今週のドル円の見通しおよび注目のチャートポイントについて
ドル円は、植田日銀の緩和維持を受けて上昇幅が拡大している。今週は連邦公開市場委員会(FOMC)や4月の米雇用統計などの重要経済指標で上下に振れる展開が予想される。今週の見通しは?注目しておきたい上下のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※FOMCと米雇用統計の焦点についてはこちらのレポートをご覧ください
※次回のレポート配信は5月9日(火)となります。
新たなレジスタンスの水準を探る展開に
ドル円(USDJPY)は先月28日、IG為替レポートで何度も取り上げてきた134.75-135.10のレジタンスゾーンを大陽線で一気に上方ブレイクした。さらに、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準135.96レベル(136円)をも難なく突破すると、高値136.56レベルまで急伸した。
デッドクロスが示現しつつあったMACDは、再びドル円の地合いの強さを示唆する状況へと転じている。4月の中旬以降、21日MA(133.57レベル)がサポートラインとして意識される状況にあることも考えるならば、テクニカルの面ではドル円の地合いの強さがうかがえる。
ゆえに今週のドル円は、新たなレジスタンスポイントの見極めが焦点となろう。
ドル円のチャート
日銀緩和と円安の進行
ドル円(USDJPY)の地合いの強さは、通貨オプション市場のリスクリバーサルも示唆している。ドルプットへ傾いていたトレンドが4月28日の円安進行で一変している(下のチャートを参照)。この主因となったのが、同日に開かれた日銀金融政策決定会合だった。
4月会合で植田日銀が金融緩和政策を維持することは事前に予想されていた。それでも円安が進行した理由は、市場参加者が抱いていた早期の政策修正および転換の思惑が大きく後退したことにある、と筆者は考えている。
展望レポート(基本的見解)で新たに示された2025年の生鮮食品を除く物価見通しは対前年度比で1.6%、生鮮食品とエネルギーを除く物価見通しは同比1.8%と、ともに2%の物価目標を下回った。植田総裁が示唆したとおり、物価と賃金の上昇が並行して進んでいくかどうかが今後の政策運営に影響する。賃金の上昇を伴う安定的な2%の物価目標を達成するためには、企業による持続的な賃上げが重要な要素となる。企業が持続的な賃上げをできるかどうかは企業努力だけでなく、政府による構造改革(規制緩和やテクノロジー時代に合わせた新たなルールの構築など)が求められる。
植田総裁の会見を見ていて筆者は、性急な政策の転換を否定しながらもその自由度を確保するために丁寧に言葉を選んで発言をしているという印象を受けた。ゆえに今後の情勢次第(国内の賃金と物価の動向や海外金利の動向次第)で植田日銀は、政策を修正してくる可能性が十分にある。
しかし、企業の持続的な賃上げと人々のインフレ期待の上昇、そして物価が安定的に2%を上回る状況を達成するには時間がかかるだろう。先行き不透明感が漂っている海外景気の動向を見極める必要があることも考えるならば、少なくとも今年の植田日銀は慎重に政策運営を進めることが求められる。
ゆえに、現在の円安トレンドを抑制する要因は、パウエルFRBの政策動向と米国経済の行方によるところが大きいと考えられる。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
反落局面での焦点
冒頭で述べたとおり今週のドル円(USDJPY)は、新たなレジスタンスポイントの水準を探ることが焦点となろう。その水準の候補として注目すべきは、今年3月の高値137.91レベルである。このレベルをトライするシグナルとして、4月28日の高値136.56レベルの突破に注目したい(一番上の日足チャートを参照)。
一方、ドル円の反落局面では、地合いの強さを探ることになろう。あらためて一番上の日足チャートを確認すると、134.75ー135.10ゾーンの “サポート転換” が注目される。
当然ながら、このゾーンより上でドル円が反発する展開も想定しておきたい。その水準の候補として、まずは先月28日高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%および38.2%の各水準での攻防に注目したい。先月28日の市場では、23.6%の水準135.79レベルで相場がサポートされた。
また、半値戻しの水準134.93レベルは、134.75-135.10ゾーンの中心にあたる。ドル円が23.6%戻しや38.2%戻し(135.31レベル)の水準を下方ブレイクしても、135.00前後がサポートポイントとして意識されやすい状況にある。
ストキャスティクスやRSIは短期的な相場の過熱感を示唆している。しかし、上で述べたサポートポイントでドル円が反転する場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けるだろう。
ドル円のチャート
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