CPI鈍化、9月利下げを意識する市場、ナスダックは新たな上昇局面を意識する状況に
米労働省が12日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、2か月連続でインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した。米債市場では利回りが低下した。短期金融市場では9月の利下げが再び意識される状況にある。株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)とナスダック指数が連日で最高値を更新した。重要なチャート水準を突破したナスダック100(NDX)は、新たな局面へシフトする展開を予感させる状況にある。
サマリー
・5月の米CPIは、インフレが鈍化の傾向にあることを示した
・FOMC参加者が予想する今年の利下げ回数は1回に減少した
・しかし、短期金融市場は9月の利下げを再び意識する状況にある
・重要なチャート水準を突破したナスダック100は、新たな局面へシフトか
インフレの鈍化を示唆した5月CPI
米労働省が12日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比の上昇率が3.3%となり、市場予想の3.4%を下回った。前月比の伸びは0.0%と、こちらも市場予想の0.1%を下回った。
一方、コア指数も上昇率も前年同月比で3.4%、前月比で0.2%と、それぞれ市場予想の3.5%、0.3%を下回った。
2か月連続でインフレが鈍化の傾向にあることを示唆したCPIの内容を受け、米金利は低下した。
米国 消費者物価指数(CPI)の動向:23年5月以降
9月利下げが再び意識される状況に
米連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者による最新の経済と政策金利の見通しが公表された。
それによれば、24年と25年のPCEコアインフレ率が上方に修正された。これに伴い、24年末の政策金利の見通しは5.1%に上方修正された。想定される利下げの回数は1回となった。また、25年の政策金利見通しも上方修正された。
FOMC参加者による経済と政策金利の見通し
しかし、短期金融市場では9月の利下げ確率が再び50%台へ上昇している。
CMEのFedWatch ツールでは、58%付近まで9月の利下げ確率が上昇している。これは、5月CPIを反映した動きと捉えることができる。
24年の利下げについて、FOMCの参加者よりも“ハト派的”な見方が市場で強まる状況は、米国株の下支え要因となろう。
米国 9月の利下げ確率
次の焦点は5月の生産者物価指数(PPI)
5月のCPIが市場の利下げ観測に大きな影響を及ぼしているとすれば、9月に向けて物価指数の重要性がさらに増すだろう。
今日は5月の米生産者物価指数(PPI)が発表される。前月比ではインフレが抑制される見通しとなっている。しかし、トレンドを示す前年同月比の動向を確認すると、今年に入り上昇基調へ転じている。5月の市場予想を確認すると、総合とコアでともにインフレが進行する見通しである(下のチャート、赤のドットを参照)。
5月PPIが予想以上の伸びを示す場合は、5月CPIで高まった9月の利下げ期待が再び後退することが予想される。最高値圏にある米国株は、利益確定の売りに直面する展開を想定しておきたい。
一方、5月PPIが市場予想を下回る場合は、米金利の低下圧力が高まることが予想される。米金利の低下は株高の要因となろう。
米国 生産者物価指数(PPI)の動向:23年5月以降
ナスダック100は新たな上昇局面を意識する状況に
19,200をブレイクアウト
インフレが鈍化の傾向にあることを示唆した5月CPIを受け、12日の米国株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)とナスダックが連日で最高値を更新した。
注目はナスダック100(NDX)の動向である。日足のMACDではゴールデンクロスが確認され、上昇基調を維持している。
地合いの強さが増していることを示すかのようにナスダック100は昨日、IG米国株レポートで注目している19,200の水準を一気にブレイクアウトした。
重要なレジスタンスポイントの突破は、相場が新たな上昇の局面へシフトするシグナルとなり得る。今日の5月PPIが市場予想を下回る場合は、節目の20,000ポイントを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。
ナスダック100が20,000ポイント台の攻防となる場合、テクニカルの面で注目したいのが、フィボナッチ・エクステンション161.8%の水準20,558ポイントのトライおよびブレイクアウトである。
反落の局面では19,200のサポート転換が焦点に
一方、5月PPIが予想以上の内容となれば、ナスダック100(NDX)は調整売りに直面することが予想される。
下値トライの局面で注目したいのが、「19,200レベルのサポート転換」である。この状況が確認される場合は、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
一方、ナスダック100が19,200の水準をあっさりと下方ブレイクする場合は2つの移動平均線、10日線(12日時点18,913レベル)と21日線(12日時点18,775レベル)の攻防が焦点として浮上しよう。
10日線はレジスタンスからサポートのラインへ転換する可能性がある。一方、21日線はすでにサポートラインへ転換している。
ナスダック100のチャート:日足 昨年12月以降
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