6月FOMCは利上げ一時停止か　FRB理事が示唆　ドル円相場は円高に動く

米連邦準備制度理事会（FRB）が6月13、14日の連邦公開市場委員会（FOMC）で利上げを一時停止するとの観測が広がっている。フィリップ・ジェファーソン理事が5月31日の講演で、過去1年以上にわたる利上げの効果を見極める必要性を強調したためだ。ジェファーソン氏の発言後、金融市場で高まっていた6月利上げ観測は大きく後退し、ドル円相場は円高ドル安に動いた。ただしFOMCまでの間には、2日発表の5月の雇用統計など重要な経済指標の発表も控えており、今後も市場の観測が揺れ動く可能性もある。

FRB理事「次回FOMCで政策金利を維持」

ジェファーソン氏はワシントンでの講演で「次回のFOMCで政策金利を維持するという決定は政策金利がピークに達したと解釈されるべきではない」と言及。利上げを一旦見送った場合は、「追加的な金融引き締めの決断を下す前にさらなるデータを確認することができる」と述べた。利上げしない理由としては、2022年3月から政策金利を5％引き上げた効果が需要の減少として現れるにはまだ時間がかかることや、3月以降の相次ぐ地銀破綻を踏まえれば、金利水準の上昇が一部の金融機関の貸し出し減少につながり経済を冷やす効果が出る可能性があることなどを挙げている。

CMEグループのデータによると、日本時間1日午前10時30分時点で、6月FOMCでの0.25％利上げについて、投資家の動向から算出される確率は約30％になっている。31日朝の段階で見込まれていた67％から、6月利上げ観測が大きく後退した形だ。

一方、7月のFOMCまでに1回か2回の利上げが行われる確率は、ジェファーソン氏の発言後も63％程度あるとみられている。31日朝段階の約80％からは低下しているが、6月の利上げが見送られた場合でも7月には利上げが再開されるとの見方が優勢のようだ。

5月以降発表の経済指標の結果はまちまち

5月のFOMC後に発表された経済指標では、4月の消費者物価指数（CPI）は物価上昇の落ち着きが見られる結果だったが、1-3月期のGDP改定値は経済活動の底堅さを感じさせ、4月の個人消費支出（PCE）物価指数は市場予想を上回る強さを示した。

6月2日に発表される5月の雇用統計では非農業部門の就業者数の増加が19万人に落ち込む一方、失業率は低い水準が維持されるとみられている。

5月31日のニューヨーク外国為替市場では利上げ観測の後退を受けて、ドル円相場（チャート）が0.5円の円高ドル安方向に動いた。ただしFOMCには利上げに前向きな発言をしてきた参加者もいるだけに、今後の経済指標が相場を動かす要因になる可能性もある。