原油価格、年始から上昇 WTIが74ドル台 厳冬で需要増加の見通し
WTI(翌月渡し)は8日も74ドル台で推移。2024年末から4%超の値上がりだ。厳冬による需要増加見通しが材料視されている。
原油価格に上昇傾向が出てきた。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)の価格は日本時間8日午前の取引で1バレル=74ドル台。約3か月ぶりの高値水準となっている。2024年末の71ドル台からは4%超の値上がりだ。アメリカの原油在庫の減少が続いていることが要因で、厳冬によるエネルギー需要増加見通しも材料視されている。ただ、13日以降は中国の原油輸入量や石油輸出国機構(OPEC)の需要予想などが発表される予定で、中長期的には原油需要が伸び悩むとの見方が原油価格の下落要因として働く可能性もありそうだ。
原油価格に上昇傾向 WTIは一時、年初来で4.56%高に
WTI(翌月渡し、WTI原油)の価格は6日の取引で一時、1バレル=74.99ドルまで上昇。ブルームバーグによると、2024年10月14日の高値(75.08ドル)以来の高さとなった。2024年末の71.72ドルとの比較では4.56%の上昇となっている。WTIは日本時間8日午前の取引でも74ドル台後半で推移。原油価格は2024年12月以降は小幅な値動きが続いていたが、年始から上昇傾向が出てきた形だ。
アメリカの原油在庫は6週連続で減少 厳冬も原油価格上昇要因に
原油価格上昇の背景には、米国の原油在庫の減少がある。米エネルギー情報局(EIA)が2日に発表した原油在庫量(戦略備蓄除く)は4億1560万バレルで、1週間前から117.8万バレルの減少。6週連続での原油在庫の取り崩しとなった。米国では、首都ワシントンを含む東海岸中部での降雪や暴風が報じられており、厳冬がエネルギー需要を高めるとの見方も強まっている。
ブルームバーグがまとめた市場予想では、8日午前10時30分(日本時間9日午前0時30分)に発表される3日時点の在庫量も、1週間前比で200万バレルの減少となる見通しだ。
中国の石油需要の増加は2025年も減速見通し 輸入量も頭打ちに
ただ、原油市場をめぐっては中長期的には需要が伸び悩むとの見方は強い。OPECの2024年12月の月報では2024年の世界全体の石油需要は前年比1.58%増とされており、2023年の2.57%増から減速する見通し。中国の需要が2.63%増にとどまり、2023年(9.43%増)から急減速する見通しになっていることが要因だ。OPECは2025年についても中国の需要は1.85%増に減速するとの見通しを示している。
こうした中、中国の原油輸入量には頭打ちがみられている。ブルームバーグがまとめた中国税関総署のデータによると、中国の2024年1-11月の原油輸入量は5億0564万トンで、前年同期比1.99%減少。5月から10月にかけては6か月連続で前年の実績を下回った。
このため原油価格の今後の見通しは中長期的な原油需要をめぐる思惑にも左右されそうだ。13日に発表される中国の12月の貿易収支で原油輸入量の低下がみられた場合には、原油価格の上昇にブレーキがかかる可能性がある。また14日と15日には、EIAとOPEC、国際エネルギー機関(IEA)が相次いで原油需要の見通しを発表する予定で、原油価格の動向を左右することが想定される。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。