雇用統計、5月は20万人割れ予想 2日発表 経済減速みられるか
2日発表の米雇用統計は労働市場の落ち着きを感じさせる可能性がある。ただし肝心の物価上昇は根強く、6月利上げ観測も強い。
6月2日に発表される米国の5月の雇用統計は非農業部門の就業者数の増加が20万人を割り込む見通しだ。発表時間は日本時間2日午後9時30分。米国の物価上昇の根強さは雇用の好調さに裏付けられてきただけに、就業者数の増加が想定を下回れば、米連邦準備制度理事会(FRB)にとっては利上げを打ち止めにする材料となる。ただし26日に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数は予想を上回る強さをみせており、6月の追加利上げを見据えた円安ドル高要因として働いている。
5月雇用統計は就業者数が19万人増の予想
ロイター通信のエコノミスト調査によると、5月の就業者数は前月比19万人増加の見通し。予想通りであれば2021年以降で増加数が20万人を割り込むのは3月に続いて2度目で、3-5月の平均は20.3万人となる。増加数の3か月移動平均は2021年後半から2022年初めにかけて50万-60万人台程度で推移してきたことを踏まえれば、雇用市場の落ち着きが感じられる可能性がある。一方、5月の失業率は3.5%となる見通しで、低位安定といえる状況になりそうだ。
米国での物価上昇率の高さの背景には、雇用市場が好調で賃金が上がりやすくなっていることがある。FRBは2022年3月からの利上げで企業の経済活動を冷やし、雇用や賃金増加を抑えようとしてきただけに、5月の雇用統計で減速が確認されれば、狙い通りの利上げの効果が確認できる形となる。
4月のPCE物価指数は予想を上回る伸び
ただ、肝心の物価の動向には強さも感じられている。4月のPCE物価指数の前年同月比伸び率は、食品とエネルギーを除いたコア指数で4.7%となり市場予想(4.6%)を上回った。総合指数の伸び率は4.4%で、3月の4.2%から上向いている。品目別では、サービス関連の物価の伸び率が高止まりし、低下傾向がみえていたモノ関連の物価の伸び率は再拡大しており、FRBの利上げが物価上昇を抑える効果は十分ではないようにみえる結果だった。
6月利上げ見送り観測は後退
こうした中、1週間ほど前まで優勢だった「6月利上げ見送り観測」は後退している。CMEグループのデータによると、6月13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間31日午前10時の段階で58%程度。4月のPCE物価指数の結果や、25日に発表された2023年1-3月期GDPの改定値が速報値から上方修正されたことで、物価上昇を抑えるためには利上げの追加が必要との見方が広がっているもようだ。
FRBの追加利上げ観測の高まりは、ドル円相場(チャート)での円安ドル高圧力となっている。ヤマ場を迎えた米国の債務上限問題や日本政府の為替介入の可能性なども相場を動かす中、雇用統計の結果の強弱にも注目が集まりそうだ。
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