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強い日本でも円安進行 1-3月期年率1.6%成長 独り勝ちは期待薄か

日本の成長率が米国をしのぐ中でも、円安ドル高が進んだ。背景には日本経済の先行きが海外経済に左右される側面がありそうだ。

出所:ブルームバーグ

日本経済の強さを感じさせる経済指標とは裏腹に、ドル円相場で円安ドル高が進んでいる。17日のニューヨーク外国為替市場では5営業日連続で円安ドル高が進行。米国発の金融システムへの不安が始まる前までさかのぼる、約2か月ぶりの高値が視野に入っている。一方、17日には日本の2023年1-3月の実質GDP成長率が米国をしのぐ強さを示し、日経平均株価は3万円の節目を突破していたが、それでもドルの魅力が円を上回った形だ。背景には米国など海外経済のぐらつきはいずれは日本にも波及するとの見方もあるとみられ、日本の独り勝ちは期待できない経済の現状を映し出している。

ドル円相場は5営業日連続で円安

金融情報会社リフィニティブのデータによると、17日のニューヨーク外国為替市場のドル円相場(チャート)は前日比1.3円の円安ドル高水準である1ドル=137.67円で取引を終えた。円安ドル高は5営業日連続。米国でシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻直前の3月8日の取引時間中につけた137.91円が迫っている。

一方、17日には日本経済の予想以上の強さが示されていた。この日発表された1-3月期GDPの実質成長率は前期比年率換算で1.6%で、市場予想の0.7%を上回った。個人消費が2.4%という高い伸びを示し、物価上昇にも関わらず消費の底堅さが示された形だ。堅調な成長は日本銀行なども想定していたものの、米国の1-3月期の実質成長率(1.1%)も上回る高い水準だったといえる。こうした中、17日の東京株式市場では日経平均株価の終値が1年8か月ぶりに3万円を超えた。

日本のGDP実質成長率と寄与度の推移

これに対して米国では経済の先行き不透明感が続いている。3月のSVB経営破綻後から始まった金融システムに対する不安は5月1日のファースト・リパブリック銀行の経営破綻で再燃。米国債の債務不履行につながると懸念されている債務上限引き上げをめぐる米国議会の対立は、バイデン大統領が17日に解決に前向きな発言をしたものの、まだしばらくは調整に時間がかかる状態だ。

日本経済の先行きには不安も

それでもドル円相場でドルが買われる背景には、日本経済の強さに対する信頼の弱さがありそうだ。ニッセイ基礎研究所は1-3月期GDPの発表を受けたリポートで、2022年10-12月期がプラス成長からマイナス成長に下方修正されていることを踏まえ、「日本経済が安定的な成長軌道に復帰したとは言い難い」と指摘。年換算した実質GDPの実額(約549兆円)は直近のピークである2019年7-9月期(約558兆円)を1.5%下回っており、「経済の正常化にはまだ距離がある」としている。

また、今後の先行きについても「海外経済の減速が日本経済にもたらす影響には注意が必要」(大和総研)との見方は多い。米国をはじめとする世界経済の先行き不透明感がある中、今後はモノの輸出が低迷し、日本の製造業も設備投資を手控えるなどの見方から、第一生命経済研究所は2023年度の実質成長率は0.8%に留まるとみている。

経済のグローバル化や日本経済における製造業の重要性を考えれば、日本経済だけが好調を維持するシナリオは成り立ちにくい。このところのドル円相場の動きは、円高が進みにくくなっている経済の現状を反映している側面もありそうだ。


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