売りの展開が見られた。

ドル円(USDJPY)は131.90レベルまで反発した。ドル円の動きに連動しユーロ円(EURJPY)は100日MA(142.47レベル)でサポートされると、高値144.05を付ける局面が見られた。ポンド円(GBPJPY)は、163.00レベルがサポートへ転換する兆しが見られる。

円相場の動向:4月6日

円相場の動向:4月6日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:4月5日


しかし、リスク回避相場が完全に後退したわけではない。6日の米債市場では長期金利が低下基調を維持した。それにもかかわらず、ユーロやスイスフランを除いた対主要通貨で米ドルを買う動きが見られた。

その米ドルに対して、リスク回避の局面では日本円と同様に買いの圧力が高まりやすいスイスフランが上昇した。対主要通貨でも総じてスイスフラン買いの展開となった。

冒頭で述べたとおり米国株は上昇して終えたが、マイクロソフト(MSFT)やアルファベット(GOOGL)など一部の大手ハイテク株の買い戻しにサポートされた側面が強く、ダウ平均(DJI)やS&P500種株価指数(SPX)の出来高は低調だった。

これら市場の動きを考えるならば、景気の先行きリスクを意識する状況が続くことを想定しておきたい。

スイスフラン相場の動向:4月6日

スイスフラン相場の動向:4月6日 ブルームバーグの為替データをもとに作成 / 基準日:4月5日

3月の米雇用統計と外為市場の展望について

情勢の変化で経済指標の捉え方も変化

現在の米国市場(株式と債券の市場)と外為市場(米ドル相場)は、経済指標にらみの展開となっている。

今週の米経済指標はいずれも米国経済の先行きリスクを各市場の参加者に意識させた。今日は海外市場が休場となるなかで3月の米雇用統計が発表される。

インフレの進行と金融引き締めが警戒されていた時は、「良いニュースは悪いニュース」と言わんばかりに強い経済指標がリスク回避相場の要因となってきた。

しかし現在は、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了と今年後半の利下げ、さらには景気の先行きリスクまでが意識される状況にある。このような情勢の変化を考えるならば、強い経済指標は素直に「良いニュース」として各市場で受け止められる可能性が高いだろう。

それゆえ、3月米雇用統計で労働市場の堅調さが確認される場合-例えば、非農業部門雇用者数変化が予想よりも少し超える雇用増となり失業率が予想の範囲内となる場合は、来週以降、短期的な米国株の上昇と米金利の低下一服が予想される。

米国市場がこの展開となれば、ドル円(USDJPY)は反発基調を維持するだろう。ドル円の上昇に連動しユーロ円(EURJPY)やポンド円(GBPJPY)などのクロス円もひとまず底堅さを維持することが予想される。

一方、他の雇用関連指標と同じく3月米雇用統計でも労働市場の冷え込みが確認される場合は、将来の景気後退リスクを各市場の参加者に意識させよう。このケースでは、来週以降も米金利の低下が続くだろう。米株安が続く可能性もあるため円高の再燃を警戒したい。

リスク回避局面(米金利の低下と米株安が同時に発生する局面)では、スイスフランの買い圧力も高まることが予想される。

非農業部門雇用者数変化と失業率の推移

非農業部門雇用者数変化と失業率の推移 米労働省とブルームバーグのデータを基に作成 / 月次:2022年以降


強すぎる米雇用統計は米ドル高の要因に

3月米雇用統計がリスク回避相場の要因となり得るもう一つのシナリオとして、「強すぎる内容」が挙げられる。

非農業部門雇用者数変化が市場予想をはるかに超えると同時に失業率が低下し、さらに賃金インフレの懸念を各市場の参加者に意識させる結果となれば、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが利上げサイクルの停止を決定しても、高い水準で政策金利(FFレート)を維持する可能性(年内の利下げの可能性の低下)が各市場で意識されよう。このケースでは、今日の外為市場で米ドル買いの展開が予想される。

来週以降、米金利の反発ムードが高まる場合は米国株の下落要因となろう。このケースでの外為市場では、短期的な米ドル高相場を想定しておきたい。

平均時給の推移

平均時給の推移 米労働省とブルームバーグのデータを基に作成 / 月次:2022年以降

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