米FRB、14日利上げ見送りの公算 物価上昇率低下 株価は上昇
米FRBがFOMCで利上げを見送る可能性が高まった。物価上昇の落ち着きが増したためで、株価は値上がりしている。
米連邦準備制度理事会(FRB)が13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送る公算が高まっている。13日発表の5月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は総合指数で前年同月比4.0%で、ピークだった9.1%の半分以下まで低下。食品とエネルギーを除いたコア指数でも伸び率が4月から低下した。物価上昇の落ち着きが増したことで、FRBは利上げを停止して経済動向を見極める余裕が生じたかたちだ。利上げ継続は金利の先高観を強め、経済活動への逆風になることが避けられないだけに、株式市場ではFRBの自由度が高まったことが歓迎されている。
米FRBの利上げ見送りの確率は94%
FRBは14日午後(日本時間15日午前3時)にFOMCの結果を発表する。米CMEグループのデータによると、FOMCでの利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間14日午前11時前の時点で約94%。前日の80%程度から、見送り観測がさらに高まった。
市場の確信を強めたのは13日発表の5月のCPIだ。総合指数の伸び率は4月の4.9%から大幅に低下し、2022年6月のピークの半分を割り込む水準。コア指数の伸び率は5.3%で、こちらも4月(5.5%)から低下した。総合指数は市場予想の4.1%を下回り、コア指数は市場予想通りの結果だった。
また、コア指数から家賃(持ち家の帰属家賃含む)を差し引いた指数の伸び率は3.4%で、総合指数やコア指数よりも低い水準となっている。家賃や住宅ローンの契約には変更や成約に時間がかかるため、家賃を取り除いた指数は足元の経済活動の実体をより正確に反映しているともいえる数値だ。
利上げ一服期待で米株式市場に安心感
FRBは物価上昇を抑え込むため、2022年3月から10回連続で利上げを進めてきた。今回のCPIの結果はこの効果の現れといえそうだ。一方、FRBの利上げは2023年3月から相次いだ地銀の経営破綻の背景となっており。FRB内でも銀行が貸し出しに消極的になって経済活動が想定以上に冷え込む可能性が指摘されている。物価上昇沈静化の兆しが強まれば、FRBは利上げを休止して、こうしたリスクの進展を確認することができるとの見方は多い。
また、FRBの利上げが一服すれば、金利高で企業の資金調達が難しくなる可能性が低くなる。13日の米株式市場では、S&P500種株価指数など主要な株価指数がそろって上昇した。値上がりが続いてきた電気自動車(EV)大手のテスラの株価(チャート)は13日も上昇し、連騰記録は13日まで伸びている。
ただ、低下傾向が強まったとはいえ、物価上昇率はFRBが目標とする2%からは遠い。また、米国の雇用市場の強さが賃金上昇を通じて物価上昇圧力として働き続ける可能性も残っている。CMEグループのデータでは今回のCPI発表後も、「FRBは6月の利上げを見送り、7月に利上げする」との見方が優勢。13日のニューヨーク外国為替市場では、ドル円相場(チャート)が円安ドル高に振れており、ドル高圧力が消えたわけではないようだ。
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