【IG米国株レポート】底堅さを維持する米国株 / ナスダック100、目先の見通しと注目のチャートポイント
24年の米国株はスタートダッシュにつまずいたが、株高のトレンドを維持している。短期金融市場では早期の利下げ観測が根強い。また現在は、企業決算に対する期待も高い。これらの状況は米国株の下支え要因となろう。ゆえに今の米国株の焦点は、上値の水準を見極めることにある。注目の株価指数は、さらに上値をトライするかどうか?の分岐点に差し掛かっているナスダック100。目先の見通しとチャートポイントは?詳細はIG米国株レポートをご覧ください。
サマリー
・24年の米国株はスタートダッシュにつまずいた
・しかし、1月第2週目に急反発し株高トレンドを維持している
・米債市場と短期金融市場では、FRBによる利下げ期待が根強い
・ナスダック100、目先の見通しと上下のチャートポイントについて
・24年のリスク要因のひとつに、米国経済の「しぶとさ」が挙げられる
スタートダッシュにつまずくも株高トレンドを維持
2024年は米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ政策へ転じる年となろう。ゆえに、今年の米国株は利下げ政策にサポートされ上昇トレンドを維持するー
この楽観論に冷や水を浴びせたのが、年初の下落だった。
1月第1週の主要な株価指数は、総じて下落して終えた。
米株安の主因は、強い雇用関連の経済指標を受けた長期金利(10年債利回り)の上昇にあった。この点を示唆したのが、ハイテク株比率の高いナスダック指数と小型株の代表的な指数であるラッセル2000で下落幅が拡大したことだった。
ダウ平均(DJI)のマイナス0.59%と比べ、ハイテク株(高PER株)比率の高いナスダック総合指数と100指数(NDX)の下落率は3%超となった。
そして小型株指数のラッセル2000(RUT)のマイナス3.75%と、ナスダック指数以上に下落した。
米株価指数のパフォーマンス:1月2日~5日
しかし、1月第2週の米国株は一転して株高となった。ラッセル2000の上昇幅こそ限られたが、ナスダック指数は3%超上昇した。
米株価指数のパフォーマンス:1月8日~12日
ナスダック指数が急反発した主因は、やはり米長期金利の動きにあったと考えられる。
労働市場の底堅さを示す雇用関連の経済指標が確認されても、米長期金利は昨年11月以降の低下基調を維持する状況にある。(下のチャート、赤ゾーンを参照)。
長期金利だけでなく、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの低下幅が拡大している状況は、FRBによる早期の利下げを米債市場の参加者が意識していることを示唆している。
景気懸念が意識されない状況下での米金利の低下は、米株高の要因である。
15日のIG為替レポートで取り上げた今週の重要な経済指標(昨年12月の小売売上高や1月のミシガン大学 期待インフレ率)が米金利の低下要因となれば、ナスダック指数はさらに上値をトライする可能性がある。
米金利のチャート:日足 2023年以降
ナスダック100、目先の見通しと注目のチャートポイント
下落局面でのチャートポイント
ナスダック100(NDX)は現在、調整売りをこなしながら高値圏を維持している。
しかし、日足のストキャスティクスは短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆する状況にある(下のチャート、緑矢印を参照)。また、10日線と21日線はデッドクロスの状況にある。
重要な上値水準の攻防を前に、今後発表される米経済指標が米金利の上昇要因となれば、ナスダック100は調整の反落相場へ転じる可能性がある。
ナスダック100が下値をトライする場合は、21日線(16,686レベル)の維持が最初の焦点となろう。この移動平均線を下方ブレイクしても、今月11日のように10日線(16,610レベル)が相場をサポートすれば、市場参加者に地合いの強さを印象付けよう。
ナスダック100のチャート:日足 昨年10月以降
一方、ナスダック100が10日線を完全に下方ブレイクする場合は、調整相場が進行するシグナルとして警戒したい。
このケースでは、今月5日に下落相場を止めたフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準16,282レベルを目先の下限と想定し(上の日足チャートを参照)、下の1時間足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメントの各水準での攻防に注目したい。
直近の動向を確認すると、23.6%の水準16,746レベルで調整の反落が止められた。また、38.2%の水準16,651レベルで相場がサポートされた経緯がある(下のチャート、赤矢印を参照)。
直近の動きを考えるならば、ナスダック100の反落局面では、これらの水準を維持できるかどうか?この点に注目したい。
ナスダック100の下落幅が拡大し、76.4%の水準16,402レベルを完全に下方ブレイクする場合は、上で述べた日足の23.6%の水準16,282レベルをトライするシグナルと想定したい(上のチャートを参照)。
ナスダック100のチャート:1時間足 年初来
上昇局面でのチャートポイント
一方、ナスダック100(NDX)の上昇局面では、17,000ポイント台への上昇を想定しておきたい。
テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンションの61.8%の水準17,036レベルを突破できるかどうか?まずはこの点を確認したい。
直近のレジスタンスポイント16,900レベルのブレイクは、昨年12月28日の高値16,969.17をトライするシグナルと想定しておきたい。
そして16,969.17の上方ブレイクは、17,000レベルと17,036レベルをトライするシグナルになり得る。
17,036レベルをも難なく突破する場合は、エクステンション76.4%の水準17,222レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が高まろう。
ナスダック100のチャート:4時間足 昨年12月以降
今年のリスク要因のひとつが米国経済の「しぶとさ」にある
昨年12月に示された最新のドットチャート(政策金利の予想)によれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者は今年、3回の利下げを予想している。
一方、短期金融市場では現時点で、年6回の利下げを織り込む状況にある。
ここで問題となってくるのが、今後発表される経済指標で米国経済の「しぶとさ」を示す内容が持続的に確認される場合である。
この「しぶとさ」の中にはインフレ圧力の根強さ、つまり「インフレが物価目標の2%に向かって低下しないリスク」も含まれる。
今年も重要な経済指標で米国経済の「しぶとさ」が確認される場合、特に堅調な労働市場が軸となり景気が底堅く推移し、かつ2%に向かって「インフレが低下しないリスク」が意識される場合は、短期金融市場で想定されている3月の利下げスタートが後ずれすることが予想される。年6回の利下げペースの観測も修正されるだろう。
この修正の度合いによっては、米国株の下落幅が拡大する状況に直面することが予想される。
根強い年6回の利下げ観測
短期金融市場が想定する政策金利の予想推移について、昨年末時点と現時点での状況を確認すると、若干の変動は見られたものの年6回利下げの観測は根強い。
景気が減速しても、もう一つの米株安の要因である景気の後退(リセッション)の回避に成功し、短期金融市場の思惑に近いペースでFRBが利下げ政策を進める場合、今年の米国株は調整の反落を挟みながら、新たな上値の水準を目指す可能性が高まろう。
米国 政策金利の予想推移:昨年末 / 1月16日時点の比較
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