円高さらなる進行も 相互関税で144円台 CPIでもリスク回避か
ドル円相場は9日、144円台まで円高が進行。相互関税の混乱が円買いを呼んだ。10日発表の3月CPIもリスク回避姿勢を強める要因になりえる。

ドル円相場で円高が進行している。ドル円相場は9日の東京市場では1ドル=144円台で取引されており、前日に記録した148円台から3.5円の円高水準。ドナルド・トランプ大統領の相互関税が引き起こした混乱が収束するとの期待が後退したためで、リスク回避姿勢の強さが安全資産と位置付けられる円が買われやすい状況を生んでいる。トランプ政権は相互関税をめぐる日本との協議で為替問題も取り上げる意向で、円安が進みにくいとの思惑も出ているようだ。またドル円相場では10日に発表される3月の消費者物価指数(CPI)でも大きく動く可能性がある。物価上昇率が上振れた場合には米国経済の見通しへの不安が高まるとみられ、ドル円相場でさらに円高が進行する可能性もありそうだ。
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ドル円相場は144円台に再突入 相互関税の混乱収束への期待が後退
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間9日午後1時30分ごろに一時、1ドル=144.58円をつけた。ブルームバーグによると、8日早朝には148.12円を付ける場面もあったが、1日あまりで約3.5円の円高が進んだ形だ。

ドル円相場ではトランプ氏が2日に発表した相互関税が厳しい内容だったことをうけて円高が進行。4日には一時、144.56円をつけた。その後、スコット・ベッセント財務長官らトランプ政権幹部が7日に日本をはじめとする貿易相手国との協議に意欲をみせ、混乱収束への期待がドル円相場を円安方向に動かしたが、8日には米中対立の激しさが改めて米国経済の見通しへの不安を高め、円高が再進行している。
またトランプ政権が日本との協議の中で為替問題を取り上げるとしていることもドル円相場での円高要因となっている。ベッセント氏は7日、トランプ氏から対日協議を託されたことを明かしたXへの投稿の中で「関税や、非関税障壁、通貨問題、政府による補助金」について協議すると説明。トランプ氏はかねてから円安によって米国企業が不利益を被っているとの立場をとっており、ドル円相場では今後の日米協議は円安にブレーキをかける内容になるとの観測も出ている。
日米の長期金利差は拡大 米国経済の見通しへの不安が背景か
一方、ドル円相場の方向性を左右する日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は拡大傾向にある。トランプ氏の相互関税発表から4日までは、安全資産と目される日米の国債が買われたことで日米の長期金利はともに低下。その後は日米ともに金利が上昇しており、中でも米国の長期金利上昇の度合いが大きくなっている。ブルームバーグによると、日米の金利差は8日終値段階で3.038%ポイントとなっており、3日まで続いた2.6%ポイント台から大きく拡大した。ドル円相場では円安要因といえる状況だ。

ただ、足元の米国の長期金利上昇は、米国経済が後退するとの懸念が米国債の売りにつながった結果だとみることもできる。本来であれば安全資産であるはずの米国債さえ、資金の置き場所として敬遠される状況にあるとの見方も成り立ちそうだ。トランプ大統領が自ら引き金を引いた相互関税というリスク要因が薄れるまでは、円が資金の逃避先として選ばれる可能性がある。日本銀行が世界の主要中央銀行の中でも例外的に利上げを見据えていることも円が買われる背景となっている。
3月CPIが上振れなら米国経済に不安 リスク回避姿勢の強まりが円高要因に
こうした中、ドル円相場は米国で10日午前8時30分(日本時間10日午後9時30分)に発表される3月CPIでも揺れる可能性がある。ブルームバーグがまとめた市場予想では総合指数の伸び率が前年同月比2.5%となり、前月(2月)の2.8%から低下する見通し。また、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は3.0%となり、こちらも前月(3.1%)から低下するとみられている。

3月CPIの実際の物価上昇率が市場予想を上回った場合には、米国経済の悪化と物価上昇が同時に進む最悪のシナリオが意識され、リスク回避姿勢の強まりがドル円相場での円高につながるとの筋書きも考えられそうだ。さらに11日に発表される3月卸売物価指数(PPI)も物価動向の指標として注目され、ドル円相場の今後の見通しは神経質な展開が想定される。
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