米PCE物価指数、4月も横ばいか 26日発表 弱ければドル円でドル安も
26日発表の4月の米PCE物価指数はコア指数で横ばいの見通し。上昇の和らぎが確認できればドルが売られる局面が想定される。
米国で26日に発表される4月の個人消費支出(PCE)物価指数では、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が横ばいになる見込みだ。実際の発表数値で物価上昇が和らいでいると判断できれば、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ打ち止めが意識され、ドル円相場は円高ドル安に向かうと想定される。コア指数はこのところ横ばい状態が続いている一方、モノや家賃などの動向には落ち着きも出ており、サービス関連の物価上昇がおさまっているかどうかへの注目度が増している。
4月のPCE物価指数はコアの上昇率で4.6%予想
4月のPCE物価指数は26日朝(日本時間26日午後9時30分)に米商務省が発表する。ロイター通信によるエコノミスト調査によると、コア指数の前年同月比伸び率は4.6%になる見込み。3月と同じ伸び率で、米国の物価上昇の根強さが予想されている。
こうした物価上昇を抑え込むため、FRBは2022年3月から利上げを続けてきた。一方、急速な利上げは金融機関が保有する債券の価値下落につながり、3月以降に相次いだ地銀の経営破綻の背景になっている。4月のPCE物価指数で物価上昇の和らぎが出れば、金融市場では、FRBが6月13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを見送るとの観測が強まりそうだ。
物価の動向は為替相場にも影響する可能性が高い。10日に発表された4月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が3月から微減した際、金融市場では6月利上げ見送り観測が拡大。10日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(チャート)で前日比0.87円の円高ドル安が進んだ。FRBは物価上昇の状況を判断する指標として、PCE物価指数を重視しており、4月の数字が弱かった場合は同様の動きが見込まれる。
モノの物価上昇率は1.6%まで低下
ただしPCE物価指数のコア指数の伸び率は2022年11月に4.8%となってから、4.6-4.7%で推移しており、根強さが目立っている。中でもサービス関連の物価の伸び率は2022年8月から5%台で推移。物価上昇が継続的に落ち着いていくと判断するには、4月のデータでサービス関連の物価の低下が確認できるかが重要だ。
一方、モノ関連の物価の伸び率は3月に1.6%となり、2022年6月に記録した10.6%からの低下が明らかだ。実際、モノの販売動向を示す4月の小売売上高の統計では、前年同月比での伸び率が1.6%増まで落ち、物価の先行きの安心材料となっている。
また、住宅市場では、4月の中古住宅の販売価格が3か月連続で前年同月比マイナスとなっており、今後は家賃など居住関連の価格も落ちついていくと見込まれている。26日発表の4月のPCE物価指数でサービス部門の物価上昇が落ち着けば、モノの価格と家賃の上昇のおさまりとあわせて、FRBが描くシナリオが実現に向かっているとの見方も成り立つ。
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