【今週の注目材料】中国の不動産不況に関する新たな報道とジャクソンホール会議でのパウエル講演
今週も、世界的な株安の要因のひとつとなっている中国の不動産に関係した新たな報道が外為市場の変動要因となろう。また、経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエルFRB議長による講演も、外為市場を大きく動かす可能性がある。それぞれの注目ポイントは?
※ドル円の見通しとチャートポイントについては、こちらのレポートをご覧ください
サマリー
・世界的に株安が進行し、投資家の心理が急速に冷え込んでいる
・今週の注目材料のひとつは、中国の不動産不況に関する新たな報道となろう
・もうひとつの注目イベントは、ジャクソンホール会議でのパウエル講演である
・上2つの材料が今週の株式、米債市場そして外為市場の変動要因となろう
冷え込む投資家の心理
先週の主要なアメリカ株価指数の騰落率を確認すると、総じて2%超の下落となった。代表的な小型株の指数であり、市場の変調を先取りすると言われているラッセル2000は3.4%下落した。ラッセルネット2000の下落幅が拡大している状況は、投資家心理が急速に冷え込んでいることを示唆している。
一方、主要な国や地域の株式動向を確認すると、米国株を筆頭に世界的にリスク回避相場が進行したことが分かる。
今週も世界的に株安が進行すれば、外為市場では米ドルや日本円が主要通貨で上昇する展開が予想される。
世界の株式動向:8月14日~18日
今週の注目材料
中国の不動産リスクに関する新たな報道
世界的に株安が進行している要因のひとつが、中国の不動産リスクである。先週17日、中国の不動産最大手である中国恒大集団が米国ニューヨークで連邦破産法15条の適用を申請した。
同業の碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)は、私募債の償還を3年間延長する案を債権者に提案するとの報道がある。同社は、22年末時点で1兆4348億元と、中国恒大集団に次ぐ規模の債務を抱えるという報道がある。
景気を下支えするために中国人民銀行(中央銀行)が支援策を打ち出すとの報道が見られる。しかし、具体的に打ち出された政策が不動産リスクを後退させるには不十分、と市場で受け止められる場合、調整の反発を挟みながらも世界的な株安のトレンドが続く可能性があろう。
リスク回避相場(株安)のさらなる進行は、外為市場で米ドル買いと円買いの圧力を高める要因となろう。
中国の景気不安は、資源需要の縮小懸念につながる。豪ドルやNZドル、そして軟調な地合いにある南アランドやブラジルレアルといった通貨は、対米ドルや日本円で下落することが予想される。
米長期金利の動向
7月下旬以降、米債市場では長期ゾーンを中心に利回りの上昇幅が拡大している(下チャートのグレーゾーンを参照)。
米金利の動向:日足 23年以降
しかし、中国の不動産リスクとそれに伴う景気不安の高まり、そして世界的な株安の進行は、安全資産である米国債の投資妙味を高める要因でもある。
今週23日に20年債の入札(160億ドル)が予定されている。株安局面のなかで安定的な需要が見られる場合は、米国債の買戻しと利回りの低下が予想される。
株安と米金利の低下が同時に発生する場合、外為市場では円買い優勢の展開が予想される。先週18日は、まさにこの展開となった。
円相場の動向:8月18日
ジャクソンホール会議でのパウエル講演
今週24日-26日、カンザスシティー地区連銀がワイオミング州ジャクソンホールで毎夏恒例の経済シンポジウム-通称「ジャクソンホール会議」を開催する。
現地時間25日の午前10時05分(日本時間午後11時05分)に、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が経済見通しについて講演する予定となっている。
現在の米国経済は堅調な個人消費に支えられ、底堅さを保っている。パウエルFRB議長が今後も米国経済の底堅さが続く可能性を指摘し、インフレリスク再燃の可能性について高い警戒感を示し、そして追加利上げと政策金利を高い水準で長期にわたり維持する可能性についてあらためて言及する場合、米債市場では長期ゾーンを中心に利回りが上昇することが予想される。
短期金融市場では、7月会合で米利上げサイクルが終了したとの思惑が高まっている。ゆえに、パウエルFRB議長の講演が “タカ派の内容” となる場合は、米金利の上昇だけでなく米株安も想定しておきたい。
米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合、外為市場では米ドル高の進行が予想される。上で述べた中国の不動産リスクが引き続き株式市場の重石となる場合、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、重要レジスタンスポイントの103.50レベルを突破することが予想される。
ドルインデックスとドル円(USD/JPY)のトレンドは、ほぼ一致している。ゆえに米ドル高の進行は、調整ムードが漂うドル円の反発要因となろう。
ドルインデックスのチャート:日足 23年5月以降
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