今週の注目材料は欧州中央銀行(ECB)理事会 / ユーロドルとユーロ円 今週の注目ポイント
今週の注目材料は8日の欧州中央銀行(ECB)理事会となろう。注目の通貨ペアはユーロドルとユーロ円。今週注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の注目材料は欧州中央銀行(ECB)理事会
【サマリー】
・今週の注目材料はECB理事会
・75bps利上げの可能性は織り込み済み 焦点は今後の政策スタンス
・ユーロ買いとなっても対米ドルと日本円では違ったトレンドになる可能性あり
・ユーロドルのチャートポイント
・ユーロ円のチャートポイント
・大幅利上げを織り込んでいる外為市場
今週8日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。前回の理事会(7月21日開催)でECBは11年ぶりの利上げを決定し、マイナス金利政策が終了した。
ユーロ圏のインフレ率が過去最高を更新し続けている状況を考えるならば、今回の理事会でも大幅利上げは確実な情勢となっている。
利上げの幅については50bps(ベーシスポイント)と75bpsで見方が分かれているが、理事会を前にECBのキーマン達から75bps利上げの可能性を示唆する発言が相次いだ。
これらの発言を受け、外為市場ではすでにユーロ買いの展開が見られた。この状況を考えるならば、利上げそれ自体がユーロ買いの要因となる可能性は低いだろう。
・ECB理事会とユーロ買い
CBイベントでユーロ買いの圧力が高まるならば、その要因はラガルド総裁が持続的な金融引き締め政策の必要性に言及する場合と思われる。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先月26日のジャクソンホール講演で、インフレ抑制のために持続的な金融引き締め政策の必要性について説き、株式投資家が抱く早期(来年)の利下げ期待を後退させた。
その後、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での75bps利上げの可能性が強く意識され、外為市場では米ドル買いの圧力が高まり、ドルインデックス(DXY)は110.00ポイントの水準をトライする展開となっている。
ユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は、8月に前年同月比9.1%上昇まで上昇した。
ロシアは欧州向けのガス供給再開を延期すると発表。エネルギー供給を欧州けん制の外交手段としているロシアの動きを考えるならば、今冬に向けてユーロ圏のインフレ率は二桁台へ到達する可能性が高い。
エネルギー価格の高騰とそれに伴うインフレリスクの抑制を重視し、ECBが継続的な利上げスタンスを表明する場合、短期的なユーロ買いの圧力が高まることが予想される。
ユーロ圏のインフレ率推移
なお、短期金融市場では年内にECBが中銀預金金利を1.6%台まで引き上げる可能性を織り込んでいる。
インプライド政策金利の推移
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・対米ドルでのユーロ買いは限定的と予想
ECBイベントでユーロ買いの展開となっても、ユーロドル(EURUSD)の上昇幅は限定的と予想する。
直近の動きを確認すると、ユーロドルは0.99-1.01のレンジで売り買いが交錯している。上で述べたとおり、先週は大幅利上げ期待を受けてユーロ買い優勢となった。しかし、対米ドルでは小幅ながら下落した。これは、ロシアーウクライナ紛争の長期化を受けたユーロ圏経済の先行きリスクとそれによる米欧の利上げペースの差が意識されている動きと考えることができる。
ユーロ相場のパフォーマンス:対G10通貨
また、日足ローソク足の動きを確認すると、8月26日の相場では1.01手前で長い上ヒゲが示現し陰線引けとなった。
そして9月2日の相場では1.005レベル手前の水準で長い上ヒゲが示現し、翌日は0.99レベルを視野に下落する局面が見られた。
実体の攻防でも1.005レベルで上昇が止められていることがわかる。これらの動きは、1.005以上の水準ではユーロ売りの需要が強いことを示唆している。
ユーロドルのチャート
・ユーロドルのチャートポイント
今週のユーロドル(EURUSD)のチャートポイントだが、反発の局面では上で述べた1.005レベルの攻防が焦点となろう。
レジタンスラインとして意識されている21日EMAが今日現在1.00477レベルまで低下している。テクニカルの面でも1.005レベルはレジスタンスとして意識されやすいタイミングにある。21日EMAを完全に上方ブレイクしても、レンジの上限として意識されている1.01レベルで反落するリスクを想定しておきたい。
今のユーロドルで常に意識すべきは、上値トライよりも下値トライである。よって、今週もレンジの下限として意識されている0.99のトライおよびブレイクが焦点となろう。
週明け早朝に0.99027まで下落する局面が見られた。ユーロドルが0.99を完全に下方ブレイクする場合は、このレポートで指摘しているフィボナッチ・プロジェクションの各水準の攻防-76.4%戻し(0.9862レベル)および100.0%戻し(0.9706レベル)の攻防に注目したい。
ユーロドルのチャート
ユーロ円の焦点とチャートポイント
・上昇局面での焦点
今週のユーロ円(EURJPY)は、ECB理事会の動向で上下に大きく振れる可能性がある。
日欧の金融政策スタンスの差が強く意識される場合は、「ユーロ買い/円売り」の展開が予想される。また、ECBイベント前に思惑先行のユーロ買いとなることも考えられる。いずれにしても「ユーロ高/円安」の局面では、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.12レベルの突破と141円台の上昇が焦点となろう。先週2日の高値140.75レベルの突破は、141.00トライのシグナルと想定しておきたい。
ユーロ円が141円台へ上昇する場合は、リトレースメント76.4%の水準141.71レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性を想定しておきたい。
・ドル円が堅調地合いを維持する限り下落幅は限定的
一方、ECBイベントでユーロ売りの圧力が高まっても、上昇トレンドを維持するドル円(USDJPY)との相関関係を考えるならば、ユーロ円の下落幅は限定的となることが予想される。
「ドル円の上昇/ユーロドルの下落」の展開でユーロ円が下値トライとなる場合は、138.00レベルの維持に成功するかどうか?まずはこの点を確認したい。
なお、21日EMAが今日現在、138.08レベルで推移している。138.00レベルは、テクニカルの面でも意識されやすいタイミングにある。
一方、「ユーロ売り→米ドル買い→ドル円の上昇幅が拡大」する局面では、ユーロ円が上昇する展開も想定しておきたい。しかしこのケースでは、ユーロドルの下落幅が拡大していることが予想される。このためユーロ円の上昇幅は限定的となることが予想される。具体的には、2日の相場のように141.00レベルで上昇が止められる展開を想定しておきたい。
ユーロ円のチャート
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