米CPI、6月も上昇減速予想 12日発表 利上げ路線は維持か
米国の6月のCPIは伸び率が下がる見込み。ただし米FRBの利上げ路線は不変とみられ、結果次第では円安ドル高も。
米国で12日に発表される6月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇の減速が見込まれている。総合指数の伸び率は前年同月比3.1%、食品とエネルギーを除いたコア指数は5.0%の予想で、いずれも5月から上昇ペースが鈍化しそうだ。しかし物価上昇率が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回っていることに変わりはなく、金融市場では米FRBが7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを行うとの見方が大勢だ。ドル円相場では7日の6月の雇用統計発表後に円高ドル安が進んだが、CPIの結果が事前予想よりも強いと判断されれば、円安ドル高圧力が増す可能性もある。
アメリカの6月のCPIはコア指数が5.0%上昇の予想
6月のCPIは日本時間12日午後9時30分に発表される。総合指数の伸び率が予想通り3.1%となれば、5月の4.0%から大きく低下する形。水準としては2021年3月(2.6%)以来の低さとなる。コア指数で予想されている5.0%も5月の5.3%よりも小さく、2021年11月(4.9%)以来の低水準だ。
米FRBは6月のFOMCで、2022年3月から10回連続で続けてきた利上げの効果を見極めることなどを理由に、政策金利を維持した。この前日に発表された6月のCPIをコア指数から家賃(持ち家の帰属家賃含む)を除いたベースでみると、上昇率は3.4%まで下がっている。家賃の伸びは8.0%と大きいものの、物価全体の上昇基調としては低下が確認される結果だった。
しかし6月のCPIで物価上昇の低下基調が確認されたとしても、上昇率が米FRBが目標とする2%を上回ることも事実だ。ジェローム・パウエル議長は前回のFOMC後、利上げが打ち止めになったわけではないとの見方を繰り返し強調。FOMCの経済見通しとしても年内に予定される残り4回のFOMCで、0.25%の利上げが2回行われるとの方向性を示唆している。これまでのような毎回0.25%のペースから、2回に1回の0.25%利上げというペースに減速することを想定しているもようだ。
CMEグループのデータによると、7月25、26日のFOMCでの0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間10日正午すぎの時点で約92%。今回発表される6月のCPIで予想通りに物価上昇の減速が確認された場合でも、こうした見方に大きな変化は出ないとみられる。
平均時給の伸び率の高さは物価上昇圧力の強さを示唆
一方、7日に発表された6月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比20.9万人増で、事前予想(22.5万人増)を下回り、4月と5月の数字も下方修正された。米国経済の底堅さが思われてきたほどではないとの見方が広がり、ドル円相場ではドルが売られて円が買われた。ただし平均時給の前年同月比伸び率は4.4%で、3か月連続で同じ数字。新型コロナウイルス禍前の2019年はほぼ3%台で推移していただけに、引き続き雇用市場の強さが物価上昇圧力となるとの見方は根強い。
6月のCPIが予想以上に強かった場合は、米FRBの年内2回の利上げの確度が高まりそうだ。ドル円相場(USD/JPY)は6月の雇用統計発表をはさんで143円台から142円台まで下落しただけに、CPI発表後に円安ドル高が進む可能性もある。
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