米国の3月物価上昇に根強さ FRBは景気後退も意識 株価は下落で反応
米国の物価上昇圧力の強さはFRBに利上げを迫っている。一方、FOMC議事要旨には景気後退への言及があり、12日の株価は下落した。
米国経済の先行きに不透明感が広がっている。米労働省が12日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の根強さが確認される内容。一方、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、金融不安を背景にした景気後退リスクへの言及があったことも判明した。連邦準備制度理事会(FRB)は止まらない物価上昇を抑え込むための利上げと、景気後退の可能性に配慮した利上げ打ち止めとうい相反する対応を迫られている状況だ。12日の米国の株式市場は議事要旨公表後に下落しており、投資家も経済の先行きへの不安を強めている。
3月CPIコア指数は5.6%上昇
3月のCPIでは、すべての品目を対象にした総合指数の伸び率が前年同月比5.0%だった。2月の数字(6.0%)や事前の市場予想(5.2%)を下回る結果で、物価上昇の緩和も感じさせた。ただし食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は市場予想と同じ5.6%で、2月(5.5%)からわずかに拡大した。エネルギー価格の下落が物価全体の上昇率の低下につながったものの、モノやサービスに対する需要の強さが物価を押し上げている構図自体は変わっていないとみられる。
FOMC議事要旨「今年後半に緩やかな景気後退」
こうした中、3月21、22日に開かれたFOMCの議事要旨では事務方の経済見通しの中に「今年後半に緩やかな景気後退が始まり、その後2年かけて回復していく」とのシナリオがあったことが分かった。3月10日のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻をきっかけに広がった金融システムへの不安が経済に悪影響を与えることを想定した結果だ。事務方は「金融市場の問題に関連する景気後退は歴史的にみて通常の景気後退よりも厳しく持続的なものになる」と指摘している。
金融不安が経済活動を抑え込む可能性については、最近のシカゴ連銀総裁の発言でも言及されている。FRBが2022年3月から続けてきた利上げの効果が時間をおいて現れることを考慮すれば、今後の利上げは経済を冷やしすぎる可能性もはらみ、実施の是非を慎重に検討する必要がある。
ただし3月のCPIで確認された物価上昇の根強さはFRBにとって無視できない問題だ。FOMCの議事要旨でも、参加者が「物価上昇率は受け入れがたいほど高い」という見方で一致し、金融政策の見通しについて、物価上昇率を目標とする2%に戻すためには「いくらかの追加的な引き締めが適切」と見込んでいることも示された。
米国の株式市場は下落
12日の株式市場は下落で反応した。S&P500種株価指数は議事要旨公表後に下げが加速し、前日終値比0.41%安で取引を終えた。ハイテク株の比率が多いナスダック総合指数や、ダウ工業株30種平均も同様の動きで値下がりした。ドル円相場ではCPI発表後、133円台後半から132円台後半まで1円程度ドル安が進んだが、その後は133円台前半まで値を戻している。
投資家はFRBの利上げが企業業績に悪影響を与える可能性や、米国の将来的な景気後退が利下げやドル安につながる筋書きを念頭におきながら、市場の先行きを占っているようだ。
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