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S&P500に追い風 半導体需要上昇に期待 利下げ見通しはやや後退

エヌビディアの決算発表は22日の時間外取引や、続く東京市場での半導体株上昇につながった。一方、FRBの利下げ見通しはやや後退している。

S&P500に追い風 半導体需要上昇に期待 利下げ見通しはやや後退 出所:ゲッティ

アメリカの株式市場に追い風が増した。22日の取引時間終了後に発表された半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の業績見通しが好感されたためだ。エヌビディアは半導体需要の強さに自信を示しており、株式相場を押し上げてきた人工知能(AI)ブームの継続を感じさせた。一方、エヌビディア決算発表前に取引を終えた22日のS&P500種株価指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待がやや後退したことから、4営業日ぶりに反落。ただし長期金利(10年物米国債利回り)は引き続き4.4%台で維持されており、AIブームへの期待がS&P500を押し上げる効果が勝ることが想定される。

エヌビディア決算後、アメリカと日本で半導体株が上昇

エヌビディアは22日の取引時間終了後の2024年2-4月期決算発表で、5-7月期の総収入について市場予想を超える見通しを示した。ジェンスン・ファンCEOは決算会見で、AIサービスの提供基盤となっているデータセンター向け半導体の需要の大きさを強調。「新たな産業革命が始まった」として、「AIはほとんどすべての産業において生産性を大きく向上させる」と述べた。

こうした内容を受けてエヌビディアの株価(NVDA)は22日の時間外取引を、直前の終値比約6%高で終えた。またエヌビディアと競合関係にある半導体大手の株価も上昇。時間外取引でアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)とブロードコム(AVGO)は、いずれも1.9%程度値上がりした。

またS&P500構成銘柄ではないものの半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)やソフトバンクグループ子会社の英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の米国での株価も22日の時間外取引で上昇。さらに日本の23日の株式市場でも半導体検査装置のアドバンテスト(6857)が午前中の取引で一時、前日終値比5.22%高となるなど、半導体株が軒並み値上がりしている。

日米に上場する半導体株の値動きのグラフ

S&P500はFRBの利下げ見通しの後退が逆風に

一方、エヌビディアの決算発表前に取引が終わった22日のS&P500(SPX)は前日比0.27%安の5307.00。4営業日ぶりの反落で前日の史上最高値から後退した。この日発表された、5月1日までの連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が利下げの難しさを感じさせたことが要因だ。複数の参加者から、物価上昇率の低下が進まず利上げが適切だと判断される事態になれば、「さらに金融を引き締める」ことも辞さないとの考えが示された。

FOMCの議事要旨を受けて金融市場では利下げ見通しがやや後退した。CMEグループのデータによると、金融市場で有力視されている9月FOMCまでの利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間23日午前11時現在で約60%。前日午前の65%程度から低くなった。

ただ22日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.434%で、13日以降の4.5%を下回る水準を維持している。22日のS&P500の下落幅はさほど大きいとはいえず、5月に入ってからの上昇基調は崩れていない。AIブームの立役者であるエヌビディアの好決算は世界の半導体株の追い風となっており、今後の株式相場の見通しを明るくしそうだ。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

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