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FRB、利上げへ背中押される 3日決定見通し 強い物価 銀行破綻は不安

最近の経済指標は物価上昇に加え、経済の強さも感じさせ、FRBは利上げを決める見通し。一方、金融システムへの不安は消えていない。

出所:ブルームバーグ

3日にFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を公表する米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げへと背中を押されている。このところの経済指標は物価上昇の根強さや経済活動の底堅さを示す内容が目立ち、市場ではFOMCで0.25%の利上げが決まると見込まれている。1日のファースト・リパブリック銀行の経営破綻後の金融市場が安定していたことも、ひとまずは安心材料だといえる。ただし相次ぐ銀行の経営破綻は、FRBの利上げがもたらす副作用の現れであることは確かだ。このためパウエル議長がFOMC後の記者会見で、物価上昇の見通しや利上げ打ち止めのタイミングについてどのような見解を示すかが注目される。

3月のPCE物価指数はコアで4.6%上昇

FRBの物価上昇との闘いはさらに長引く様相をみせている。4月28日に発表された3月の個人消費支出(PCE)物価指数の前年同月比伸び率は4.2%。2月の5.1%から減速したものの、FRBが目標とする2%の2倍以上にあたる。しかも価格変動が大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は4.6%で、2022年11月以降横ばいといえる状況だ。

また2023年1-3月期のGDP速報値では個人消費の伸びは3.7%増という強さで、米国内の消費意欲が衰えていないことが示された。さらに5月1日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の製造業景況感指数は47.1で好不況の基準となる50を6か月連続で下回ったものの、前月から0.8ポイント上昇し、市場予想も超えている。こうした経済活動の根強さは物価上昇圧力を継続させる要因だといえる。

FRBの利下げ開始が後ずれするとの観測も

こうした中、2、3日のFOMCでは0.25%の利上げが行われるとの見方が大勢だ。CMEグループのデータによると、3日の0.25%利上げ決定について、投資家の動きから算出される確率は日本時間1日夜時点で約93%に達している。また、12月のFOMC後の政策金利の水準が現在の4.75-5.00%以上である見込みは8.0%で、4月末時点の4.4%から下落している。FRBが利下げに向かうタイミングが後ずれするという観測が強まっているようだ。

政策金利の先高観の背景には、1日のファースト・リパブリック銀の経営破綻後、金融市場に大きな混乱が起きなかったこともある。ファースト・リパブリック銀を買収することが決まったJPモルガン・チェースの株価(チャート)は約2.1%上昇。S&P500種株価指数も前日とほぼ同水準で取引を終えた。外国為替相場ではドルが買われ、1日のニューヨーク市場ではドル円相場(チャート)が1円以上円安ドル高に動いた。もちろん金融システムへの不安が消えたわけではなく、1日の株式市場でも地銀株は値下がりしている。

FRBの利上げは相次ぐ銀行破綻の背景にも

ただし3月以降で3行目となる大規模な銀行の経営破綻はFRBの利上げと無関係ではない。ファースト・リパブリック銀行の場合は、利上げに伴い、預金者に支払う預金を引き上げなければ預金が他行に流出してしまう状況に陥ったことや、保有する住宅ローン債権の価値が目減りしたことが経営悪化の要因だったとされている。さらに、経営状況が悪化した銀行が貸し出しに慎重になるとの見方もあり、この場合は企業や個人の経済活動にとっては逆風になる。

FRBは物価上昇を抑え込むために利上げの手を緩めるわけにはいかないが、これまでの利上げが経済活動や銀行の健全性に与える影響についても気を配らなければならない。パウエル氏の記者会見では、FRBが物価との闘いに軸足を置いた利上げ継続を重視しているのか、景気の先行きを踏まえて利上げ打ち止めを視野に入れているのかが注目点となりそうだ。


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