ソニーが利益見通しを上方修正、ソニーFGのIPOに備える
ソニーは好調な四半期業績を背景に通期利益見通しを上方修正し、ソニーフィナンシャルグループの新規上場への準備を進めている。この記事で取り上げる銘柄は、時価総額に基づいて選ばれています。
ソニーは大半の事業で売上好調
ソニーグループ(6758)は大半の事業分野で売上が好調だったことを受け、第3四半期決算で通期の純利益見通しを上方修正した。2025年10月にソニーフィナンシャルグループの上場を計画していることもこの背景にあるようだ。
2023年度第3四半期の売上高は前年同期比22%増の3兆7480億円、当期純利益は同期比13%増の3639億円となった。通期の連結売上高見通しを0.8%減の12兆3000億円に引き下げたものの、当期純利益見通しを4.5%増の9200億円に上方修正した。
PlayStation 5が抱える問題点
PlayStation 5(PS5)を含む、注目度の高いゲーム&ネットワークサービス分野は、予想を下回る業績となった。感謝祭とクリスマス休暇を含む第3四半期の売上高は、前年同期比16%増の1兆4444億円となったものの、プロモーション費がPS5ハードウェアの収益性を圧迫したため、営業利益は26%減の861億円と大幅な減益となった。通期の売上高見通しは、2100億円減の4兆1500億円としている。
また、PS5の10〜12月期の販売台数が四半期ベースで過去最高を記録し、2020年発売以来の累計出荷台数が5500万台に達した。それにも関わらず、同社は通期販売台数見通しを前回予想の2500万台から2100万台に下方修正した。
ソニーの株価が急落
ゲーム関連の悪材料が重なり、株価は決算発表翌日の2月15日に6.48%急落し、終値は13,710円をつけた。
ただし、第3四半期決算にはその他の好材料が数多く盛り込まれていた。主要事業分野であるイメージング&センシング・ソリューション分野では、カメラ付きスマートフォンの世界的な需要回復などにより、営業利益が前年同期比17%増の997億円を記録した。同分野の売上高は前年同期比21%増の5052億円で、売上高・収益ともに過去最高を更新した。
金融分野の業績は好調で、金融ビジネス収入は前年同期比1,177%増の3,317億円、営業利益は64%増の773億円となった。この背景にはソニー生命保険の好業績があり、新契約高は前年同期比22%増の7兆3000億円だった。
ソニーフィナンシャルグループのIPO
同社は、2025年10月に予定されている新規株式公開(IPO)を通じて、ソニーフィナンシャルグループの一部を分社化する政府承認を得たと発表した。これにより、株式の80%強を現物配当で投資家に分配することになる。
同社の映画分野では、売上高10%増、営業利益64%増を記録した。ハリウッド俳優、脚本家、制作労働者のストライキによって2024年度の利益減少額は200億円未満にとどまる見込みだという。この影響は来年度にピークを迎えると同社は見ている。
音楽分野の営業利益は前年比21%増、売上高は同16%増だった。
家電製品の売上高が低迷
家電製品はかつての同社の主力事業であり、世界的な名声を確立する礎となっていたが、現在では世界売上高の1%にも満たない。エンタテインメント・テクノロジー&サービス分野下にある家電製品は現在、主にテレビとデジタルカメラが占めている。
同決算で、この分野の売上高は微減の171億円、営業利益は5%減の39億円となった。ソニー製のテレビに対する中国での需要は激減しており、同社は在庫とコストをさらに削減する予定だ。一方で、中国での需要が予想以上に高かったデジタルカメラのラインナップを拡大する方針を明らかにした。
他の輸出企業と同様、同社はドルや他の主要通貨に対する円安の恩恵を受けている。円の価値は日本の超低金利政策と密接に結びついている。そのため、金利差が縮小すれば円高が進み、将来の業績や株価に悪影響を及ぼす可能性がある。
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