NY金トランプトレード加速で下落幅が拡大、スポットは2600ドル割れ 米CPIを警戒
トランプトレードの加速でNY金先物価格が3日続落した。スポット価格は昨日、重要水準の2,600ドルを下方ブレイクした。10月の米CPIでインフレの粘着性が確認される場合、金価格はさらなる下値のトライを警戒する状況にある。注目のサポートラインは?
記事のポイント
- トランプトレードが加速、ドル指数は今年の高値水準を視野に上昇幅が拡大
- 下方修正される金価格の強気見通し
- 10月の米消費者物価指数(CPI)次第で金価格はさらなる下落も
- 金価格、今日の見通しと注目のテクニカルライン
トランプトレードの進行で金価格の下落幅が拡大
「トランプトレード」の米ドル高が進行、金価格に売り圧力が強まっている。以下に昨日の動きをまとめた。
・「トランプトレード」の米ドル高が進行し、ドル指数(DXY)は昨日、今年の高値水準106ポイント台へ上昇した。米長期金利の高止まりがドル高をサポートしている
・米金利の高止まりと米ドル高の進行はNY金相場の重石となった。金先物価格(12月物)は3日続落。一時2595.70ドルまで下落し、中心限月として9月中旬以来の安値を付ける局面が見られた
・スポットの金価格(以下では金価格)は重要サポートラインの2,600ドルを下方ブレイクし、安値2,589まで下落した(IGレートの安値)
米長期金利、ドル指数、金価格の動向:24年9月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
金価格の強気見通しが後退
ブルームバーグのデータによるカーブ分析では、アメリカ大統領選挙と議会選挙が行われる前と比べて、金価格の強気見通しが後退している。米経済指標でインフレの粘着性と景気の底堅さを示唆する内容が続けば、トランプトレードの米金利高止まりと米ドル高が続くことが予想される。金価格の見通しはさらに下方に修正されることになろう。
金価格の見通し
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 11月13日 午前8時時点の見通し
米CPIを警戒、インフレの粘着性が示される場合は金価格の下落要因に
今日はアメリカの10月消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた予想では、インフレの鈍化が一服する見通しにある。焦点は、インフレの粘着性を示す内容となるかどうか?にある。焦点を以下にまとめた。
・アメリカ大統領選挙でトランプ氏が圧勝し、議会選挙で共和党が躍進したことで、トランプ政策によるインフレ再燃の可能性が各市場で早くも意識されている
・この状況で10月CPIがインフレの粘着性を示唆する場合は、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が後退しよう
・10月CPIが米金利と米ドルの上昇要因となれば、金価格はさらに下値をトライすることが予想される
・逆に10月CPIでインフレ再燃の懸念が一時的にせよ後退すれば、金の買い戻し要因となろう。だが、「トリプルレッド」の実現が意識されるなかでは、単月の指標で金価格が反発しても、金相場の戻り売りを警戒したい
米国の消費者物価指数(CPI):23年10月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
金価格、今日の見通しとチャート分析
今のテーマは新たな下値水準の見極め
トランプトレードの加速でスポット金価格(以下では金価格)は昨日、重要サポートラインの2,600ドルを下方ブレイクした。上で述べた状況も考えるならば、今の金価格のテーマは「新たな下値水準の見極め」にある。今日の見通しとテクニカルラインを以下にまとめた。
金価格のサポートライン
・日足のMACDがゼロラインを下回ってきた。モメンタムの低下は一服の状況にあるが、弱気相場の強さを示唆している。短期の10日線は低下トレンドへ転じている。サポート転換が確認された2,600ドル前後が、一転してレジスタンスラインへ転じる可能性があることも考えるならば、金価格の地合いは弱い。下落の局面では、半値戻しの水準2,577レベルのトライを意識する局面にある
・10月の米CPIで金価格の下落幅が拡大し、半値戻しの水準を下方ブレイクすれば、2,550レベルが視野に入ろう。この水準は、9月に相場を下支えした重要サポートラインである
・今日以降、金価格が2,550レベルをも下方ブレイクすれば、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準2,527レベルのトライを想定しておきたい(下の日足チャート、赤ラインを参照)。この水準の焦点は、サポートラインへの転換を見極めることにある。100日線のブレイクは、2,527をトライするサインと捉えたい
スポット金価格のチャート:日足24年8月以降
出所:TradingView
スポット金価格のサポートライン
・2,577:半値戻し
・2,550:サポートライン
・2,540:100日線
・2,527:61.8%戻し、サポート転換を確認する水準
金価格のレジスタンスライン
10月の米CPIがインフレの鈍化を示唆する場合は、トランプトレードの調整要因となろう。このケースでは金価格の反発を想定しておきたい。注目のレジスタンスラインを以下にまとめた。
・10月の米CPIが金価格の反発要因となる場合は、50日線のトライと上方ブレイクが焦点となろう。この移動平均線は今日現在、2,650レベルで推移している。なお2,650ドルは、11月5日の高値と11月12日の安値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる(下の4時間足チャート、青ラインを参照)
・短期間で下落幅が拡大しただけに、金価格が50日線を突破する場合は、2,680ドル前後で推移している10日線を視野に反発相場に弾みがつく可能性がある
・金価格が10日線をトライするサインとして、2つのフィボナッチ・リトレースメントが重なる2,670ドルの攻防に注目したい(下の4時間足チャートを参照)
スポット金価格のチャート:4時間足 10月23日以降
出所:TradingView
スポット金価格のレジスタンスライン
・2,682:10日線
・2,670:38.2%戻しと半値戻しが重なる水準
・2,650:50日線、38.2%戻し
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