上昇幅が拡大する欧州金利 / ユーロドルとユーロ円の見通し
欧州中央銀行(ECB)の利上げ継続スタンスが意識され、欧州金利の上昇幅が拡大している。欧州金利の上昇を受けて、外為市場ではユーロが対米ドルと円で底堅さ維持している。両通貨ペアの目先の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
上昇幅が拡大する欧州金利 ユーロ相場をサポート
【サマリー】
・ECBのタカ派姿勢を受けて欧州金利の上昇幅が拡大
・欧州金利の動向を受けユーロ相場は対米ドルと円で底堅さを維持
・ユーロドルは1.07ミドルのトライが焦点に
・ユーロ円は3つのテクニカルポイントのトライおよびブレイクに注目
上昇幅が拡大する欧州金利
欧州中央銀行(ECB)のタカ派姿勢を受け、欧州の債券市場では主要国金利の上昇幅が拡大している。
ドイツの2年債利回りは昨日、2008年以来の水準まで上昇した。一方、長期金利(10年債利回り)は2011年以来の水準まで上昇した。他の主要国の長期金利でも上昇幅が拡大している。
欧州金利の動向
ユーロドルの展望とチャートポイント
欧州金利の上昇に連動し米金利も反発基調を維持しているため、ユーロドル(EURUSD)は1.06レベルで売り買いが交錯する状況にある。
だが、テクニカルの面では21日線(MA/1.0574レベル)を維持しており、かつ通貨オプション市場のリスクリバーサル(25R 1ヶ月)では、ユーロプットのトレンドが後退している。これらの動きは、ユーロドルの底堅さを示唆している。
インフレ抑制のためにECBがタカ派姿勢を維持していること(維持せざるを得ない状況にあること)、ECBのスタンスを受けて米独長期債利回りの格差が縮小傾向にあることを考えるならば、ユーロドルは27日のレポートで指摘したフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.07ミドルのレベルをトライする展開を意識しておきたい。
一方、ユーロドルが1.07トライに失敗し続ける場合は、調整の反落を想定しておきたい。
今月19日以降、1.0570台がサポートポイントとして意識されている。21日線も1.0570台まで上昇している。ゆえに、ユーロドルの反落局面では1.0570台の維持が焦点となろう。この水準で相場が反発する場合は、市場参加者にユーロドルの地合いの強さを印象づけるだろう。
ユーロドルのチャート
ユーロ円の展望とチャートポイント
一方、ユーロ円(EURJPY)は、142.00レベルを突破する展開が見られる。
日銀は今後、金融政策の正常化に向けて政策の修正を行っていくことが予想される。しかしそれは、段階的に行われるだろう。ゆえに目先のユーロ円は、将来の日銀の政策動向よりも、現在のECBのタカ派姿勢を受けた欧州金利の上昇にサポートされる展開を想定しておきたい。
ユーロ円のモメンタム(12日)はゼロラインを下回る状況にある。しかし、低下トレンドが終息し反発基調へ転じている。MACDも低下トレンドがひとまず終息するムードにあり、地合いの強さが戻る可能性を示唆している。
ユーロ円の上値トライを想定する場合、目先はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準142.47レベルの突破が焦点となろう。これに成功する場合は、レジスタンスとして意識される局面が見られる21日線(MA)のトライおよびブレイクが次の焦点として浮上しよう。
欧州金利の上昇と株高が同時に発生する局面では、ユーロ円の21日線ブレイクを想定しておきたい。この展開となる場合は、10月高値と12月安値の半値戻しの水準143.60レベルの攻防に注目したい。この水準はサポートとして意識される局面が見られた。レジスタンスへの転換が確認される場合、ユーロ円の反発トレンドが一度終息する展開を想定しておきたい。
ユーロ円のチャート
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