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今週のユーロドルの見通しとテクニカルポイントについて

今週のユーロドルは、5月のユーロ圏PMIとドイツIFO企業景況感指数で上下に大きく振れる展開が予想される。また、FRBメンバーの言動や4月米PCEデフレーターも材料視される可能性があろう。今週のユーロドルの展望は?注目しておきたい上下のテクニカルポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※今週のドル円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください


さえない経済指標でのユーロ売りを警戒

今週のユーロドル(EURUSD)は、新たなサポートポイントを見極めることが重要な焦点となろう。

ユーロドルの変動要因として今週注目したいのが経済指標である。23日に5月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。ユーロ圏ではサービス業が改善の傾向にあることで、総合の購買担当者景気指数は景気判断の分かれ目である「50」を上回っている。しかし、5月はそのサービス業が55.5と4月の56.2(改定値)から落ち込む見通しとなっている。総合指数も4月の54.1(改定値)から53.5へ低下する予想となっている。

また、24日には5月のドイツIFO企業景況感指数が発表される。改善の傾向にある同指数だが、5月予想は93.0と4月の93.6からわずかながら落ち込む見通しである。また、期待指数の方も4月の92.2から91.6に低下すると見られている。

ユーロドルは現在、上昇トレンドを象徴するサポートラインを完全に下方ブレイクする状況にある。先週19日の市場では米ドル安にサポートされ反発したが、89日MA(1.0820レベル)で相場の戻りが止められた。そしてMACDはゼロラインを下回る状況にある

これら直近の動向は、ユーロドルの地合いの弱さを示唆している(一番下の日足チャートを参照)。この状況で、上述した経済指標で予想以下の内容が続けば、米欧景況感の格差を意識したユーロ売りの圧力が高まることが予想される。

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移 S&Pグローバルのデータをもとに作成/ 月次:2021年以降

ドイツ IFO企業景況感指数の推移

ドイツ IFO企業景況感指数の推移 Ifo経済研究所のデータをもとに作成/ 月次:2021年以降


拡大傾向を維持する米独利回り格差

ユーロドル(EURUSD)の下値トライを警戒するもう一つの理由が、米独の長期金利格差の動向である。

今年2月の下旬以降、米独の長期金利の格差は縮小の傾向を辿り、この動きに連動してユーロドルは上昇トレンドを維持した(下チャートの緑ゾーン)。

しかし、4月下旬に米独の長期金利格差は再び拡大傾向へ転じた。この時、ユーロドルは重要ポイントの1.11レベルの攻防にあったが、利回り格差が拡大の傾向にあることでユーロドルの下落幅も拡大している(下チャートの赤ゾーン)。

今週前半はFRBの要人による討論会への参加や講演が予定されている。パウエルFRB議長からは、6月FOMCでの利上げ停止に含みを持たせる発言が聞かれた。しかし、米独の利回り格差は拡大傾向を維持している。ゆえに、FRBの要人らがインフレ抑制のためにもう一段の利上げについて言及してくる場合は、米独利回り格差の拡大傾向が続くことが予想される。このトレンドに変化が見られない限り、ユーロドルは反発しても戻り売りを常に警戒しておきたい。

ユーロドルと米独長期金利格差の推移

ユーロドルと米独長期金利格差の推移 日足:年初来


下落局面でのチャートポイント

ユーロドル(EURUSD)がさらに下値をトライする場合は、今年に入り相場をサポートしている1.05レベルを下限と想定し、まずはフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0737レベルのトライを常に意識しておきたい。先週19日の安値1.0760レベルの下方ブレイクは1.0737トライのシグナルとなろう。

ユーロドルが61.8%の水準を下方ブレイクする場合、次の焦点はフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.0653レベルの維持が焦点となろう。

ユーロドルがフィボナッチ・リトレースメントの水準をことごとく下方ブレイクする場合は、3月安値の1.0516レベルおよび下限の1.05レベルを視野に下落幅の拡大を想定したい。

ユーロドルのチャート:フィボナッチ・リトレースメント

ユーロドルのチャート:フィボナッチ・リトレースメント TradingViewの日足:年初来


上昇局面でのチャートポイント

ユーロドル(EURUSD)の上昇局面では、3つの移動平均線の攻防に注目したい。

まずは、先週19日の反発を止めた89日MA(1.0820レベル)の攻防である。この移動平均線を突破しても、5月に入り相場の戻りを止めた経緯のある10日MA(1.0867レベル)および50日MA(1.0895レベル)が1.08後半に控えている。

上の日足チャートを確認すると、1.09レベルがレジスタンスへ転換するムードが出ている(赤ライン)。ゆえに、ユーロドルが10日MAの突破に成功しても、50日MAが1.09レベルとともにレジスタンスゾーンを形成する可能性を意識しておきたい。

なお、10日MAと50日MAではデッドクロスが示現している。MACDもゼロラインを下回る状況にある。サポートラインの下方ブレイクだけでなく、これら弱気シグナルが点灯している状況もユーロドルの地合いの弱さを示唆している。

ユーロドルが、上で述べた各レジスタンスポイントの突破に失敗し続ける場合は、下限の1.05レベルを視野に下落トレンドが続く展開を警戒しておきたい。

ユーロドルのチャート:移動平均線

ユーロドルのチャート:移動平均線 TradingViewの日足:22年9月以降

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