ナスダック100は最高値と50日線どちらを目指すのか?鬼門はCPIと小売売上高、“不意打ちの急落”を警戒
ナスダック100は4月の下落相場を脱し、現在は最高値圏の攻防にある。低下基調のボラティリティ指数は、ナスダック100が上値をトライする可能性を示唆している。今週のリスク要因は4月の経済指標-CPIと小売売上高となろう。インフレの粘着性と個人消費の底堅さが確認される場合、ナスダック100は4月の時と同じく “不意打ちの急落” リスクを警戒したい。
サマリー
・ナスダック100は下落相場を脱し、最高値を視野に上昇基調を維持している
・ボラティリティ指数の動きは、ナスダック100が上値を目指す可能性を示唆している
・リスク要因はCPIと小売売上高となろう、これらは4月の下落相場の要因となった
・ナスダック100の下落局面では、押し目買いを狙いたい
最高値圏の攻防を維持するナスダック100
米国のハイテク株トレンドを示すナスダック100(NDX)は4月の下落相場を脱し、現在は最高値圏の攻防にある。
株高の土台となっているのが、こちらのIG米国株レポートで取り上げた米金利の動きである。4月の下旬以降、米金利の上昇が抑制されるとナスダック100が急速に反発していることが分かる(下のチャートを参照)。
ナスダック100と米長期金利のチャート:4時間足 3月以降
ボラティリティ指数の動きが示唆する株高の可能性
今週のナスダック100(NDX)の焦点は、最高値をトライそしてブレイクアウトするのか?この点にある。
ボラティリティ指数の動きから今週の展望を予想すると、ナスダック100は最高値を視野に上昇トレンドを維持する公算が大きいと思われる。
ナスダック100の変動リスクを示すVXN指数は現在、16ポイント台まで低下している。一方、米債市場の先行きリスクを示すMOVE指数も94ポイント台まで低下している。
後者のボラティリティ指数は、上下両方の変動リスクを反映する特性がある。そのMOVE指数が低下基調にあるということは、目先の米債市場で大きな金利の上昇、または金利の低下が発生する可能性が低いことを示唆している。
安定した米債市場の動きが続く場合は、ハイテク株比率の高いナスダック100を下支えする要因となろう。
VXN指数とMOVE指数のチャート:日足 23年以降
リスク要因は物価指標、CPIを受けた「不意打ちの下落」を警戒
しかし、油断はできない。低水準で推移するボラティリティ指数は、時に「逆張り」の指標となるからだ。
また、ボラティリティ指数は、市場心理に重大な影響を与えるリスクイベントに反応する特性がある。
今週、その重要イベントとして注目したいのが4月のアメリカ物価指標である。14日に生産者物価指数(4月、PPI)が発表される。そして翌15日には同月の消費者物価指数(CPI)の発表も控えている。
注目度が高いのは後者のCPIである。内容次第で米債市場は大きく動くだろう。ナスダック100のトレンドは、米金利の動きに影響を受けるだろう。
3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比で2.7%増と、前月の2.5%から伸びが加速した。米連邦準備制度理事会(FRB)が注視する物価指標でインフレ圧力の根強さが確認された状況で、4月の物価指標がインフレ圧力の粘着性を示唆する場合は、再び米金利に上昇の圧力が高まることが予想される。米金利の上昇は株高の圧力を後退させよう。
ナスダック100が最高値圏の攻防にあるなかで、前日のPPIでもインフレ圧力の根強さが確認される場合は、「不意打ちの下落」を警戒しておきたい。
米国 生産者物価指数と消費者物価指数の動向:23年以降
小売売上高もリスク要因に
4月の下落相場のきっかけとなったのが小売売上高だった。CPIと同じ今週15日に4月の小売売上高が発表される。
今週の物価指標でインフレ圧力の根強さが示され、かつ小売売上高で個人消費の底堅さが確認される場合、ナスダック100は「不意打ちの急落」を警戒しておきたい。
米国 小売売上高の動向:23年4月以降
ナスダック100のチャート分析、最高値更新か?50日線のトライか?
日足チャートでナスダック100(NDX)のトレンドを確認すると、50日線を難なく上方ブレイクし、現在は18,400ポイントを視野に上昇トレンドを維持している。
しかし、先週10日の日足ローソク足は「陰のコマ」となった(下のチャート、赤ゾーンを参照)。これは市場の気迷いを示唆すると同時に、高値圏での出現はトレンドが転換する可能性を示唆している。ストキャスティクスも短期的な相場の過熱感を示唆している(下のチャート、赤矢印を参照)。
この状況で今週の経済指標が米金利の上昇要因となれば、ナスダック100の反落相場を警戒したい。
今週ナスダック100が下値を目指す場合、サポート転換の可能性がある50日線の維持が焦点となろう。この移動平均線は現在、今年高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準17,941レベル付近で推移している。この状況も50日線で相場が反発する可能性を市場参加者に意識させよう。
ナスダック100のチャート:日足 年初来
下落は押し目買いのチャンス
今週もナスダック100(NDX)が上昇トレンドを維持する場合は、成行きを軸にトレンドフォローの取引を考えたい。
一方、ナスダック100の下落局面では、押し目買いのチャンスと捉えたい。
IGチャートで押し目買いの水準を探ると、18,000レベルで反発が確認される場合に、押し目買いを考えたい。直近高安の23.6戻しは18,020レベルにあたる(下のチャートを参照)。
ナスダック100が18,000ポイントをあっさりと下方ブレイクする場合は、上で述べた50日線(23.6%戻し)のトライを想定しておきたい。この移動平均線で相場の下落が止まる場合は、押し目買いを考えたい。
ナスダック100が50日線を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準17,880レベルのトライが焦点となろう。
現在、この水準を視野に10日線が上昇している(上のチャート、青ラインを参照)。これらテクニカルの水準で相場が反発する場合は、50日線の下方ブレイクが「だまし」となるだろう。
一方、ナスダック100がフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準(17,880レベル)をも下方ブレイクする場合は、17,800レベルまでの下落を想定しておきたい。このチャートポイントは、サポート転換の可能性を意識する水準である。
ナスダック100のチャート:1時間足 4月下旬以降
ナスダック100 押し目買いの水準
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