米国株さらなる上昇か反落か?関門のインフレ指標、まずはCPI、ナスダック100の見通し
12日の米株式市場で「トランプトレード」の株高が一服した。米国株はさらに上値を目指すのか?それとも調整の反落相場へ転じるのか?目先この鍵を握るのが10月のインフレ指標である。今日は消費者物価指数(CPI)、明日は生産者物価指数(PPI)が発表される。ナスダック100の展望は?
記事のポイント
- 今日の米国株は、経済指標にらみの展開となろう
- まずは10月CPIが焦点に、インフレの粘着性は株高の調整要因になり得る
- 今晩のCPIが予想外に上昇すれば、明日の10月PPIに対する警戒感が高まろう
- 米金利の高止まりでも底堅さを維持するナスダック100、注目のテクニカルラインは?
焦点は経済指標にシフト、10月のインフレ指標で粘着性が示されるか?
12日のアメリカ株価指数は総じて下落した。しかし、金利の高止まり以外で特段の株安材料が見当たらなかったことを考えるならば、昨日の米株安は調整の反落と捉えたい。調整の要因として考えられるのが、今日以降の米経済指標を見極めたいという市場心理である。本日は、10月の消費者物価指数(CPI)が発表される。以下に注目ポイントをまとめた。
・本日のIGコモディティレポートで指摘したとおり、10月CPIの焦点はインフレの粘着性を示す内容となるかどうか?にある
・選挙戦ではトランプ陣営が躍進した。「トリプルレッド」の実現が現実味を帯びるなか、10月CPIが予想外に上昇すればインフレ再燃に対する懸念が高まることで、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見送り観測が高まることが予想される。このケースでは、米株高の調整売り圧力が強まる展開を想定しておきたい
・10月CPIが強い内容となる場合は、明日の同月生産者物価指数(PPI)に対する警戒感が高まろう。トレンドを示す前年比の市場予想を確認すると、PPIはインフレ圧力の根強さを示す可能性がある。CPIのコア指数も同じ状況を示唆する予想にある(下のチャートを参照)
・CPIとPPIがともにインフレの粘着性を示す結果となれば米長期金利の高止まり、または上昇幅の拡大が予想される。さらなる金利の上昇は、短期間で進行した株高を調整する「材料」に使われる可能性があろう
米国の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI):月次 23年10月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成
・一方、CPIとPPIでインフレの鈍化傾向が確認される場合は、12月FOMCでの追加利下げの期待をつなぎとめる一因になり得る
・短期金融市場では、12月の追加利下げを五分五分と見ている。インフレ指標に加えて、15日の小売売上高や今後発表される雇用指標の内容で市場の観測は上下に大きく揺れ動くだろう
・米国株にとって最良のシナリオは、インフレが抑制されると同時に景気の底堅さを示す経済指標が続くことである
米政策金利の予想推移
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / OISに基づく予想、13日 13時時点の予想推移
ナスダック100の見通しとチャート分析
10月のインフレ指標で米長期金利は上下に動く可能性がある。ハイテク株比率の高いナスダック100は米金利の動きに対して敏感に反応することが予想される。目先の見通しと注目のテクニカルラインについて以下にまとめた。
調整相場が進行する場合は20,600の維持が焦点に
・選挙戦でのトランプ陣営の躍進で、トランプ政策実現の可能性とそれに伴うインフレ再燃が早くも市場で議論されている。この状況で10月のCPIとPPIがともにインフレの粘着性を示す結果となれば、ナスダック100の調整売りを想定しておきたい
・日足のMACDは上昇トレンドを維持する一方、モメンタムはじわりと低下し強気相場の勢いが後退していることを示唆している(一番下の日足チャートを参照)。この状況でCPIがインフレの粘着性を示す場合は、20,900ポイントの維持が焦点となろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準20,874の攻防に注目したい(1時間足チャートを参照)
・今日以降、23.6%戻しの水準を下方ブレイクする場合は、サポート転換の可能性がある20,800ポイントの維持が次の焦点に浮上しよう
・最終的な目先のサポート水準として注目したいのが、先週6日にサポートラインへの転換が確認された20,600ポイントである。すぐ下の水準20,531は半値戻しにあたり、かつ今月6日の窓開け上昇スタートの基点となった水準でもある。また、10日線が20,600手前まで上昇している(一番下の日足チャートを参照)。20,500-20,600をサポートゾーンと想定しておきたい
ナスダック100のチャート:1時間足 10月25日以降
出所:TradingView
ナスダック100のサポートライン
・20,900:サポートライン、23.6%戻し
・20,800:サポート転換の可能性あり
・20,500-20,600:サポートゾーン、半値戻し
株高局面での焦点は21,200の突破
10月のCPIでインフレの抑制傾向が確認される場合は、米株高の要因となろう。明日のPPIでも同じ状況が確認される場合は、株高の勢いが増す可能性がある。ナスダック100のレジスタンスラインについて以下にまとめた。
・10月のCPIでインフレの抑制傾向が確認される場合は、一時的にせよ米金利の上昇圧力を後退させる要因になり得る。このケースでのナスダック100は、21,200のブレイクアウトが焦点となろう(下の日足チャート、黒矢印を参照)
・ナスダック100が21,200をトライするサインとして、11日の高値水準21,182の攻防に注目したい(上の1時間足チャートを参照)
・昨日の高値21,144の突破は、21,182をトライするサインと捉えたい
・今週の米経済指標が株高の要因となり、ナスダック100が21,200を完全に突破すれば、フィボナッチ・エクステンション161.80%の水準21,462を視野に上昇の拡大を想定しておきたい(下の日足チャート、赤ラインを参照)
ナスダック100のチャート:日足 9月以降
出所:TradingView
ナスダック100のレジスタンスライン
・21,462:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・21,200:レジスタンスライン
・21,182(11/11高値)
・21,144(11/12高値)
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