レンジ相場の米金利とユーロドルへの影響 / ユーロドルのチャートポイント
サマリー:『米金利はレンジを維持。ユーロドルは米金利の動向とEU域内でコロナワクチンの接種が進んでいることを受け1.22台へ。目先のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
レンジ相場の米金利とユーロドルへの影響
米長期金利(以下では米金利)は、1.5%~1.7%のレンジで上下に振れる展開が続いている。
米金利の上昇は米ドル高のけん引役である。その米金利の上昇が抑制されている今の状況は、米ドル高のけん引役が不在であることを意味する。
この状況が続く限り調整の米ドル買いは見られても、それが続く可能性は低いと予想する。
一方、米金利が1.7%を明確に突破し節目の2.0%を目指す展開となれば、米ドル高優勢の局面が多く見られよう。
米長期金利のチャート
米金利以外で現在の外為市場のトレンドに大きな影響を与えている要因が、コロナワクチンの接種状況である。
英国、米国、ユーロ圏そして日本の接種率(最低1回の接種率)を確認すると、英国が54%、米国が47%そしてユーロ圏が31%となっている。一方、日本は3.7%と出遅れている(Source: Our world in data)。
この状況を踏まえた上で米ドル相場の年初来パフォーマンスを確認すると、ワクチンの接種が遅れている日本の通貨円に対しては、恒常的に米ドル高で推移している。
対照的にワクチンの接種が進んでいる英国の通貨ポンドに対しては、恒常的に米ドル安で推移している。
注目すべきは、対ユーロでのパフォーマンスである。今年の4月以降、米ドル安優勢の状況へ転じていることがわかる。
4月以降、米金利の上昇が1.7%前後で抑制され、現在までレンジ相場が続いている。そして問題を抱えつつもEUでのワクチン接種が進み始めたのも4月以降である。
これらのことを考えるならば、今のユーロドル(EURUSD)の強さ(ユーロ高/米ドル安)の土台は、上昇が抑制されている米金利の動向と『ワクチン接種の進行→欧州の景気回復』への期待であると考えられる。
事実、欧州の債券市場では4月以降、独10年債利回りのマイナス幅が縮小傾向にある。金利上昇の動きはイタリアおよびスペインの10年債利回りにも見られる。また、同じ南欧のフランス10年債利回りは5月以降、上昇の圧力が高まっている。
米ドル相場の年初来パフォーマンス
ユーロドルのチャートポイント
EUでのワクチン接種は進むだろう。それに伴い欧州経済の回復期待が高まり、この期待はユーロを買い戻す土台となろう。よって、今後ユーロドル(EURUSD)のトレンドを決定する要因は、米金利の動向ということになる。
米金利が現在のレンジ相場を維持すれば、ユーロドルは今の上昇トレンドを維持すると予想する。上値の焦点は、今年2月の高値1.2242のトライおよび突破となろう。
この水準を完全に突破する場合は、今年1月上旬に上値を抑制した1.2350レベルが次の上値ターゲットとなろう。
米金利の反発局面では、ユーロドルの反落が予想される。このケースでは、1.22がサポートのポイントとして意識されるかどうか?この点を確認したい。反落局面で1.22台の維持に成功する場合、ユーロドルがさらに上値をトライするシグナルと捉えたい。
1.22を下抜ける場合は、50日EMA(今日現在1.2038レベル)のトライが焦点として浮上すると予想する。このEMAは、今年の4月以降サポートラインとして意識されている。この状況が続く場合も、ユーロドルの上昇トレンドが続くシグナルと想定したい。
ユーロドルのチャート
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