次は雇用統計「18万人予想」焦点 利上げ停止迷うFRB 3日は0.25%決定
FRBは0.25%利上げを決めつつも打ち止めは明言せず、市場は株安、ドル安、金価格上昇で反応した。次の焦点は5日発表の雇用統計だ。
米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ停止に迷いをみせている。3日までのFOMC(連邦公開市場委員会)では0.25%の利上げを決定。声明の文言修正で利上げ打ち止めを示唆したものの、パウエル議長は記者会見で追加利上げの可能性もにじませた。銀行破綻が相次ぐ中での利上げは金融システムへの不安を強める材料でもあり、3日の株式市場は地銀株を含めて下落した。一方、金価格は4月半ばの高値に迫り、ドル売りとともに米国経済の先行きに対する不安を映し出している。5日発表の雇用統計では非農業部門の就業者数が20万人を割り込むとみられているが、強い結果が出れば、FRBはさらなる利上げを視野に入れざるをえなくなる。
市場は6月の利上げ見送りを想定
FRBはFOMC後の声明で「物価上昇率は高いままだ」と0.25%利上げの理由を説明した。利上げは2022年3月以来10回連続で、政策金利は5.00-5.25%の範囲となった。一方、声明文では前回(3月)の声明に盛り込んだ「いくらかの追加的な金融引き締めが適切」との文言を削除し、今回で利上げが打ち止めになる可能性を示唆した。
CMEグループのデータによると、次回(6月13、14日)のFOMCでの利上げ見送りについて、投資家の動きから算出される確率は約89%となった。12月のFOMC後の政策金利の水準については4.25-4.50%である可能性が最も高いとみられており、市場では今回で利上げが打ち止めとなり、FRBは7月以降に利下げを進めるとの見方が多いようだ。
2日の金融市場では米国金利の先安観から長期金利や2年物米国債の利回りが低下。ニューヨーク外国為替市場のドル円相場(チャート)では1.85円の円高ドル安が進んだ。
市場は株価下落、円高ドル安、金価格上昇で反応
とはいえ、FRB自身が利上げ打ち止めを宣言したわけではない。パウエル議長は記者会見で「さらに引き締まった金融政策が必要であれば、利上げを追加する用意がある」と述べ、金融政策の変更は経済指標次第であるとの立場を改めて強調した。
FRBが物価上昇との闘いを最優先して利上げを進めれば、米国が景気後退に陥るリスクは拡大する。またファースト・リパブリック銀行などの相次ぐ銀行破綻の背景にはFRBの利上げがあることも確かで、一部の銀行に対しては経営が不安視される状況が深まるおそれもある。
3日の株式市場ではS&P500種株価指数が0.7%値下がりした。相次ぐ銀行破綻が重荷となっている地銀株の値動きを示すKBW地銀株指数は0.9%の下落だ。また、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物価格は中心限月の取引価格が13.7ドル高の1トロイオンス=2037ドルとなった。2日の31.1ドル高に続く、大幅な値上がりで、4月13日に付けた直近の最高値(2055.3ドル)に近づいている。金スポット価格(チャート)も同様の値動きだ。為替市場で進んだ円高ドル安には、米国景気の先行き不安が影響している側面もありそうだ。
雇用統計は就業者数18万人増の予想
FRBの次の動きを占うのは5日に発表される雇用統計となる。3月の非農業部門の就業者数は23.6万人の増加で、2月からペースダウンしたが、事前予想とほぼ同水準の堅調な結果だった。ロイター通信のエコノミスト調査では、4月は18万人の増加に留まるとみられており、予想通りであれば2021年1月以降で初めての20万人割れとなる。
パウエル議長は3日の記者会見で「労働力に対する需要は依然として供給を大きく上回っている」と述べ、物価上昇圧力の強さに懸念を示した。5日の雇用統計で就業者数増加の弱まりが確認されれば、FRBにとっては利下げに向かう材料が得られることになる。しかし予想以上に雇用情勢が強ければ、FRBは景気悪化や金融システムへの不安というリスクを気にしながらも利上げを意識せざるを得なくなり、難局がさらに深まることになりそうだ。
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