ベアトラップの仕組みや見分け方を解説
ベアトラップとは、下げ相場が続いている局面で、突如価格が反転する流れのことをいいます。そうなれば売りポジションを保有しているトレーダーは損失の拡大を防がざるをえません。ベアトラップを見抜いて回避する方法などを詳しく解説します。
2. ベアトラップの仕組み
ベアトラップは、個別株式、株価指数、コモディティ、FXなど、あらゆる市場で起こります。大きく上昇した相場は強い抵抗に直面すると、下落を始めます。これをきっかけに弱気筋が売りポジションを保有し、さらなる相場の下落で儲けようとします。
ところが、この下落が一時的な場合、相場は再び上昇を始めます。実際に相場が反転すれば弱気筋はベアトラップにはまり、ほとんどの場合は売りポジションを手仕舞いしなければなりません。
ベアトラップは、市場が上げ相場にあるも、テクニカル的に重要な抵抗レベルまで届かなかった、またはそのレベルで上昇が止められた場合に多く発生します。そういった資産をファンダメンタル分析で評価すると、往々にして割高になっていることが多いものです。
ベアトラップの反対がブル(強気)トラップです。ブルトラップとは、下落相場にある市場が一時的に反転するも、それが「だまし」であることをいいます。下落している株価や為替レートが反転すると、トレーダーは下げ相場が終わったと考え資産を買います。しかしこの反転は「だまし」であるため、市場は再び下落します。そして価格が下落するにしがたい、保有資産の損失が膨らむトラップ(罠)に陥るというわけです。
3. ベアトラップを見抜く方法
べアトラップを見抜くのは困難です。往々にして、上昇トレンドが鮮明となった後にベアトラップだったと気が付きます。
ベアトラップは短い期間のものであっても、通常は出来高をともなって急騰します。もし、下げ相場の局面で出来高の増加による相場の上昇が確認される場合、それがベアトラップのサインの可能性があります。
ベアトラップとすぐに見抜くのは困難です。そのため、取引の前にファンダメンタル分析とテクニカル分析の両方を使って、相場を動かす重要な要因の分析と自身の取引計画を事前に立てておくことが大切です。
ある企業のファンダメンタルズがほんの数日で大きく変化する可能性は低いです。一方で、テクニカルでは短期でも市場の様々な変化を捉える可能性があります。よってベアトラップの可能性を考える際は、テクニカル分析を重視しておくと良いかもしれません。
テクニカル分析とは、多くの指標を使って市場のトレンドやモメンタムを分析する手法のことです。テクニカル指標には、フィボナッチ・リトレースメント、移動平均線(MA)、MACD、ボリンジャーバンドといったものがあります。
ベアトラップの例
アメリカとカナダで雑貨の小売店チェーンを展開していたベッド・バス・アンド・ビヨンドは、ベアトラップが何回も見られた株の一例です。
2022年、同社のファンダメンタルズは芳しくなく、バランスシートには30億ドルの負債がありました。キャッシュもほとんどありませんでした。財務状況が悪化していたことから、投資家の間では同社の存続を危ぶむ声も聞かれ、トレーダーの空売りを誘いました。
ベッド・バス・アンド・ビヨンド株にはベアトラップと思われるいくつかの急騰がありました。最大のベアトラップは2022年の中頃に起りました。その年の6月と7月に同社の株価は緩やかに下落していました。しかし、8月に上昇し始めました。当初は鈍かった上げ相場でしたが、後に段々と上げ幅が拡大し、株価は5ドルから23ドルになりました。
この例では、出来高と株価の両方が急速に上昇しています。このような上げ方を見て、ベアトラップ発生の警告だと考えることもできたかもしれません。
結局、株価は反転して急落し、2023年1月に1.66ドルまで下落しました。しかし、空売りをしていたショート筋にとって、この急落は遅すぎたようです。株価の急上昇により、耐えられないほど損失が大きくなっていたので、多くのショート筋が買い戻しを余儀なくされました。つまり、彼らはベアトラップにはまったということです。
同社のファンダメンタルズは弱いままであるにもかかわらず、株価は一度ならず大幅な上昇を繰り返しました。テクニカル分析を重視していれば、ベッド・バス・アンド・ビヨンドのベアトラップを見抜けたかもしれません。
4. ベアトラップの回避方法
リスク管理の方法として、逆指値注文が有効です。逆指値注文には、トレーリングストップ、ノースリッページ注文などの種類があります。ベアトラップを避けるには、おそらくトレーリングストップが最も役に立つでしょう。トレーリングストップは、マーケットの現在値を設定した幅で段階的に追随し、相場が設定した分だけ上昇(逆行)すると、自動的にポジションを閉じます。この仕組みを使えば利益を確保でき、ベアトラップになった場合にも損失が大きくなる前にポジションを清算できます。
トレーディングにおけるベアトラップのリスク
資産の価格が下落し始めると、トレーダーはこの下落が続くと考え、資産の売り(または空売り)を決断します。しかし、下落相場が一時的なトレンドである場合は、往々にして主要なテクニカル指標は、今が上昇相場にあるシグナルを発信します。そのため、ショート(売り)ポジションを持つトレーダーは損切りせざる得なくなります(買い戻しを迫られます)。これらトレーダーの買戻しを受け資産価格が上昇し続けます。時には急速に価格が上昇することもあります。このため、ベアトラップに引っかかったトレーダーは大きな損失を被ることになります¹。
銘柄のオープン・ショート・インタレストをモニターすることで、ショートがどの程度積み上がっているのかを確認することができます。2,3 フリーフロートまたは1日の平均出来高に占めるショートポジションの割合が大きいほど、ベアトラップが形成される潜在的リスクが高くなります。実際にペアトラップが発生すれば、より多くのトレーダーがショートカバー(買戻し)を余儀なくされます。
5. ベアトラップの取引方法
- 口座を開設する、またはログインする
- ベアトラップについて詳しく知る
- 取引する銘柄を選ぶ
- 買い取引か、売り取引かを選ぶ
- ロット数を設定し、リスク管理ツールを適宜使用する
- ポジションを保有したら、動きをモニタリングする
IG証券では、CFDを使用して株式や株価指数、債券先物などを取引します。原資産をそのまま所有するのではなく、価格が今後上がるか、下がるかを予測することによって取引を行います。
CFD取引はレバレッジが効いているため、利益を拡大させるチャンスがあります。その一方で、損失も同様に拡大する可能性があります。潜在的な利益や損失は、維持証拠金額ではなく、ポジションの総額により計算されるの点に留意しておきましょう。過去の相場の動きは、将来のパターンを保証するものではないことを覚えておくと便利です。
CFD取引のリスクを管理するために、多くのトレーダーは逆指値注文を設定して、過大な損失を防ぐようにしています。
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ベアトラップ取引のまとめ
- ファンダメンタル分析とテクニカル分析を用いてベアトラップを特定し、取引することができる
- ベアトラップは、ロング(買い)とショート(売り)の両方で取引できる
- ボラティリティの高まりによるベアトラップ取引では、ストップロスの設定などのリスク管理が重要である
参考資料:
1 Steady Options, 2023
2 Castellain Capital, 2023
3 High Sort Interest, 2023
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