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FRB、銀行融資の異変を警戒 シカゴ連銀総裁が言及 残高は2週連続減少

FRBが銀行融資の異変を警戒している。融資残高は金融不安後に減少しており、今後の利上げは経済活動を冷やしすぎるリスクもある。

出所:ブルームバーグ

米連邦準備制度理事会(FRB)が銀行融資の異変を警戒している。米国の商業銀行の融資残高はシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻後に減少に転じており、経済活動の冷え込みを予感させているからだ。FRBは物価上昇を抑え込むために利上げを続けてきたが、SVB経営破綻で始まった金融不安という予想外の事態の結果、利上げを続けなくても物価上昇が落ち着く可能性が出てきた。FRBは12日に発表される3月の消費者物価指数(CPI)などのデータを踏まえ、5月2、3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げの必要性を検討する。

銀行は融資に慎重になるか

シカゴ連銀のグールズビー総裁は11日の講演で、「金融不安の影響がどう出るかが不確定な状況を考えれば、FRBは慎重になる必要がある」と言及。「さらにデータを集め、利上げが行き過ぎにならないよう注意すべきだ」と述べた。

グールズビー氏が注目しているのは、金融不安で預金流出のリスクに直面した銀行が融資に消極的になるかどうかだ。グールズビー氏は銀行が融資を絞り込めば企業や個人の経済活動は鈍くなり、物価上昇圧力が弱まることを踏まえ、「金融不安への反応が金融の引き締めにつながるなら、金融政策の手を弱めなければならない」とした。

融資残高が2週間で1000億ドル超減少

銀行融資の異変はすでに数字に表れ始めている。FRBが7日に発表した統計では、3月29日で終わった週の商業銀行の融資残高(季節調整済み)は12兆653億ドルで、前週から451億ドル減少。前々週からの下げ幅は1047億ドルに達した。

一方、銀行融資は資金需要の面からも減少していく可能性がある。FRBは2022年3月から利上げを開始し、政策金利はすでに4.75-5.00%に達した。利上げで金利が高くなれば、通常、企業や個人は資金の借り入れに消極的になる。結果として経済活動は冷え込むが、同時に物価上昇圧力も弱まると期待される。

仮に、金融不安で融資をためらう貸し手側の事情と、これまでの利上げで資金調達に慎重になる借り手側の事情の両方の影響で、銀行融資が減ることになれば、経済活動の冷え込みが想定以上に大きくなるリスクも膨らむ。ロイター通信によると、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は11日の講演で、金融政策の効果が経済に完全に浸透するために1年半かかる可能性もあると言及し、「FRBによる追加的な金融政策が必要になるかどうかを見極めるため、今後のデータを注視していく」と述べた。

物価上昇率は高く、雇用は堅調

ただしFRBが物価上昇率の基準として重視する個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は3月、食品とエネルギーを除いたコアベースで前年同月比4.6%で、FRBが目標とする2%を大きく上回っている。7日に発表された3月の雇用統計でも非農業部門の就業者数が23万6000人増加するなど、雇用の堅調さが印象付けられた。

米CMEグループのデータによると、次回のFOMCでの0.25%の利上げについて、投資家が予想する確率は日本時間12日午後12時40分現在で66.9%となっている。12日夜に発表される3月のCPIの数字は、経済活動の見通しに神経をとがらせるFRBの政策判断にも大きな影響を与えそうだ。


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