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米ドル高に変化の兆し、CPIと小売売上高で米ドル安進行も ドルインデックスのチャート分析

5月に入り外為市場では、じわりと米ドル高の圧力が後退している。今週もこのトレンドが続くかどうか?4月のPPI、CPIそして小売売上高がその鍵を握るだろう。米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は21日線と50日線、どちらをブレイクするのか?今週はこの点に注目したい。


サマリー

・5月に入り外為市場では、米ドル高の圧力がじわりと後退している
・米ドル安のムードが高まるかどうか?今週はPPIとCPIがその鍵となろう
・小売売上高で個人消費の陰りが確認される場合は、米ドル安の要因となろう
・ドルインデックスは21日線で反発が止められ、上値の重さがうかがえる
・今週の経済指標でドルインデックスが下落する場合は、50日線の攻防に注目したい


じわりと後退する米ドル高の圧力

5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、外為市場では米ドル高の圧力がじわりと後退している(下のチャートを参照)。

米ドル安へ転換するムードが高まるかどうか?今週この鍵を握るのが、4月の物価指標ー生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)である。個人消費の動向を考えるうえで重要な指標である小売売上高(4月)も米ドル相場の変動要因として注目したい。

米ドル 対主要国通貨の動向:月初来

米ドル 対主要国通貨の動向:月初来 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 5月1日~10日までの動向

市場参加者の関心は物価指数-PPIとCPIに

今週14日に米国の生産者物価指数(4月、PPI)が発表される。そして翌15日には同月の消費者物価指数(CPI)の発表も控えている。

注目度が高いのは後者のCPIである。しかし、PPIとCPIがともに同じ結果となれば、米国の債券市場を大きく動かす要因となろう。米ドル相場のトレンドは、米債市場の動きに左右されるだろう。

3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.7%増と、前月の2.5%から伸びが加速した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が注視する物価指標でインフレ圧力の根強さが確認された状況で、4月のPPIとCPIがインフレ圧力の粘着性を示唆する場合は、米金利の上昇要因となろう。

米金利の上昇は、最高値圏にある米国株の調整(反落)の要因になり得る。ゆえに、外為市場では米金利の上昇と米株安を受け、米ドル相場が反発する展開が予想される。

一方、PPIとCPIでインフレが鈍化の傾向にあることが確認される場合は、「米金利の低下→米ドル安」のトレンドが進行する要因となろう。

米国 生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)の動向:23年以降

米国 生産者物価指数(PPI)と消費者物価指数(CPI)の動向:23年以降 米労働省とブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:4月の市場予想

減速の兆候が見られるアメリカの個人消費、小売売上高も相場の変動要因に

消費者物価指数(CPI)と同じ日に4月の小売売上高も発表される。PPIとCPIの動向で、小売売上高が材料視される重要度が変わることが予想される。

個人消費の先行指標として注目されている消費者信頼感指数(コンファレンスボード)は4月に97.0と、前月の103.1から大幅に低下した。期待指数も66.4と、前月の74.0から7.6ポイント低下した。そしてアメリカの消費者マインドを示すミシガン大学消費者態度指数(速報値)も5月は67.4と前月の77.2から大幅に低下し、2023年11月以来の低水準となった。

経済指標以外では、アメリカの家計が2024年3月時点で、パンデミック期の貯蓄を使い果たしたとの調査がある(サンフランシスコ地区連銀の調査)。また、2020年以来の減収となったスターバックス(SBUX)の決算は、個人消費の陰りを示す兆候との見方もある。

他の経済指標などで個人消費の陰りを示唆する内容が相次ぐなか、小売売上高も前月から低下する見込みである(下のチャートを参照)。

市場参加者の関心は物価指標に集まっている。これらがインフレの鈍化傾向を示し、かつ4月の小売売上高で個人消費の減速も確認される場合は、米金利の低下幅が拡大する要因となろう。外為市場では米ドル安の進行が予想される。

米国 小売売上高の動向:23年4月以降

米国 小売売上高の動向:23年4月以降 米商務省とブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

ドルインデックスは2つの移動平均線の攻防が焦点に

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は現在、2つの移動平均線に挟まれ、新たな材料待ちのムードにある。その移動平均線とは、21日線(10日時点で105.74レベル)と50日線(10日時点で104.68レベル)である(下のチャートを参照)。

直近の動きで注目したいのが、反発の局面で21日線がレジスタンスのラインとして意識されていることである。米ドル高の局面では、難なくこの移動平均線を突破してきたドルインデックスが、先週9日に上ヒゲで反発が止められた(下のチャート、青ラインを参照)。また、日足のモメンタムがゼロラインを下回り、弱気相場に勢いが出始めていることを示唆している。

米ドル高の圧力が後退しつつある状況で、上で取り上げた経済指標が米金利の低下要因となれば、ドルインデックスは50日線を視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。

ドルインデックスが50日線をも下方ブレイクする場合は、現在の米ドル高トレンドを象徴している短期サポートラインのトライが焦点として浮上しよう。

ドルインデックスのチャート:日足 23年10月以降

ドルインデックスのチャート:日足 23年10月以降 TradingView提供のチャートで作成

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