今週の注目点と2つの円安要因 / ドル円のチャートポイント
今回のポイント:『今週の注目点について。円安要因は2つあり。ドル円のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の注目点
先週発表された米国のISM製造業景況指数(3月)と雇用統計(同月)は、米国経済の改善傾向を示す内容だった。
今週は5日に3月のISM非製造業景況指数、7日にFOMC議事要旨が公表される。前者は、サービス業の改善傾向を確認する上で重要な指標である。市場予想は58.5。製造業と同じく予想以上の内容ならば、米長期金利(以下では米金利)の上昇トレンドをサポートする要因となろう。
後者のFOMC議事要旨では、テーパリング(量的緩和の縮小)の時期を示すヒントが示されるかどうか?この点に注目したい。
議事要旨をきっかけに早期テーパリングの可能性が米債券市場で意識されるならば、米金利は上昇トレンドを維持しよう。
尚、パウエル議長は先月の記者会見で『テーパリングについて話す時期ではない』と、早期のテーパリングを否定している。
米長期金利のチャート
2つの円安要因
今週の円相場は円安優勢のトレンドを予想する。
円買い要因は米株高の反落だが、バイデン政権の財政政策と、今月中旬に本格化する決算でS&P500指数の構成企業の第1・四半期利益が、前年同期比で24.2%増加すると予測されている現状を考えるならば、米株の反落による円買いは限定的と予想する。
現在、円安の要因は2つあると筆者は考えている。ひとつは、リスク選好を意識した円安である。これは2000年代前半から続くトレンドである。
もうひとつは、コロナワクチンの接種スピードにあると考えている。
世界に先駆けてワクチン接種の開始が始まった英国と7月の独立記念日までに社会の正常化を目指す米国ではワクチンの接種が進んでいる。
対照的に日本やユーロ圏ではワクチン接種が遅れている。
円相場の年初来パフォーマンスを確認すると、英ポンドと米ドルに対する円売りが加速していることがわかる。
対照的に対ユーロでの円安は限定的である。
今後、米株の下落(=円買い)要因として注視すべきは、バイデン政権が提唱している増税である。だが、目先は上述した四半期決算で企業の業績回復が期待できることから、増税リスクが意識されても米株の下落幅は限定的と予想する。
国内のワクチン接種が遅々として進まない現状も考えるならば、今週も円安優勢となる可能性の方が高い。
円相場の年初来パフォーマンス
ドル円のチャートポイント
今週のドル円は111円台への上昇が焦点となろう。米国市場で株高と金利の上昇が同時に発生する局面では、111.00のトライおよび突破を意識したい。
111円台での焦点は、昨年3月に上値を抑制した111.50および111.70レベルの攻防である。
なお、オシレーター系指標は買われすぎの水準にある。111円手前、もしくは上記のレジスタンスポイントでの反落リスクは常に意識しておきたい。
ドル円が反落する場合、目先は110.40レベルの維持が焦点となろう。先週5日にこの水準をトライする局面が見られたが、リトレースメント38.2%の水準(110.35レベル)でかろうじて相場がサポートされた。
110.40を完全に下方ブレイクする場合は、リトレースメント50.0%の水準110.16レベルおよび110.00のトライを想定したい。
米株の反落や米金利の低下が続くことで110円以下の攻防となる場合は、今年の1月下旬以降ドル円をサポートしている21日MA(今日現在109.31レベル)の維持が焦点となろう。
ドル円のチャート:日足
ドル円のチャート:15分足
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