米国株、1月効果に期待 強い経済指標は諸刃の剣 S&P500の週間見通し
今週の米国株式市場は経済指標にらみの1週間となろう。S&P500の予想レンジと注目のテクニカルラインについて。
記事の概要
サンタクロースラリーは不発に終わった。しかし1月の米国株は、株高の傾向が強まる季節性のアノマリーがある。いわゆる「1月効果」である。米経済指標で景気の強さを示す内容が相次げば、今週のS&P500は上値をトライする展開が予想される。しかし、強い経済指標は金利の上昇リスクを伴う「諸刃の剣」でもある。今週も長期金利にらみの状況が続こう。
目次
期待外れのサンタクロースラリー
年末年始の米国株式市場では、年末の5営業日と新年最初の2営業日に株価が上昇する「サンタクロースラリー」が期待された。しかし昨年12月24日以降の騰落率を確認すると、ラッセル2000以外の米株価指数は下落し、期待外れのサンタクロースラリーとなった。
米株価指数の騰落率:2024年12月24日~2025年1月3日
ブルームバーグのデータで筆者が作成
次は1月効果に期待、S&P500は1%の上昇
サンタクロースラリーは不発に終わった。しかし、1月の米国株は株高の傾向が強まる季節性のアノマリー(経験則)がある。いわゆる1月効果である。
S&P500が現在のかたちで算出されるようになった1957年以降の平均の騰落率を確認すると、1月は約1%上昇している。2025年も1月効果でS&P500が上昇するのか?今週この鍵を握るのが、経済指標と米長期金利となろう。
S&P500 月間の平均騰落率:1957年~2024年
ブルームバーグのデータで筆者が作成
今週の注目材料は米経済指標、強い指標は「諸刃の剣」
今週の米国株は経済指標にらみの展開が予想される。特に注目したいのが、こちらのIG為替レポートで取り上げた2つの経済指標-7日のISM非製造業景気指数(24年12月分)と10日の雇用統計(同)である。これらの経済指標が相次いで予想以上となれば、景気に対する強気の見方が米国株を下支えする展開が予想される。
しかし、強い経済指標は金利の上昇リスクを伴う「諸刃の剣」でもある。米長期金利(10年債利回り)は現在、4.6%付近まで上昇している。景気の強さを反映した金利の上昇は基本的に株高の要因である。しかし、現在はインフレ再燃の可能性も意識される状況にある。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は4日、インフレ率は依然として不快なほど目標を上回っていると述べた。また、クーグラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事もインフレ率が目標の2%に到達しておらず、「我々の仕事は終わっていないと理解している」と述べた。「強い経済指標→インフレ再燃に対する懸念の高まり→米長期金利の上昇」となれば、S&P500の割高感が意識されよう。イールドスプレッド(長期金利-S&P500の株式益回り)では、S&P500の割高感が次第に高まる状況にある。予想PER(株価収益率)も25倍と、2021年以来の高い水準にある。
米長期金利とS&P500の動向
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 米国の長期金利:10年債利回り
S&P500の週間見通し、3つの移動平均線の攻防が焦点に
今週のS&P500は、3つの移動平均線を中心にトレンドを見極める展開となろう。ベースシナリオの予想レンジは5,830-6,050。注目ポイントを以下にまとめた。
日足のMACDはゼロラインを下回る状況にあるが、モメンタムはゼロラインを上回り弱気地合いの後退を示唆している(日足の黒矢印を参照)。今週の米経済指標で景気に対する強気の見方が強まる場合、まずは50日線の突破を確認したい。50日線を完全に突破すれば、20日線の攻防が次の焦点に浮上しよう。この移動平均線をも上方ブレイクすれば、節目の6,000トライが視野に入ろう。
今週、S&P500が上で述べた2つの移動平均線がサポートラインへ転換する場合は、昨年12月26日の高値6,050ポイントのトライが予想される。予想レンジ上限の突破は、2024年の最高値の水準6,100ポイントをトライするサインと捉えたい。
レジスタンスライン
・6,050:昨年12月26日の高値(4時間足)
・6,000:心理的な節目(日足)
・5,992:20日線(日足)
・5,945:50日線(日足)
S&P500の下落局面では、2025年1月2日の下落を止めた89日線(3つめの移動平均線)の維持が焦点となろう。この移動平均線は現在、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準5,833と交錯している。今週は5,830前後をレンジの下限と予想する。
S&P500が89日線(38.2%戻し)を完全に下方ブレイクする場合は5,800のブレイクを想定しておきたい。S&P500が5,700ポイント台へ反落する場合は、サポートラインへ転換する可能性がある5,760の攻防に注目したい。すぐ下の5,751は半値戻しの水準にあたる。5,750-60をサポートゾーンと想定しておきたい。
サポートライン
・5,833:89日線、38.2%戻し(日足)
・5,800:サポートライン
・5,760:サポート転換の可能性あり(4時間足)
・5,751:半値戻し(4時間足)
S&P500のチャート
日足:2024年8月以降
出所:TradingView
4時間足:2024年9月以降
出所:TradingView
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