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NY金急反落、米長期金利4.8%へ 物価指数を警戒 金価格の見通し

13日の国際商品市況でNY金相場が急反落した。今日と明日は米国の物価指数で金(ゴールド)は上下に大きく動くことが予想される。スポット金価格の見通しと注目のテクニカルラインについて。

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記事の概要

13日の米債市場で10年債利回りが4.8%へ到達した。米金利の上昇は米ドル高のトレンドを支えている。インフレ懸念は金の押し上げ要因だが、昨日の市場でNY金相場は急反落した。今日と明日はアメリカ物価指数にらみの展開となろう。インフレの再燃を意識させる内容が続けば、金価格の下落ムードが強まることが予想される。目先の予想レンジは2,630~2,700ドル。


目次


NY金急反落、米長期金利4.8%へ上昇、ドル指数は22年以来の高値水準

米金利の上昇が止まらない。13日の市場では10年債利回りが2023年11月以来となる4.8%へ到達した。20年債利回りは5.0%へ上昇している。米金利の上昇を受け、米ドル相場のトレンドを示すドル指数(DXY)は2022年11月以来となる110ポイント台へ上昇する局面が見られた。

米金利と米ドルの上昇が重石となり、13日のNY金先物相場(2月物)は1.3%の急反落となった。スポット価格は2,690ドル台からサポートラインへ転換する可能性がある75日線(2,656レベル)まで下落した。

米金利とドル指数のチャート:週足 2022年7月以降

米金利とドル指数:週足 2022年7月以降

出所:TradingView

今日と明日は米国の物価指数にらみ、インフレ懸念の高まりを警戒

13日のIG米国レポートで述べたとおり、昨年11月のアメリカ大統領選挙以降、消費者のインフレ期待が上昇傾向にある。トランプ政策の影響で物価が再び上昇する警戒感が消費者の間で高まっている可能性がある。

アメリカ消費者のインフレ予想が高まるなか、今日は2024年12月の生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、トレンドを示す前年同月比の総合指数とコア指数でともに上昇が見込まれている。前月比のコア指数もインフレの粘着性を示す可能性がある。

米国 生産者物価指数(PPI)の動向:2023年12月以降

米国 生産者物価指数(PPI)の動向:2023年12月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:12月の市場予想

そして明日は、市場参加者の関心が高い昨年12月の消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた前年同月比の市場予想では、総合指数が前月の2.7%から2.9%へ上昇することが見込まれている。コア指数は4ヶ月連続で3.3%を維持する見通しにある。また、前月比の総合予想でもインフレの加速が見込まれている。

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:2023年12月以降

米国 消費者物価指数(CPI)の動向:2023年12月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:12月の市場予想

市場予想どおりに今週のアメリカ物価指数がインフレ再燃の可能性を示唆する内容となれば、米長期ゾーンの利回りがさらに上昇することが見込まれる。米金利の上昇は米ドル高を促す要因となろう。

インフレ懸念の高まりは金の押し上げ要因である。しかし昨日の急反落を考えるならば、米金利の上昇と米ドル高の方が材料視され、金価格は続落することが予想される。

一方、物価指数でインフレ懸念がひとまず後退する場合は、金価格の押し上げ要因となろう。


金価格、目先の見通しと予想レンジ

今日と明日のNY金相場は上で述べたアメリカ物価指数にらみの展開となろう。結果次第で上下に大きく振れる展開が予想される。スポット金価格(以下では金価格)の予想レンジは2,630~2,700。注目のテクニカルラインを以下にまとめた。

下落局面では3つの移動平均線に注目
今日のPPIと明日のCPIがともにインフレ再燃の可能性を市場参加者に意識させる内容となれば、金価格の続落を想定したい。このケースでは、3つの移動平均線の攻防が焦点となろう。

まずは、昨日の急反落を止めた75日線の攻防に注目したい。この移動平均線はサポートラインへ転換する可能性がある。

金価格が75日線を下方ブレイクする場合は、89日線のトライを想定したい。この移動平均線をも下方ブレイクする場合は、予想レンジの下限2,630までの下落を想定したい。2,635レベルには20日線が推移している。

サポートラインまとめ
・2,659:75日線(日足)
・2,651:89日線(日足)
・2,635:20日線(日足)
・2,630:予想レンジの下限

レジスタンスライン
今週のアメリカ物価指数でインフレ懸念がひとまず後退する場合は、利回りの投資妙味が意識され米国債に短期的な買い戻しが入ることが予想される。米金利の低下は、調整の米ドル売りを促す要因となろう。このケースでは、金価格の上値トライを想定したい。

予想される上限は、先週10日の上昇を止めた2,700ドル。このテクニカルラインをトライするサインとして、15分足にプロットした3つのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。38.2%戻しの水準2,672は昨日の欧米時間にレジスタンスラインとして意識された。半値戻しの水準2,677と61.8%戻しの水準2,682はレジスタンスラインへ転換する可能性がある。

上で述べた3つのフィボナッチラインを突破する場合は、日足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しの水準2,692の攻防が焦点に浮上しよう。先週10日と昨日の市場では、このテクニカルラインで相場の上昇が止められた。ゆえに2,692レベルの突破は、予想レンジの上限2,700ドルをトライするサインと捉えたい。

レジスタンスラインまとめ
・2,700:予想レンジの上限(日足)
・2,692:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(日足)
・2,682:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(15分足)
・2,677:半値戻し(15分足)
・2,672:フィボナッチ・リトレースメント38.2%(15分足)


金価格のチャート

日足:2024年10月以降

日足:2024年10月以降

出所:TradingView

15分足:1月10日以降

15分足:1月10日以降

出所:TradingView


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