【ドル円】注目材料は米雇用統計、今週の見通しとチャートポイントについて
今週は9月の雇用統計を含め、米国の重要経済指標が多く発表される。米金利と米ドル相場はこれら経済指標で上下に振れる展開が予想される。今週のドル円(USDJPY)の見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週の豪ドルとNZドルの見通しについては、こちらのレポートをご覧ください
サマリー
・インフレの鈍化傾向が確認されても米金利は高止まりの状況に
・今週のドル円は、米国の重要経済指標で上下に振れることが予想される
・ドル円は引き続き150円台への上昇を意識する状況にある
・ドル円が反落する場合は、148.00レベルの攻防が焦点に
インフレ鈍化の傾向が確認されても米金利は高止まり
先月29日に米商務省が発表した8月の米個人消費支出(PCE)価格指数によれば、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが前月比で0.1%と、前月から鈍化した。一方、前年同月比も3.9%と、21年6月以降で初めて4.0%を下回った。
米国 個人消費支出(PCE)価格指数の推移:月次 22年9月以降
8月の個人消費支出(PCE)コア価格指数で、米国内のインフレが鈍化の傾向にあることがあらためて確認された。しかし、この日の米債市場の反応は限定的だった。
金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは低下したものの、5.0%台の水準を維持した。一方、10年債利回り(長期金利)は4.5%台で高止まりの状況が続き、一時は4.6%手前まで上昇する局面が見られた。
最近、一部の投資家が10年債や30年債などの長期ゾーン利回りが5%を超える可能性を意識していることを伝える米経済メディアの記事を見かけるようになった。
底堅さを維持する米国の経済、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め政策の長期化観測、米長期債の需給に対する不透明感、さらに原油価格の上昇と高止まりといった複数の要因が重なり、米金利は上昇基調を維持している。
これら複数の要因により、10月も米金利(特に長期金利)がさらに上昇するか、低下しても高止まりの状況が続けば、外為市場では米ドル高トレンドを意識する展開が続くと予想する。
米長期金利とドルインデックスのチャート:日足
注目の経済指標は米国の雇用統計
今週も米国の重要経済指標がいくつか発表される。いずれも、米金利と米ドル相場の変動要因となろう。
特に注目されるのが、9月の雇用統計である。現時点での市場予想は以下のとおりである(下チャートの緑バーおよびドットを参照)。
賃金インフレを伴う労働市場の底堅さが確認される場合は、金融引き締め政策の長期化懸念を受け、米金利は上昇することが予想される。また、このケースでは、米国株の下落が予想される。
米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合、外為市場では米ドル高のトレンドがさらに進行するだろう。
より注目したいのが、今回の雇用統計が総じて予想以下の内容、または強弱まちまちの内容となった場合の米金利の反応である。
8月の個人消費支出(PCE)価格指数でインフレの鈍化傾向が確認されても、米金利の低下幅は限定的だった。むしろ市場参加者の間では、長期ゾーン利回りのさらなる上昇を警戒する向きが見られる。
さえない雇用統計を受けても米金利の低下幅が限定的となるか、むしろ上昇で反応する場合は、来週以降の外為市場でも米ドル高トレンドの進行を意識する状況が続くと予想する。
米国の雇用統計 各項目の推移:月次 22年9月以降
米上下両院がつなぎ予算案を土壇場で可決、政府機関の閉鎖をひとまず回避
米連邦議会の上下両院は、短期的に予算執行を継続できるつなぎの予算案を可決した。
土壇場で政府機関の閉鎖が回避されたことは、米金利の低下要因となろう。しかし、底堅さを維持する米国の経済や連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め姿勢が長期化する可能性が意識されている状況を考えるならば、政府機関の閉鎖が回避されたことによる米金利の低下幅は限定となることが予想される。
また、今回のつなぎ法案は11月17日までの時限的な措置である。来月にこの問題が再びクローズアップされる可能性があることも、米金利の低下を阻む要因になり得る。
政府機関の閉鎖が回避されたことは、日米の株式市場にとってポジティブな要因となろう。週明けの日米株式は、上昇で反応する可能性がある。株高は円安の要因になり得る。
ドル円、今週の見通しとチャートポイント
150円の攻防を意識する状況が続く
今週のドル円(USD/JPY)は、引き続き節目の150.00レベルのトライそしてブレイクアウトを意識する状況が続くと予想する。
先月29日の下落局面では、10日線(今日現在148.74レベル)がサポートラインとして意識された。
個人消費支出(PCE)コア価格指数でインフレの鈍化傾向が確認されても、米金利の低下幅は限定的だった。日米金融政策スタンスの差とそれに伴う日米利回り格差の拡大傾向が続く可能性も考えるならば、政府・日銀による円買い介入以外で現在のドル円が急落する可能性は低い。
日米の利回り格差とドル円のチャート:日足 23年3月以降
今週は、上で述べた9月の雇用統計の他、同月のISM製造業・非製造業景気指数やADP雇用統計、そして週間の新規失業保険申請件数など、米国の重要経済指標が発表される。いずれもドル円の変動要因になり得る。
今週の経済指標で米国経済と労働市場の底堅さがあらためて確認される場合は、ドル円の150.00トライおよびブレイクアウトを意識しておきたい。
逆に今週の米経済指標が総じて市場予想を下回る場合は、米ドル安を受けたドル円の反落相場を想定しておきたい。
ドル円のチャート:日足 23年3月以降
反落局面での焦点は148.00レベルの維持
一方、ドル円(USD/JPY)が反落する局面では、先月29日の下落を止めた10日線(今日現在148.74レベル)の攻防が焦点となろう。この移動平均線の下方ブレイクは、148.00トライのシグナルと想定しておきたい。
ドル円が10日線を下方ブレイクする場合は、21日線のトライおよび維持が次の焦点として浮上しよう。この移動平均線は今日現在、148.00レベルで推移している。テクニカルの面でも148.00レベルを重要なサポートの水準と想定しておきたい。
ドル円が148.00前後でサポートされる状況が続けば150.00レベル、さらに下で述べるレジスタンスの水準を視野に上昇幅の拡大を想定しておきたい。
150円台の攻防へシフトする場合のチャートポイントは?
今週、ドル円(USD/JPY)が150.00レベルを完全にブレイクアウトする場合は、2つの点に注目したい。
一つは、新たな上値の水準の見極めである。この点を2021年以降の重要なサポートおよびレジスタンスの水準を軸にフィボナッチ・エクステンションで探ると、半値戻しの水準151.90レベルが浮上する(下の週足チャートを参照)。この水準は、22年の最高値151.94レベルと重なる。
ドル円が150円台へ上昇しても円買い介入が実施されない場合は、151円を視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。
ドル円が151円台へしっかりと上昇してくる場合は、上で述べた151.90前後の攻防を意識したい。
ドル円が150円台へ上昇する場合は、150.00レベルがレジスタンスからサポートの水準へ転換するかどうか?この点がもうひとつの注目ポイントとなろう。
ドル円の反落局面でこの状況(150.00レベルのサポート転換)が確認される場合も地合いの強さを意識した「米ドル買い・円売り」により、151円台への上昇と151.90レベルのトライを想定しておきたい。
ドル円のチャート:週足 2021年以降
※訂正:誤表記の「月足」を「週足」に訂正しました
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