今週の注目材料 / ドル円の見通しとチャートポイント
ドル円は日米の金融政策スタンスの差が意識され、さらに上値をトライするムードにある。今週の注目材料は、米国の経済指標と連邦準備制度理事会(FRB)の要人発言である。これらの内容を受けて今週のドル円は、上下に振れる展開が予想される。注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・今週の注目材料は、8月の米PCEデフレーターとFRB要人の言動
・外為市場は、米ドル高のトレンドを意識する状況が続いている
・ドル円の上昇局面では、1円レンジで新たな上値の水準を探る展開に
・ドル円の反落局面では、2つの移動平均線の攻防に注目したい
今週の注目材料
焦点は米国の経済指標
先週の日米の金融政策イベントを受け、外為市場ではドル円(USD/JPY)が再び148円台へ上昇している。この動きは、今後も日米金融政策スタンスの差がドル円のサポート要因になり得ることを示唆している。
連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者が示した最新の経済見通しでは、今年と来年の経済成長率が6月時点の予想から上方修正された。一方、失業率は下方に修正された(詳細はこちらのレポートを参照)。
最新の政策金利の見通し(ドット・プロット)では年内の追加利上げの可能性の他、長期に渡り政策金利が高水準で維持される予想が示された。この見通しが、上で述べた予想(米国経済が底堅さを維持するとの予想)を土台にしていることを考えるならば、今週の米ドル相場とドル円のトレンドは米国の経済指標に左右されると予想する。
8月PCEデフレーター
今週も重要な経済指標が発表される。なかでも市場参加者の関心は、8月の個人消費支出(PCE)価格指数に集まろう。市場予想は以下のとおりである。
米国のPCEデフレーターの推移:月次 22年7月以降
注目は、コアPCEデフレーターの動向である。前月比は0.2%とインフレが抑制される見通しである。一方、前年比は3.9%へ低下する見通しとなっている。
インフレ鈍化の傾向があらためて確認される場合は、一時的にせよ米金利の上昇圧力を後退させる要因となろう。米金利の低下は米ドル高の調整(反落)要因となろう。そして米ドル安は、ドル円の調整(反落)要因となろう。
一方、コアPCEデフレーターが予想外に上昇する場合は、米金利の上昇と米ドル高の展開を想定しておきたい。
また、PCEデフレーターでインフレ圧力の根強さが確認されることになれば、米国株の下落相場を促す可能性が高い。米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合、外為市場では米ドル高の進行が予想される。
FRB要人の言動
連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は22日、インフレ率をタイムリーに2%へ低下させるために複数回の利上げが必要になる可能性を示唆した。
また、ボストン地区連銀のコリンズ総裁は同日、インフレ率が目標の2%まで持続可能な軌道に乗っていると確信するには時期尚早と述べ、追加利上げの可能性に言及した。長期に渡り政策金利を高水準で維持する見通しも示した。
今週もパウエルFRB議長をはじめFRBの要人達がイベントや講演に参加する。先週公表された最新の見通しを踏襲するかたちで経済や金融政策についてタカ派的な言動が続く場合は、米ドル高のトレンドをサポートする要因となろう。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)の動向を確認すると、5月31日の高値104.70レベルがレジスタンスからサポートの水準へ転換し、上昇基調のトレンドチャネルを維持する状況にある。
上で述べたPCEデフレーターや他の経済指標が、インフレ圧力の根強さと景気の底堅さを示唆する場合は、3月8日の高値105.88レベルのトライおよびブレイクアウトを想定しておきたい。FRB要人のタカ派的な言動も、105.88レベルを上方ブレイクする要因となろう。
ドルインデックスのチャート:日足 23年2月以降
ドル円、今週の見通しとチャートポイント
日米金融政策スタンスの差が意識される状況が続く
9月の金融政策決定会合(21~22日)で日銀は、現行の金融緩和政策を維持した。
植田和男総裁は記者会見で、金融政策を修正する時期や具体的な対応については「到底決め打ちできない」と述べた。
また、持続的な物価の上昇を判断するうえで、企業の賃上げ動向が「最も重要な要素の一つ」と指摘した。企業による持続的な賃上げの流れを確認するためには、来年の春闘の動向を見極める必要があろう。
外為市場では、植田日銀が早期に金融緩和政策からの脱却に向けて動き出すとの見方が後退し、ドル円(USD/JPY)は22日、148円台へ再上昇した。クロス円も総じて円安に振れた。
円相場の動向:9月22日
先週の日米金融政策イベントを受け、今後も両国中銀の政策スタンスの差が意識される状況が続くだろう。
特に注目されるのは、日米利回り格差の拡大傾向をけん引している米金利の動向である。
現在の米債市場は複数の要因-底堅さを維持する米国経済、パウエルFRBのインフレ抑制重視の姿勢、原油高そして米債需給に対する懸念といった要因が複雑に絡み合い、2年債利回りは2006年以来、10年債利回り(長期金利)は2007年以来の高水準にある。
米金利のチャート 日足 2005年以降
また、通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、1ヶ月のそれがドル・コールへ向かう状況にある(下チャートの赤ラインを参照)。
現在の米金利とリスクリバーサルの動向を考えるならば、今週のドル円(USD/JPY)はさらなる上値のトライを意識しておきたい。
ドル円とリスクリバーサルのチャート 日足:23年5月以降
上昇局面では148円ミドルの攻防と149.00のトライが焦点に
今週もドル円(USD/JPY)が上値を目指す場合、目先の焦点は先週の上昇を止めた148.50レベルの突破となろう。
この水準(148円ミドル)の上方ブレイクは、IG為替レポートで注目しているフィボナッチ・エクステンション76.4%の水準149.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が149円台へしっかりと上昇してくる場合は、節目の150.00のトライが焦点として浮上しよう。しかし、ドル円の上昇幅が拡大すればするほど、国内サイドから円安をけん制する発言が相次ぐことが予想される。また、節目の150円をトライする局面では
政府・日銀による円買い介入を警戒しておきたい。
ゆえにドル円の上昇局面では、不意打ちのような円高を常に警戒しておく必要があろう。
反落の局面では21日線と50日線の攻防に注目
一方、さえない経済指標などを受けて米金利が低下する局面では、ドル円(USD/JPY)の反落相場を想定しておきたい。
このケースでは、2つの移動平均線-21日線と50日線の攻防に注目したい。21日線は今日現在、147.20レベルで推移している。ドル円がこの移動平均線を下方ブレイクする場合は、147円台の維持が焦点として浮上しよう。
一方、50日線は144.87レベルまで上昇している。この移動平均線での攻防は、145円台を維持できるかどうか?を見極めるための攻防となろう。
しかし、ドル円がこれら移動平均線を下方ブレイクしても、短期サポートラインを維持する限り、ドル円の上値トライを意識する状況が続くだろう。
ドル円のチャート:日足 22年9月以降
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。