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米中古住宅市場の低調続く FRB思惑通り 雇用堅調で利上げ観測は再拡大

米中古住宅市場は4月も価格が下がり、FRBの利上げの効果が出た。ただし雇用の堅調さも続き、ドル円相場は円安ドル高に振れた。

出所:ブルームバーグ

米国の中古住宅市場の冷え込みが目立ち始めている。18日に発表された4月の中古住宅市場関連の指標では、平均販売価格が3か月連続で前年同月比でマイナスとなった。販売件数も市場予想を下回っており、中古住宅市場の活気が失われている形だ。住宅ローン金利の高止まりが影響しており、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げの効果が表れているといえる。ただし米国では18日に雇用関連の指標の強さが示され、ドル円相場は6日連続でドル高に振れた。FRBが6月13、14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを行う可能性が改めて意識されている。

4月の米中古住宅販売価格は3か月連続の減少

全米リアルター協会(NAR)が18日に発表したデータでは、4月の中古住宅の平均販売価格は38万8800ドルだった。前年同月比1.7%減で、2月(0.03%減)、3月(1.03%減)に続く、3か月連続のマイナスを記録した。また、販売件数は年換算で428万件で、市場予想の430万件をわずかに下回った。米国の中古住宅市場は新築住宅市場の6倍以上の規模があり、4月のデータは住宅市場の減速を感じさせる結果だといえる。

米国の中古住宅市場の推移(販売件数、販売価格前月比増減率、住宅ローン金利)

利上げで物価上昇を抑え込もうとしているFRBにとって住宅分野での価格下落は朗報だ。1年以上にわたる利上げが住宅ローン金利を引き上げ、住宅投資を抑える効果を生んでいるとみられる。また16日に発表された4月の小売売上高は3か月ぶりに前月比プラスになったが、市場予想は下回り、過熱感はなかった。

FRBにとっての懸念材料は雇用の強さ

一方、FRBにとっての懸念材料は雇用市場の強さだ。労働省が18日に発表した失業保険関連の統計では、5月7-13日週の新規失業保険申請件数が24万2000件となり、前週から2万2000人減少。金融情報会社リフィニティブのエコノミスト調査で示された事前予想(25万4000件)も下回る結果だった。

失業者が少ない状況では、賃金や消費意欲の高まりが物価を上昇させる力として働くことが想定される。失業保険関連統計の発表後、米国経済の底堅さが意識され、18日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(チャート)では前日比で1.04円の円安ドル高が進んだ。円高ドル安は6営業日連続で、このところの円安の動きが続いた形だ。

こうした中、FRBが6月のFOMCで利上げを行うとの見方もじわじわと復活している。CMEグループのデータによると、6月の0.25%利上げについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間19日午後2時前の時点で36.7%となった。4月の消費者物価指数(CPI)で物価上昇の落ち着きが示された10日にはほぼ0%まで下がっていた確率が再浮上してきている形だ。

次回のFOMCまではまだ4週間ほどの時間がある。FRBの動きをめぐる観測はしばらく揺れ動くことになりそうだ。


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