米CPI、4月は横ばい予想 10日発表 上振れならドル円相場でドル高か
米国で10日に4月のCPIが発表される。伸び率が市場予想を上回れば、FRBの利上げ打ち止め観測が後退し、ドル円相場を左右しそうだ。
10日に発表される米国の4月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率が3月からほぼ横ばいになると予想されている。一方、5日に発表された4月の雇用統計は市場予想を上回る強さで、経済活動を冷やそうとしている連邦準備制度理事会(FRB)の苦境は深まっている。こうした中で、4月のCPIが期待に反して強ければ、FRBのこれまでの利上げの効果が薄いとの見方が強まり、金利の先高観につながる可能性もありそうだ。この場合はドル円相場が円安ドル高方向に動くシナリオも想定される。
米国の4月のCPI伸び率は5.0%の予想
米国の4月のCPIは日本時間10日午後9時30分に発表される。ロイター通信がまとめたエコノミスト調査によると、総合指数の前年同月比伸び率は5.0%と予想されており、3月(5.0%)と同じになる見通し。価格変動が大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は5.5%予想で、3月の5.6%からわずかに物価上昇が鈍化するとみられている。
4月の雇用統計は予想以上の強さ
一方、5日に発表された4月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が25.3万人の増加で、事前の市場予想(18万人増)を大きく上回った。3.6%予想だった失業率も3.4%という結果で、いずれも米国の雇用の強さを示す内容だった。ただし2月と3月の就業者数は下方修正されている。中でも3月は速報値の23.6万人が16.5万人に引き下げられ、2021年1月以降で初の20万人割れとなった。
強いCPIなら利上げ打ち止め観測はさらに後退か
4月の雇用統計の強さは金利の先高観を感じさせる内容だ。CMEグループのデータによると、次回(6月13、14日)のFOMCでの0.25%利上げについて、投資家の動きから算出される確率は日本時間7日夜の時点で9.6%となった。雇用統計発表前は0%だったことを踏まえれば、「金融システムへの不安がある中で、FRBはこれ以上の利上げには踏み切れない」という利上げ打ち止め観測が雇用統計の結果でやや後退した形だ。5日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(チャート)は円安ドル高に振れた。
こうした中で4月のCPIの結果が予想を上回る強さだった場合、利上げ打ち止め観測がさらに後退する可能性がある。FRBは物価上昇を抑えるため、2022年3月以降10回連続の利上げを行い、相次ぐ銀行の経営破綻という苦い結果も招いてきた。にもかかわらず4月のCPIでも物価上昇率が十分に下がらなければ、FRBは利上げを止める理由が見つからなくなってしまう。
逆に、4月のCPIが予想を下回った場合は、3月のCPIが発表された際のように、ドル円相場は下押しされそうだ。3月のCPIは総合指数の伸び率が5.0%で市場予想(5.2%)を下回ったことが材料視され、ドル円相場は0.5円ほど円高ドル安への動いた。ただしコア指数の伸び率は市場予想と同じ(5.6%)だったこともあり、円高方向の動きは2日間ほどで止まっている。
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