米4月小売売上高、経済減速示すか 16日発表 市場予想は前月比0.8%増
4月の米小売り売上高は3か月ぶりの前月比プラス予想。水準は高くないが、強い数字とみられればドル高が進む可能性がある。
米商務省が16日朝(日本時間16日午後9時30分)に発表する4月の小売売上高は米国経済の減速が示されるかどうかが焦点だ。ロイター通信のエコノミスト調査によると、売上高は前月比0.8%増となり、3か月ぶりにプラスに戻る見通し。米連邦準備制度理事会(FRB)は1年以上にわたる利上げで経済活動を冷やそうとしているが、小売り売上高が予想を超えれば利上げ打ち止め観測が後退してドルが買われる可能性がある。
4月の米小売売上高は3か月ぶりの前月比プラス予想
4月の小売売上高が市場予想通りなら、2月の0.7%減、3月の0.6%減からの回復といえ、米国経済の底堅さが示されているようにもみえる。ただし前月比0.8%増の水準の小売売上高は約6885億ドルで、前年同月比なら2.1%増にとどまる水準だ。3月の2.3%増から伸びは減速し、水準としても2020年5月の5.2%減以来の低さとなる。
仮に小売売上高が低調さが確認された場合、FRBにとっては思惑通りの結果だといえそうだ。FRBは物価上昇を抑えるために2022年3月から10回連続で利上げを実施。物価高の背景にある活発な経済活動を抑えようとしている。5月10日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)の前年同月比伸び率は3月からわずかに低下し、4.9%となった。目標とする2%までは距離があるものの、物価上昇の落ち着きも感じられている。
このところは利上げが意識される動きも
こうした中、金融市場ではFRBが6月13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るかどうかが注目点となっている。4月のCPIは利上げ見送り観測を強める方向に働いたが、12日にミシガン大学が発表した5月の消費者調査が高い物価上昇率の見通しを示した際は、再び利上げが意識される動きも出た。CMEグループのデータによると、6月の0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間15日夜の時点で24.2%となっており、CPI発表前の水準に戻っている。
4月の小売売上高が予想を上回れば、FRBの期待に反して消費の強さが示されることになり、改めて利上げが意識される可能性がある。ミシガン大学の消費者調査が材料視された12日のニューヨーク為替市場のドル円相場(チャート)は円安ドル高方向に1.2円動いており、同様の動きも想定されそうだ。一方、小売売上高が弱ければ、利上げ打ち止めの可能性が高まったとして、ドルが売られる展開が考えらる。
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