原油価格反発 WTIが72ドル台 FRB利下げで需要増加の見通し
WTIが72ドル台をつけ、10日につけた65ドル台から反発している。FRBの利下げや雇用関連指標の改善が需要増加見通しを強めた。
原油価格の反発が進んでいる。原油先物市場の指標価格であるWTIは日本時間の20日、1バレル=72ドル台まで上昇。10日につけた65ドル台からの値上がりが鮮明だ。米連邦準備制度理事会(FRB)が18日に大幅利下げを決めたことや、19日発表の米国の雇用関連統計が市場予想を超える改善を示し、原油需要増加の見通しが材料視された。原油価格は8月半ばに80ドル台をつけた後、下落傾向が続いてきただけに反発が続くことも想定される。
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WTIは一時、72.49ドルまで上昇 直近安値から9.5%高
LSEGによると、WTI(WTI原油)の19日の終値は前日比1.47%高の1バレル=71.95ドル。一時、72.49ドルの高値をつける場面もあった。日本時間の20日午前の取引でも72ドル前後で推移している。10日につけた終値ベースでの直近の安値(65.75ドル)からは9.5%程度の上昇だ。
FRBの利下げと失業保険申請件数の低下が材料に
原油価格上昇の背景になっているのはFRBが18日に決めた利下げ。0.5%という利下げ幅は政策金利の変動幅として一般的な0.25%よりも大きく、FRBが示した経済見通しでも年内に合計0.5%幅の利下げを行う方向性が示された。利下げには米国経済の悪化を防ぐ効果が期待され、原油需要の増加見通しにつながった。
こうした見通しは19日に発表された新規失業保険申請件数でも裏付けられた。8-14日週の申請件数は21.9万件で、5月12-18日週(21.6万件)以来4か月ぶりの小ささ。ロイターがまとめた市場予想の23万件も大きく下回った。米国経済をめぐっては労働市場悪化への懸念がつきまとってきたが、雇用関連の経済指標の改善は投資家心理を大きく改善させたようだ。
また、米国の原油在庫の減少も需要の強さを示している。米エネルギー情報局(EIA)が18日に発表した週次のデータでは、13日時点の原油在庫(戦略備蓄除く)は前週から163万バレル減少で、市場予想の50万バレルの減少よりも大きな取り崩しだった。
中東情勢緊迫化 ヒズボラがイスラエルへの報復を示唆
さらに、原油価格をめぐっては、中東情勢の悪化に対する不安が供給面での上昇圧力となっている。17日にはレバノンで、イスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員らが所持していたポケットベルが一斉に爆発。英BBCは少なくとも32人が死亡したとしている。ヒズボラはイスラエルによる犯行だとして報復を示唆。イスラエルとパレスチナ自治区を拠点とするイスラム組織ハマスとの戦闘が長期化し、停戦協議の決着もみえない中、戦火が拡大する可能性が改めて強まった。
WTIは8月12日の終値で1バレル=80.06ドルをつけた後は下落傾向が続いていた。米国の労働市場の悪化見通しが投資家心理を暗くしたほか、石油輸出国機構(OPEC)が2024年の世界の石油需要の見通しを下方修正したことも原油価格下落の要因となった。こうした中、FRBの利下げという米国の金融政策の節目をきっかけとした原油価格上昇が起きた形で、上昇継続への期待が高まることも考えられそうだ。
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