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円安ドル高が加速 米7月CPIの上昇率拡大 コア低下には安心感

米国の7月CPIの伸び率が6月から拡大し、円安ドル高が1円超進んだ。ただしコア指数の動向は落ち着きも感じさせる。

出所:ブルームバーグ

外国為替相場で円安ドル高が加速した。米労働省が10日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が1年1か月ぶりに前月から拡大。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利の高止まりを連想させ、1円以上の円安ドル高が進むきっかけとなった。ただし7月のCPIは食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が低下。さらに最大の押し上げ要因である家賃も除いた指数の上昇率は2.5%まで下がった。米国経済が物価上昇抑制と景気後退回避を両立できる軟着陸(ソフトランディング)に向かっているとの安心感も呼びそうだ。

米国の7月のCPIは総合指数が3.2%上昇

7月のCPIの総合指数の伸び率は3.2%で、6月(3.0%)から拡大した。市場予想の3.3%を下回ったとはいえ、伸び率が前月を上回るのは2022年6月以来とあって、物価上昇抑制の足踏みを感じさせる結果となった。一方、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は4.7%で、6月の4.8%から低下。市場予想(4.8%)も下回った。

米国の消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率の推移

この結果を受けてドル円相場(USD/JPY)では円安ドル高が加速した。日本時間10日午後9時30分だった発表の直前は1ドル=143.50円程度だったが、発表から1時間ほどで144.30円までドルが買われた。その後も円安ドル高の流れは続き、11日午前には144.90円程度をつける場面もあった。

ドル円相場の推移と主な出来事

7月のCPI発表後に円安ドル高が進んだ背景には、総合指数の上昇率拡大がFRBの政策金利の高止まりを意識させたことがありそうだ。10日のニューヨーク債券市場では2年物米国債、10年物米国債ともに利回りが上昇している。

ただしコア指数の伸び率低下はこれまでの利上げの効果の現れだといえる。また、コア指数から家賃(持ち家の帰属家賃含む)の効果を除いた指数の伸び率は2.5%で、2021年3月(1.6%)以来の低水準。家賃の伸び率自体は7.7%と高いままだが、それでも2023年3月のピークからの減少が続いている。

米国の消費者物価指数(CPI)における家賃の動向

このため金融市場ではFRBが9月19、20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの見方が大勢だ。CMEグループのデータによると、9月のFOMCでの利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間11日午前11時前の段階で88.5%。9日朝の86%から上昇している。

また10日の米国株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)とナスダック総合指数が3営業日ぶりに反発した。米国経済が軟着陸に向かうとの期待が、1日の米国債格下げを機に拡大した先行き不安を落ち着かせる可能性もありそうだ。


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