【IG米国株レポート】 ナスダック100は新たな局面を意識する状況に / 目先のチャートポイントは?
短期金融市場と米債市場では、来年の前半にも米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ政策へ転じる可能性が意識されている。この思惑を受け、米国株は上昇相場がさらに進行している。特にナスダック100(NDX)は、新たな局面へシフトする可能性が高まっている。短期的な過熱感(買われ過ぎ)による調整売りを警戒する必要はあるが、今注目すべきは新たな上値水準の見極めにあろう。詳細については、IG米国株レポートをご覧ください。
サマリー
・現在の米国株は、さらに上値をトライしやすい状況にある
・最高値を更新し続けるナスダック100は、新たな展開を意識する局面にある
・ナスダック100の上昇幅が拡大する場合は、17,000ポイント台の攻防が視野に
・一方、ナスダック100が反落しても、その幅は限定的となる可能性があろう
米国株は上値トライを意識する状況が続く
利下げ期待と実質金利の低下
12月の連邦公開市場委員会(FOMC)とFOMC後のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長による会見内容を受け、短期金融市場では来年前半(現時点では3月)にもパウエルFRBが利下げ政策へ転じるとの期待が高まっている。
この期待の高まりは、米債市場で長期金利の低下圧力を高める要因となっている。
そして米長期金利の低下は、ナスダック指数のトレンドに大きな影響を与える実質金利が急低下する要因となっている。
この点について、下のチャートで両市場のトレンドを確認すると、人工知能(AI)が一大テーマとして意識された今年前半以外は(下のチャート、紫ゾーンを参照)、教科書どおりお互いが逆相関の関係にあることが分かる。
ナスダック指数と米国の実質金利のチャート:日足 年初来
低下の基調を維持するボラティリティ指数
ボラティリティ指数の動向もナスダック指数、特にハイテク株比率の高いナスダック100(NDX)の上昇相場を促している。
ナスダック100のボラティリティ指数として注目されているVXN指数は現在、15ポイント台まで低下している。
一方、米国債の先行き変動リスクを示すMOVE指数は上下に振れながらも低下のトレンドを維持している。
これらボラティリティ指数が低下トレンドを維持し、かつ安定的に推移している状況は、投資家心理が安定していることを示唆している。
ボラティリティ指数のチャート:日足 年初来
※チャート画像の訂正
・誤:VIX指数の表記とラインチャート
・正:VXN指数の表記とラインチャート
ナスダック100は新たな局面へのシフトを意識する状況に
調整の反落は警戒すべきだが
今月に入り主要な米国の株価指数は、年初来高値を更新する状況にある。
なかでもより注目したい指数が、ナスダック100(NDX)である。その理由は、新たな局面へシフトするかどうか?を見極めるための重要な分岐点に差し掛かっているからだ。
その分岐点とは、21年11月の高値16,764レベルの攻防である。
過去2年の動きを週足チャートで確認すると、22年は下落相場の1年だった。しかし、同年10月に底打ちのムードが高まり、23年は上昇相場の1年となった。
テクニカルの面で注目すべきは、今年夏の下落相場が単なる調整の反落で終わり、上昇相場を象徴するトレンドライン(サポートライン)が形成されたことである。
この過程で、21週線とのかい離率は拡大の傾向ある。この乖離率がさらに広がれば、反落相場を警戒する必要があろう。
また、米大手メディアのCNNが提供している「Fear & Greed Index」が「Extreme Greed(強欲)」の水準にあることも気がかりだ。
しかし、現在の短期金融市場と米債市場では、来年前半にもパウエルFRBが利下げ政策へ転じるとの期待が高まっている。
この期待は米長期金利の低下圧力を高め、この動きに連動し実質金利の低下幅も拡大している。米国株と米国債のボラティリティ指数も低位で安定的に推移している。
つまりナスダック100は現在、さらに上値を目指しやすい相場環境にある、ということである。
ゆえにナスダック100が下値をトライしても、その幅は限定的となることが予想される。
具体的なサポート水準については、以下で述べている「反落の局面で注目しておきたいチャートポイント」を参照されたし。
焦点は新たな局面へのシフト
ナスダック100(NDX)は昨日、21年11月の高値16,764レベルをブレイクアウトした。
よって目先の焦点は、新たな上値水準の見極めと調整の反落局面でこのチャートポイントがサポートの水準へ転換するかどうか?にある。後者の状況が確認される場合は、さらなる上値トライの可能性をより高めよう。
ナスダック100の上昇幅がさらに拡大する場合は、100ポイントごとにレジスタンスの水準を想定し、まずは節目の17,000レベルをトライするかどうか?この点を見極めたい。
ナスダック100のチャート:週足 22年9月以降
17,000レベルをも突破する場合の焦点は?
ナスダック100(NDX)が節目の17,000ポイントをも難なく突破し、かつ反落の局面でこのチャートポイントがサポートの水準となる場合は、今年3月から10月にかけての高安で算出されるV計算値の水準17,806レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が出てくる(上の週足チャートまたは下の日足チャートを参照)。
反落の局面で注目しておきたいチャートポイント
今年のナスダック100(NDX)のトレンドを日足チャートで確認すると、「上昇相場→調整相場」を経た後、上昇幅が拡大している。
11月14日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)で、米国のインフレが鈍化のトレンドにあることがあらためて示された。この時を境にして15,720レベルが新たなサポートの水準となり相場の上昇幅が拡大した事実は、市場参加者が「インフレの鈍化→利上げサイクル終了→早期の利下げ」を意識していることを示唆している。
短期的には市場が抱く利下げ期待が、米国株をサポートする展開が予想される。
しかし現在、日足のRSIとストキャスティクスはいずれもナスダック100の短期的な過熱感(買われ過ぎ)を示唆する状況にある(下の日足チャート、赤矢印を参照)。
今週は、12月の消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)や11月の個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)など、いくつかの重要な経済指標が発表される。
経済指標が総じて市場予想を上回る場合は、短期的にせよ米金利の反発要因となろう。
短期的な過熱感(買われ過ぎの状態)が意識されやすい状況で米金利が反発する場合は、ナスダック100の反落要因となろう。
しかし、上で述べた相場環境(早期の利下げ期待の高まり、長期金利と実質金利の低下、安定した推移が続いているボラティリティ指数の状況)を考えるならば、16,200ポイント前後が新たなサポート水準となる可能性がある。
この水準(16,200ポイント)を挟んで現在は、10日線と21日線が展開している。
16,200レベルを下方ブレイクし、ナスダック100の反落相場(調整相場)が進行しても、上で述べた新たなサポート水準である15,720レベルで反発することが予想される。
ナスダック100のチャート:日足 23年 3月以降
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