今週の焦点は11月米CPIとFOMC / ドル円とユーロ円の展望
今週の外為市場は、11月米消費者物価指数(CPI)と連邦公開市場委員会(FOMC)で大きく動く可能性がある。それぞれの注目ポイントは?ドル円とユーロ円の展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
今週の焦点は11月米CPIとFOMC
【サマリー】
・インフレリスクの焦点はピークアウトから今後のトレンドへシフト
・今週の焦点は11月米CPIと連邦公開市場委員会(FOMC)
・上値の重い展開が続くドル円だがCPIとFOMC次第では138.00のブレイクも
・ユーロ円は短期レジスタンスラインの攻防が焦点に
今後のインフレリスクの焦点
11月の米生産者物価指数(PPI)は予想を上回る伸びとなった。前年比のトレンドを確認すると低下基調にある。この動きは、インフレがピークアウトしていることを示している。
注目すべきは、先週9日の米国市場が「金利の上昇 / 株安」で反応したことである。この動きは、米国のインフレリスクの焦点がピークアウトから「低下トレンドを辿るのかどうか?」へシフトしていることを示唆している。
米生産者物価指数の推移
焦点は11月CPIと今年最後のFOMC
今後のインフレ指標で、連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標(2.0%付近)に向かって「インフレが低下しないリスク」が意識される場合は、米金融引き締めの長期化懸念が高まるだろう。
この懸念の高まりは現在の市場トレンド-米金利の低下とそれに伴う米ドル安のトレンドをひとまず止める可能性がある。
また、根強いインフレリスクと金融引き締め長期化の懸念は米国株の下落要因でもある。ゆえに米株安(リスク回避の動き)も米ドル相場のサポート要因となろう。
11月の米消費者物価指数(CPI)
そのインフレ動向を考える上で、今週13日の11月米消費者物価指数(CPI)に市場参加者の注目が集まっている。前年比の予想は7.3%と、前月の7.7%から低下する見通しとなっている。コア指数(同比)も6.3%から6.1%へ低下する見通しである。
11月米CPIが予想どおりの内容ならば、翌日に連邦公開市場委員会(FOMC)が控えていることもあり、米債市場と米ドル相場への影響は限定的となろう。
注目すべきは、11月PPIに続きCPIも予想以上となる場合である。CPIでもインフレのピークアウトを示唆するトレンドにあるが、強いPPIに対する米国市場の反応を考えるならば、強いCPIでは「インフレがなかなか低下しないリスク」が米国の債券市場と株式市場で意識される可能性が高い。
また、根強いインフレ懸念は米金融引き締めの長期化懸念につながる。よって、CPIが予想外に伸びる場合は「米金利の上昇→米株安→米ドル買い」の展開が予想される。
米消費者物価指数の推移
米連邦公開市場委員会(FOMC)
今週13~14日に今年最後の連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
利上げ幅については50ベーシスポイントが市場のコンセンサスとなっている。PPIに続きCPIも予想以上の伸びとなれば、75ベーシスポイント利上げの確率が上昇することが予想される。だが、パウエルFRB議長を含めた直近のFEDスピーカーの言動を考えるならば、12月FOMCでは50ベーシスポイントの利上げが決定されると思われる。
利上げペースの減速について各市場の参加者はすでに織り込んでいる。よって今回の焦点は、最新の経済と政策金利の見通しにあろう。経済見通しでは、インフレ予想が外為市場の変動要因となる可能性がある。
先月30日、米ワシントンのブルッキングス研究所での講演でパウエルFRB議長は、最終的な利上げの到達点の上方修正を示唆した。よって23年末の政策金利の見通し(ドットプロット)は、9月時点の予想中央値4.6%以上となる可能性が高い。
現状、短期金融市場では23年3月から7月にかけて政策金利が4.9%台まで引き上げられることを予想している。政策金利の見通しが5%を超える場合、外為市場では米ドル買いの展開が予想される。
米政策金利の予想推移
ドル円の展望とチャートポイント
下値トライを意識する状況が続く
今週のドル円(USDJPY)は、上で述べた11月CPIとFOMCで大きく動くことが予想される。上下どちらに振れるかは、それぞれの内容次第となろう。
現在のドル円は10日線(MA/136.68レベル)がレジスタンスラインとして意識されている。モメンタム(12日間)では低下トレンドが一服しているが、未だにゼロラインを下回る状況にある。予想以上となった11月米PPIを受けても上昇幅が限定的だったことも考えるならば、ドル円の地合いは弱い。よって、今週のドル円は下値トライを意識しておきたい。
予想どおりにドル円が下落する場合、目先の焦点は134円台の維持となろう。136.00のブレイクは134.00をトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円の下落幅が拡大し134.00をもあっさりとブレイクする場合は、今月2日の安値133.62レベルのトライが焦点として浮上しよう。
一方、MACDではドル円の下落圧力が後退するシグナルが点灯しつつある。上で述べたように11月米CPIでインフレ懸念が高まり、かつタカ派のFOMCとなる場合は、米金融引き締めの長期化観測が意識されることで米金利の反発が予想される。外為市場では米ドル買いの圧力が高まることで、ドル円をサポートしよう。
上のケースでの焦点は、138.00のブレイクである。この水準はサポートからレジスタンスへ転換するムードが出ている。また、138.30台に21日線(MA/138.37レベル)が低下している状況も考えるならば、138円前半でドル円の戻りが止められる可能性がある。
一方、ドル円が21日線の突破にも成功する場合は、短期レジスタンスのトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう。このラインは今週139.45→138.00レベルで推移する。
ドル円のチャート
ユーロ円の展望とチャートポイント
焦点は短期レジスタンスラインの攻防
一方、ユーロ円(EURJPY)は、10日線(MA/143.35レベル)で底堅い展開となっている。この動きに連動し、モメンタム(12日間)もゼロラインを視野に上昇基調にある。
しかし、ユーロ円のトレンドに影響を与えているドル円(USDJPY)は上値の重い展開が続いている。ユーロドル(EURUSD)の上昇がレジスタンスの1.06手前で抑制されている状況も考えるならば、ユーロ円が反発しても上昇幅は限られる可能性がある。
今週のユーロ円は、短期レジスタンスラインのトライおよびブレイクに成功するかどうか?この点に注目したい。今月7日に相場の上昇を止めた50日線(MA/144.72レベル)が今週、このラインと交錯する。ゆえに短期レジスタンスラインの攻防となる場合は、市場参加者の注目を集めると思われる。
ユーロ円が短期レジスタンスラインで反落する場合は10日線、143.00および半値戻しの水準であり、かつ今月2日の下落を止めた140.90レベルの攻防が焦点となろう。
一方、ユーロ円が短期レジスタンスラインを突破する場合は、先月23日に相場の上昇を止めた146.00レベルまで上昇する可能性が出てくる。
ユーロ円のチャート
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