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ユーロドルとユーロ円 目先の展望とチャートポイント

欧州中央銀行(ECB)の持続的な利上げが意識され、欧州の主要国金利は上昇基調にある。外為市場では対米ドルと円でユーロが上昇トレンドを維持している。ユーロドルとユーロ円の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

ユーロドルとユーロ円 目先の展望とチャートポイント


【サマリー】
・テクニカルの面で分岐点にあるユーロドルとユーロ円
・将来の米欧金融政策スタンスの差に対する思惑がユーロドルのサポート要因に
・ユーロドルは1.07ミドルの突破に成功すれば上昇幅の拡大を予想する
・21日線の突破に成功したユーロ円は半値戻し(142.06レベル)の攻防が焦点に


ユーロドルの展望

米独利回り格差とユーロドルの関係

10日の外為市場ではユーロが対米ドルと円で上昇した。

昨年の後半以降、米ドル安がユーロドル(EURUSD)の上昇トレンドを支えてきたが、今後は欧州中央銀行(ECB)の持続的な利上げ観測を受けた欧州金利の上昇もユーロドルのサポート要因になることが予想される。

この点について米独の長期債利回り格差で確認すると、先週6日の12月米雇用統計を受けて米欧の利回り格差が縮小傾向にある。この動きに連動してユーロドルが上昇していることがわかる。

米独長期金利の格差とユーロドルの動向

米独長期金利の格差とユーロドルの動向 チャート:Bloomberg / 5分足(6日欧州タイム~)


利下げのFRB、引き締め継続のECB

シュナーベルECB理事は10日、スウェーデンで開かれた国際シンポジウム会議でインフレ抑制のために金利は大きく着実に上昇する必要があると述べた。

米国以上にインフレが進行している欧州の状況を考えるならば、欧州中央銀行(ECB)は持続的な利上げを行わざるを得ない状況にある。

一方、米国のインフレは今後、鈍化する可能性が高いことをインフレ関連の経済指標が示している。ゆえに短期金融市場では、今年後半に連邦準備制度理事会(FRB)が利下げへ転じることを織り込む動きが見られる。

よって目先のユーロドルは、利下げに向かう(可能性のある)FRBと金融引き締め政策を維持せざるを得ないECBというスタンスの違いにサポートされる展開が予想される。



1.07ミドルの攻防

昨年の秋以降、米長期金利(10年債利回り)が上昇から低下のトレンドへ転じている。

この動きに連動しユーロドルのリスクリバーサル(25デルタ/1ヶ月)では、次第にユーロ・コールへ転じるムードが高まっている。ユーロドルは上昇トレンドを維持している。

ユーロドルと米金利の動向

ユーロドルと米金利の動向 チャート:Bloomberg / 日足(昨年10月~)

米金利の低下がインフレの鈍化と将来のFRBの政策転換(利上げから利下げへの転換)を意識した動きと考えるならば、昨秋以降のリスクリバーサルの動きは上で述べた米欧中銀の予想される政策スタンスの差を織り込んだ動きと考えることができる。

よって、明日の12月米消費者物価指数(CPI)で米国のインフレ鈍化の傾向があらためて確認される場合は、ユーロドルの上昇幅が拡大することが予想される。

テクニカル面での焦点は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0746レベルの攻防である。ユーロドルがこのポイントを完全に突破する場合は、1.08台への上昇と1.09レベルをトライする可能性が高まろう。後者の水準は、サポートからレジスタンスへの転換が確認されている。

一方、ユーロドルが反落する場合は1.07台の維持が焦点となろう。ユーロドルが1.06台へ下落する場合は、21日線(MA/1.0635レベル)の攻防に注目したい。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート チャート:TradingView / 日足(年初来)

ユーロ円の展望

目先の焦点は半値戻しの突破

ユーロドルと同じく、ユーロ円(EURJPY)も上昇トレンドを維持している。地合いの強さの根底にあるのは、上で述べた欧州中央銀行(ECB)による持続的な金融引き締め観測と欧州金利の上昇にあると考えられる。

ユーロ円のリスクリバーサル(25デルタ/1ヶ月)はユーロドルのような右肩上がりのトレンドを描いているわけではない。しかし、今年に入りユーロプットの勢いが後退している。

テクニカルの面では21日線(MA/141.71レベル)の突破に成功している。これらの動きを考えるならば、目先のユーロ円は、新たなレジスタンスポイントの水準を見極めることが焦点となろう。

目先、テクニカルの面で注目すべきは、昨年12月15日高値と今年1月3日安値の半値戻し142.06レベルの攻防である。このテクニカルポイントの突破に成功する場合は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準143.16レベルを視野に上昇幅の拡大を予想する。

ドル円(USDJPY)の下落幅が拡大する場合、ユーロ円は半値戻しの水準前後で反落する可能性がある。そのカタリストとなり得るのが、明日の12月米CPIである。米CPIが米ドル売りイベントとなり、ユーロドルの上昇以上にドル円が下落する場合は、昨日の安値141.10レベルのブレイクと10日線(MA/140.68レベル)のトライを想定しておきたい。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート チャート:Bloomberg / 日足(昨年12月~)

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