円安一服、一時142円台 米長期金利上昇停止 景気見通し悪化材料視
ドル円相場は日本時間の25日に一時、142円台後半をつけた。米国の景況感の悪化が長期金利の低下につながったことが材料視された。
ドル円相場で進んでいた円安に一服感が出た。25日の東京市場での取引では一時、3営業日ぶりの1ドル=142円台を記録。前日のニューヨーク市場でアメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の上昇が頭打ちとなり、日米の金利差が縮小する見通しが感じられたことが材料視された。24日に米国の景況感の悪化を示す経済指標が発表され、米国の金利の先安観を強めたとみられる。一方、日本の金融市場でも長期金利は低下しており、日米の金利差は縮まっていない。ただし連邦準備制度理事会(FRB)が利下げに踏み切る中で今後は金利差縮小が進むとみられ、円高圧力が強まることも考えられる。
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ドル円相場で142.89円まで円高が進行 3日ぶり円高水準
ドル円相場(USD/JPY)は25日午前の東京市場で一時、1ドル=142.89円をつけた。142円台は日本銀行の植田和男総裁の金融政策決定会合後の記者会見が追加利上げに距離をとったと受け止められ、円安が進行した20日以来だ。ドル円相場はその後は143円台前半で推移している。
アメリカの長期金利に低下見通し 景況感が大幅悪化
円安の進行にブレーキがかかった背景には、米国の長期金利の低下見通しが強まったことがある。LSEGによると、24日のニューヨーク債券市場では午前中の取引で長期金利が一時、約3週間ぶりの高さとなる3.810%をつけ、前日終値(3.738%)から大きく上昇。しかしその後は低下が始まり、終値段階では3.736%となった。米国の長期金利低下は日米の金利差を縮小させる円高材料として意識されたようだ。
長期金利低下の要因は、米調査会社コンファレンス・ボードが発表した9月の米消費者信頼感指数が98.7となり、前月の105.6(改定値)から大きく低下したこと。ロイターがまとめた市場予想の104.0も下回った。コンファレンス・ボードは「消費者は将来の労働市場についてより悲観的になった」などと分析。労働市場の悪化は物価上昇の継続とならぶ米国経済の不安要素なだけに、金利の先安観につながったとみられる。
米国のつなぎ予算は成立の見通し 政府機関閉鎖は回避か
また、長期金利をめぐっては米議会での共和党と民主党の対立が10月以降の政府機関閉鎖につながるリスクが後退している。共和党のマイク・ジョンソン下院議長は22日に12月20日までのつなぎ予算案を発表。大統領選挙の共和党候補であるドナルド・トランプ前大統領が求めている、大統領選挙や連邦議会選挙の投票に際して市民権の確認を厳格化する条項は外された。民主党の要望に沿った内容で、9月末までにつなぎ予算が成立する見通しを強めた。
こうした中、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日に発表したレポートで米国の政治対立を問題視した。しかしつなぎ予算成立の見通しを踏まえ、債券市場での米国債売りにはつながらなかった。米国議会内の対立による政府機関閉鎖のおそれは約1年前にも拡大。格付け会社が米国債を格下げするなどして米国債が売られ、長期金利の上昇を招いていたが、混乱が再現される事態は当面は回避されたようだ。
日本の長期金利も低下 日米金利差は縮まらず
一方、日本の長期金利も米国の長期金利とあわせるようにして低下していることから、日米の長期金利差は縮まっていない。LSEGによると、日本の長期金利は24日の終値で0.810%。日米金利差は2.926%ポイントで、2日(3.005%ポイント)以来の大きさとなっている。
日本の金利水準については、日銀の植田総裁が24日の大阪市内での講演でも、追加利上げの是非を判断する「時間的な余裕がある」と述べ、20日の記者会見と同様に利上げから距離をとった。また、27日に結果が判明する自民党総裁選挙に出馬している高市早苗経済安全保障担当相は23日公開のインターネット番組で、「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言。日銀の利上げが経済活動を冷やすことで物価の上昇基調が崩れることに懸念を示した。
ただ、FRBが18日に決めた4年半ぶりの利下げは今後も米国の長期金利低下が進む見通しを強めており、ドル円相場での円高圧力は続きそうだ。今後、日本の金利低下が停止すれば、円高のペースが速まることも考えられる。
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