ダウ理論の原則
1.市場には3種類のトレンドがある
ダウ理論では、トレンドは3種類あると想定しています。以下を参照してください。
- 主要トレンド – 長期。1年未満から数年間を想定しています。週足または月足チャートでこのトレンドは確認でき、長期的なトレンドに関連すると考える必要があります。
- 二次トレンド – 中期。10日間から3カ月間までのトレンドを想定します。日足チャートおよび4時間チャートで確認します。
- 小トレンド – 短期。数時間から1カ月間までのトレンドを想定します。これには1時間チャートおよびそれより短い時間チャートで確認します。
2.トレンドは3段階に分かれる
- 先行期の段階 – 市場に精通している投資家は、先んじてこれから上昇する銘柄を選択しポジションを構築していきます。この時点で株価はそれほど大きく変動することはありません。
- 追随期の段階 – 多くの市場関係者が市場に精通している投資家の動向に気付くと、相場の上昇トレンドが発生します。また、テクニカルトレーダーも参入するようになります。
- 利食い期の段階 - 投機が過剰になると、市場に精通している投資家はトレンドの末期が近付くにつれ、保有ポジションを清算して利益を確定させます。もしくは反対のポジションを保有します。
3.株式市場はすべての公開情報を織り込み済み
この理論は、公開された情報は市場ですべて織り込み済みと考えます。
4.相関性を確認することが重要
急速に工業化された時代に、米国全土にわたり貨物を輸送する米国の鉄道網の重要性を考慮し、ダウジョーンズは「ダウ輸送指数」を新たに組成しました。
2つの株式指数の相関関係を確認するというアイデアは今日でも有効です。例えば上記の2つの指数の場合、両指数が同じ方向に動いているケースでは、トレンドに相違があるときと比較し将来の上昇/下落の予測の精度が増します。つまり、両指数が上昇トレンドの局面で「高値の更新と安値の切り上がりの状態が続く」と予測することは理にかなっています。もちろんこの手法で確実に将来が予測できるわけではありません。それでも指数間の相関関係をベースに市場トレンドを予測することは有効な手法と言えます。
5.トレンドの信憑性はボリューム(取引高)次第
ダウ理論では、ボリューム(取引高)は市場の動きを詳細に把握するための不可欠なツールであると考えます。市場が低いボリュームで動いている場合、価格を動かそうと過度に積極的な1人の買い手または売り手がいる可能性が挙げられます。この状況は市場トレンドの信憑性が低いと想定します。
一方、高いボリュームで市場に変動が発生する場合、トレンドの信憑性が高くなると考えられています。
6.高安のポイントが重要
一方向にのみ動き市場は存在しません。市場は必ず上下に変動します。それゆえ市場のトレンドを読むことは常に困難を伴います。
しかしダウは、市場が絶えず上下に変動する性質を持っていても、一定のトレンドが存在すると考えました。このトレンドを見極める上で重要なポイントは、高値/安値が、その前の高値/安値よりも上の水準にあるか、それとも下の水準にあるかを把握することです。例えば、上昇トレンドを形成している時、高値がその前の高値よりも切り下がる場合、下落トレンドの転換シグナルの可能性があります。
トレンドの種類、段階、公開情報、相関関係そしてトレンド転換シグナルをすべて取り入れたダウ理論は、テクニカル分析の根幹を成すと言えるでしょう。トレーダーがダウ理論の理解を深めることで、取引パフォーマンスを向上させていくことができるでしょう。