原油価格の上昇続くか 中国利下げで需要増期待 アメリカ在庫も減少見通し
WTIは24日に一時、1バレル=72ドル台まで上昇。中国の利下げが原油需要を高めるとの期待が背景だが、米国経済の先行きなどの不確定要素も多い。
原油価格に上昇圧力がかかった。原油先物市場の指標価格であるWTIは24日に一時、1バレル=72ドル台まで上昇。中国人民銀行が利下げを含む景気刺激策を発表し、原油需要が増加するとの期待が高まったためだ。またアメリカで25日に発表される週次の原油在庫量も2週連続で前週から減少する見通しで、需要の底堅さが確認される可能性がある。ただ、世界経済をめぐる先行き不透明感は依然として強く、原油価格は上昇気流に乗り切れていない。今後の原油価格の見通しは世界経済の行方をめぐる思惑に左右される側面がありそうだ。
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WTIは一時、72.40ドル 中国の景気刺激策が材料に
LSEGによると、WTI(WTI原油、翌月渡し)は24日のニューヨーク市場での終値が前日比1.69%高の1バレル=71.56ドル。午後には一時、72.40ドルをつける場面もあり、上昇圧力の高まりを感じさせた。25日の東京市場では71ドル台前半で推移している。
24日のWTI上昇のきっかけとなったのは、中国経済の回復が原油需要を高めるとの期待だ。中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は24日、市中銀行に適用する預金準備率を近く、0.5%幅で引き下げると発表。ロイターによると、実施されれば銀行からの新規融資の余力を約1兆元増やす効果があるという。このほか、預金準備率を年内にさらに0.25-0.50%ポイント引き下げる可能性があることや、不動産市場に対する支援策として住宅ローン金利を引き下げることなども発表された。
中国経済をめぐっては7月に発表された2024年4-6月期のGDPの成長率が前期比0.7%となり、2022年4-6月期(マイナス2.1%)以来の低水準となるなど、経済減速の見通しが強まっている。原油市場では中国経済の悪化が原油需要減少につながる値下がり要因とみなされてきただけに、中国の景気刺激策は成長率回復を連想させる値上がり材料としてみなされたようだ。
アメリカの原油在庫量は2週連続で減少の見通し
また、原油市場では米国での需要に関しても底堅さが確認される可能性がある。米エネルギー情報局(EIA)が25日午前10時30分(日本時間25日午後11時30分)に発表する20日段階の原油在庫量(戦略備蓄除く)は、ロイターがまとめた事前予想によると、前週から135.4万バレル減少する見通し。予想通りになれば在庫の減少は2週連続で、米国での原油需要の堅調さが在庫の取り崩しにつながっているとの見方を強めそうだ。
ただし米国経済をめぐっては24日に景況感の悪化を示す経済指標が発表されるなど、見通しへの不安が払拭されているわけではない。米連邦準備制度理事会(FRB)は物価上昇の鎮静化と景気後退の回避を両立させる軟着陸(ソフトランディング)を目指し、0.5%幅の利下げを決めたが、26日に発表される週次の新規失業保険申請件数や、27日に発表される8月の個人消費支出(PCE)物価指数の結果でも、米国経済の見通しが揺れ動く可能性がある。
WTIは9月10日の1バレル=65.75ドルを終値ベースでの底値とした上昇基調が続いているものの、世界経済の見通しをめぐる思惑次第で、再び値下がり傾向が始まることも考えられそうだ。
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