日銀の利上げ見通し拡大 日本CPI予想超え 円高一時153円台
日本の10月CPIは市場予想を超える上昇率だった。金融市場では日銀の利上げ見通しが強まっており、ドル円相場での円高要因となった。
日本銀行が12月の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの見通しが強まった。22日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を超える結果となり、物価上昇の継続を感じさせたためだ。サービス価格の上昇率も4か月ぶりに前月を上回り、賃上げが物価上昇につながる循環への期待を高めた。金融市場では日銀の12月利上げについての確率が上がり、ドル円相場では一時、1ドル=153円台後半まで円高が進む場面があった。ただ、アメリカの金融政策をめぐっては連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測の後退が円安要因として働いており、ドル円相場の今後の見通しでは米国の経済動向も材料視されそうだ。
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日本の10月CPIはコア指数とコアコア指数の伸び率が予想を超える高さ
総務省が22日に発表した10月CPIの伸び率は、総合指数、生鮮食品を除いたコア指数、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数がいずれも2.3%だった。総合指数はブルームバーグがまとめた市場予想と同じ水準。伸び率は2か月連続で低下したが、政府が電気・ガス代への補助を8月分から再開したことの影響が大きい。コア指数とコアコア指数はそれぞれ市場予想の2.2%を上回った。コアコア指数は3か月連続で上昇率が前月よりも大きくなっている。
また10月CPIをモノとサービスで分けてみると、モノの上昇率は前年同月比2.9%、サービスの上昇率は1.5%だった。モノの上昇率は2か月連続で前月から低下。一方、サービスの上昇率は4か月ぶりに前月を上回った。コストに占める人件費の割合が高いサービスの物価上昇の加速は、企業が賃上げのコストを価格に転嫁する動きが進んだことを示している可能性がある。
日銀の12月決定会合での利上げ見通し強まる 金融市場では63%の確率
10月CPIの物価上昇の強さは、日銀の利上げ見通しを裏付ける結果だといえる。日銀の植田和男総裁は18日の講演後の記者会見で、10月は企業が下半期初めの価格改定を行うタイミングにあたることを指摘。追加利上げの是非を判断するにあたっては、10月CPIでサービス価格の上昇がみられるかどうかを確認する意向を示していた。
こうした中、22日の金融市場では10月利上げ見通しが強まっている。ブルームバーグによると、日銀が18、19日の金融政策決定会合で利上げを行うことについて投資家の動向から算出される確率は22日午前10時30分現在で63%。CPI発表直前の49%程度から大きく上昇した。
ドル円相場では円高が進行 一時153.96円
日銀の利上げ見通しの拡大はドル円相場(USD/JPY)では円高材料となった。LSEGによると、ドル円相場はCPI発表後の午前9時すぎに1ドル=153.96円をつけ、発表前の154.30円程度から円高方向に振れた。
FRBの利下げ見通しは後退 議事要旨やPCE物価がドル円の今後の見通しを左右か
ただ、ドル円相場の見通しをめぐっては、米国でFRBの利下げ見通しが弱まっているという材料もある。CMEグループのデータによると、17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は日本時間22日午前10時30分現在で58%程度。前日には55%台まで下がる場面もあった。ジェローム・パウエル議長が14日の講演で利下げを急ぐ必要はないとの立場を示したことが背景にある。
こうした中、日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は横ばいといえる状況だ。LSEGによると、日本の長期金利は22日に一時、1.101%をつけ、7月25日(1.106%)以来、4か月ぶりの高さに到達。一方、米国の長期金利も4.4%台まで上がっており、金利差は3.3%ポイント台での推移が続いている。
このためドル円相場の今後の見通しは米国の経済動向にも左右されそうだ。26日に発表される11月FOMCの議事要旨や27日に発表される10月の個人消費支出(PCE)物価指数で、利下げに対する慎重姿勢や物価上昇の根強さが確認された場合には、FRBの12月利下げの難しさが意識されてドル円相場を円安に動かすことも想定される。
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