バリュー株 ( 割安株 )の注目 銘柄 5選【2024年】
資本効率が改善したことで、日本のバリュー株(割安株)の魅力は高まっています。この記事では、注目のバリュー株5銘柄を紹介します。銘柄は株価収益率(PER)に基づいて選出さていれます。
バリュー投資とは
バリュー投資とは、潜在的に割安な企業、いわゆる「バリュー株(割安株)」を見極める投資戦略です。割安株とはなんでしょうか。割安株に該当するかどうかを示す重要な指標が、株価収益率(PER)です。PERが低いということは、その企業が割安であること、あるいは過去の傾向と比較して非常に好調であることを示唆しています。
今日において最も有名なバリュー投資家は、ウォーレン・バフェット氏といえるでしょう。バリュー投資家は、市場が良い・悪いニュースに過剰に反応した結果、企業の長期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)と一致しない株価の動きが生じると考えています。
企業の株価が割安になる理由はいくつかあります。例えば、市場全体の暴落や信用失墜によって投資家が株を売る場合が考えられます。また、各種ニュースが短期的に特定の企業の株価を左右することもあるでしょう。経済サイクルの自然な浮き沈みによる可能性もあります。
他にも、単に変化や魅力の少ない企業や株式とみなされている場合もあります。定期的にニュースで取り上げられるような企業でないからといって、投資すべき堅実なビジネスや取引に適した株式でないというわけではありません。
日本市場におけるバリュー株の動向
日本市場では、2024年の株式市場においてバリュー株(割安株)が注目されています。その背景には、国内外の金融政策や国際的な政治イベントが大きく影響しています。12月には日米で金融政策決定会合が予定されており、FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを見送る可能性や、日銀の利上げが予想されています。これにより、日米金利差の縮小が円高要因となり、日本株全体の上値を抑える可能性がある一方で、円安局面では輸出関連の大型バリュー株が注目される可能性があります。
さらに、2024年の米大統領選ではトランプ氏が勝利し、共和党が上下両院で多数派を占める「トリプルレッド」になりました。この結果、財政拡大政策が米国の長期金利を上昇させるとの見方が広がっています。この金利上昇はバリュー株にプラスに作用する一方で、急激な上昇は実体経済への逆風となり、株価全体の下振れリスクを伴います。
日本市場では、年末に向けて個人投資家の買いが活発になると予想されています。NISA(少額投資非課税制度)枠の使い切りや配当の再投資がこれを支えています。しかし、小型株は機関投資家の買いが期待できないことや節税売りの影響から、値動きが弱くなると考えられています。そのため、バリュー株の中でも時価総額上位の大型株に注目した方が良い可能性があります。
海外投資家の動きも重要です。2024年上半期にかけては買い越しが続いていましたが、その後は売り越し基調が見られます。一方で、米国の対中政策やアジア地域の地政学的リスクを背景に、日本が海外投資家の投資先として選ばれる可能性もあります。特に、低PER・低PBRで高配当利回りを持つバリュー株は今後も注目されるでしょう。
注目のバリュー株(割安株)5銘柄
ここでは、注目すべきバリュー株5銘柄をご紹介します。(株価やその他の数値は、2024年12月3日時点のものです。過去の値動きは、将来の株価動向を示すものではありません)。
トヨタ自動車(7203)
トヨタ自動車は、日本を代表する自動車メーカーであり、世界的な市場シェアを誇ります。同社は多様な車種展開に加え、ハイブリッド車や電気自動車の開発でも先駆的な存在として知られています。さらに、北米やアジアを中心にグローバル市場での売上を拡大しており、円安の恩恵を大きく受ける企業の一つです。2024年の米ドル高の進行に伴い、輸出関連事業の収益性が一段と高まると期待されています。
2025年3月期第2四半期の決算では、売上高が23兆2,824億円(前年同期比+5.9%)と堅調でしたが、営業利益は2兆4,642億円(前年同期比-3.7%)、親会社株主に帰属する中間利益は1兆9,071億円(前年同期比-26.4%)と減益でした。利益減少の主因は、諸経費の増加や販売台数の減少でしたが、為替変動による影響はプラスに働きました。
現在のPERは約7.2倍と市場平均を下回る水準で、割安感があります。株価は2024年12月現在で約2,600円前後を推移しています。安定した配当政策が投資家に支持されています。同社の円安局面における強みや、今後のEV(電気自動車)分野での成長期待を考慮すると、魅力的な投資先といえるでしょう。
短期トレーダーの場合、為替動向を注視するタイプの投資が良いでしょう。特にドル円相場が円安方向に動いた際には、同社株が即時的な反応を見せることが多いため、短期的な値動きから利益を狙えます。
オリンパス(7733)
オリンパスは、内視鏡や治療機器で世界的に有名な医療機器メーカーです。同社は内視鏡事業において圧倒的なシェアを誇り、特に消化器内視鏡分野では市場をリードしています。近年は、持続可能な医療機器の提供と革新的な治療技術の開発に注力しており、成長を続けるグローバル・メドテック企業として注目されています。欧米市場での内視鏡システム「EVIS X1」や治療機器が好調で、円安の恩恵を受ける企業の一つです。
2025年3月期第2四半期の連結業績では、売上高は4,740億円(前年同期比+9.8%)、営業利益は705億円(前年同期比+22.9%)と増収増益を達成しました。為替の円安影響が大きく、それが売上増加の一因となりました。一方、研究開発費や品質変革プログラムに係る費用の増加が利益面での課題となっています。
現在のPERは約11.9倍と市場平均を下回る水準で、割安感が感じられます。2024年12月現在、株価は2,300円前後を推移しています。円安による収益増に加え、内視鏡市場の拡大が見込まれる中、同社の収益基盤は堅調です。
ヘルスケア分野の成長性を注視する短期トレーダーにおすすめです。グローバル市場でのシェア拡大や新製品の発表が株価に反映されやすい点も見逃せません。
JFEホールディングス(5411)
JFEホールディングスは、日本を代表する鉄鋼メーカーです。鉄鋼事業、エンジニアリング事業、商社事業を柱としています。同社は、自動車や建設業界向けの鋼材や鉄鋼製品を国内外に供給しており、輸出比率が高い点が特徴です。2024年は世界経済の回復に伴い、輸出需要の増加が期待され、円安が同社の収益性をさらに押し上げると考えられています。アジア市場での鋼材需要の伸びも、同社の成長を支える重要な要因です。
2025年3月期第2四半期の決算では、売上収益は2兆4,508億円(前年同期比-4.9%)、親会社所有者帰属の中間利益は424億円(前年同期比-61.4%)と減収減益となりました。利益減少の主な要因は、販売数量の減少や為替換算差によるマイナス影響が挙げられます。ただし、粗鋼生産量は安定しており、構造改革の効果も現れ始めています。
現在のPERは約5.3倍と非常に低く、割安感が際立っています。2024年12月現在の株価は1,700円前後で推移しています。安定した配当政策も魅力な銘柄です。鉄鋼業界全体の成長や円安進行に伴う競争力向上が、同社の株価を押し上げる可能性があります。
景気循環に敏感な短期トレーダーにおすすめです。日本国内外のインフラ投資や自動車生産の動向が株価に即座に反映されるため、これらのニュースに敏感に対応することが求められます。
阪和興業(8078)
阪和興業は、日本を代表する総合商社です。鉄鋼、エネルギー、食品、リサイクルメタルなど幅広い事業を展開しています。同社は国内外の鉄鋼やエネルギー関連分野で堅実な基盤を持ち、特にエネルギー・生活資材事業やリサイクルメタル事業で安定した収益を上げています。輸出取引も多く、円安が進む中でその競争力がさらに高まることが期待されています。
2025年3月期第2四半期の決算では、売上高が1兆2,586億円(前年同期比+4.8%)、営業利益が288億円(前年同期比+9.6%)、親会社株主に帰属する中間純利益が202億円(前年同期比+6.0%)と好調でした。エネルギー・生活資材事業が取扱数量の増加や販売単価の上昇により、収益と利益を押し上げました。
現在のPERは約5.2倍と非常に低く、割安感があります。2024年12月現在の株価は4,800円前後で推移しており、安定した高配当利回りも魅力です。同社の幅広い事業展開と安定した業績から、短期だけでなく中長期的な投資先としても注目されています。
素材価格やエネルギー価格の変動に敏感な投資家におすすめです。また、新興国市場での経済回復が加速するタイミングでのエントリーも効果的でしょう。
NSユナイテッド海運(9110)
NSユナイテッド海運は、日本を代表する海運会社です。外航海運と内航海運を主要事業としています。特に鉄鋼原料やエネルギー資源の輸送に強みを持ち、中国や東南アジアを中心とした国際市場で活躍しています。同社は、ケープ型バルクキャリアやVLGC(大型LPG運搬船)を含む幅広い船舶を保有しており、輸送サービスの安定性と信頼性が評価されています。2024年の円安進行により、外航海運部門が収益を押し上げました。
2025年3月期第2四半期の連結業績では、売上高が1,287億円(前年同期比+14.6%)、営業利益が117億円(前年同期比-4.0%)、親会社株主に帰属する中間純利益が91億円(前年同期比-16.7%)となりました。売上の増加は円安効果が寄与しましたが、外貨建て費用や修繕費の増加が収益圧迫要因となり、減益となりました。
現在のPERは約5.3倍と非常に低く、割安感があります。2024年12月現在、株価は4,000円前後で推移しており、高い配当利回りも特徴です。
海運市況や為替変動に敏感なトレーダーにおすすめの銘柄です。また、季節要因や中国経済の指標にも目を配ることで、適切なタイミングで利益を狙えるかもしれません。
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