米長期金利が低下するもドル円の下落幅が限定的である理由 / ドル円とユーロドルのチャートポイントについて
サマリー:『米金利が低下してもドル円の下落幅が限定である理由について。ドル円とユーロドルのチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米長期金利が低下するもドル円の下落幅が限定的である理由
米長期金利(以下米金利)は、一時1.55%台まで低下する局面が見られた。
この日の外為市場には明確なドル安のトレンドは見られなかったが、ユーロドル(EURUSD)は昨日のレポートで指摘した重要なレジスタンスポイント1.2240の上方ブレイクに成功した。
ポンドドル(GBPUSD)も1.42レベルをトライする状況が続いている。
現在の外為市場は、新型コロナワクチンの接種が進む国や地域の通貨が買われやすい状況にあることを欧州通貨の底堅さは示唆している。
一方、昨日のドル円(USDJPY)は109円台まで上昇する局面が見られるも、米金利の低下に圧され、あっけなく108円台へと反落した。
現在のドル円は下限を50日EMA、上限を109円前半とした狭いレンジでの攻防が続いている。
米金利が低下してもユーロやポンドのように円が上昇するムードはない。108円すらトライ出来ないドル円の現状は、上で述べたワクチン相場の影響が大きいと筆者は考えている。
この点については過去のレポートでも指摘しているため詳細は省くが、米英欧と比較してワクチン接種の格差が拡大している状況が、将来の景気回復の格差につながることは明白である。世界の景気回復トレンドに日本が乗り遅れることが予想されている現状では、積極的に円を買う理由はない。
よって、米金利が1.5%の水準を一気に割り込むような展開にでもならない限り(米ドル安の圧力が相当高まる状況にならない限り)、ドル円の下落幅は限定的と予想する。
新型コロナワクチンの接種状況
ドル円(USDJPY)のサポートポイントについては、引き続き50日EMA(今日現在108.61レベル)、108.30そして108.00レベルを想定しておきたい。
一方、上値の焦点は21日SMA(今日現在109.01レベル)をローソク足の実体ベースで突破できるかどうか?この点に注目したい。
これに成功する場合は、109.30、109.50(5月17日高値)そして重要レジスタンスポイント109.80レベルのトライが焦点として浮上しよう。
ドル円のトレンドは引き続き米金利の動向に左右されよう。
ドル円のチャート
ユーロドル 次の焦点は?
米金利の低下を受け、ユーロドル(EURUSD)はレジスタンスポイントの1.2240レベルを突破した。
ユーロ円で上昇トレンドを維持し、ユーロポンドで反発基調にある状況も考えるならば、ユーロ相場の地合いは強いと言える。
1.2240レベルの突破に成功したことで、次の焦点は1.2240レベルの維持となろう。
レジスタンスのポイントとして意識されてきた水準がサポートのポイントへ転換する場合、それはさらなる上値トライのシグナルとなる。このシグナルが点灯するかどうか?今日以降はこの点に注目したい。
1.2240レベルがサポートポイントへ転換する場合、次の上値の焦点は1.23台への上昇である。これを達成する場合は、1月6日高値1.2349レベルのトライに注目したい。
一方、米金利が反発する局面ではユーロドルの反落を予想する。このケースでは、今月19日以降、相場をサポートしている1.2150レベルの維持が焦点となろう。
21日EMAは今日現在1.2142レベルにある。テクニカル面でも1.2150前後が攻防分岐のポイントとして意識されやすい状況になってきた。
なお、ユーロドルの反落要因として、ECBサイドからの突発的なユーロ高けん制発言にも注意したい。
ユーロドルのチャート
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